事務所の費用と「空家賃」を比べる

自宅・レンタルオフィス・賃貸事務所で、初期費用がどれだけ変わるかを試算します。免許が下りるまで営業できない期間の家賃(空家賃)まで含めて計算するので、実際に必要な資金が分かります。

条件を選ぶ

事務所の構え方

月額賃料
月額共益費
契約から営業開始までの月数3ヶ月

免許審査(約1.5〜2ヶ月)と保証協会の手続き(約0.5〜1ヶ月)を合わせた期間です。この間は営業できないため、家賃だけが出ていきます。

フリーレント(賃料免除)の交渉0ヶ月

「免許が下りるまで営業できない」事情は貸主にも説明しやすく、1〜2ヶ月の免除を得られることがあります。交渉できた月数を入れてみてください。

いまの賃料条件で3パターンを比べる

  • 自宅の一室150,000円
  • 賃貸事務所1,660,000円
  • レンタルオフィス300,000円

フリーレントを除いた比較です。事務所以外の費用(免許・保証協会・設備など)は3パターンとも同額のため含めていません。

事務所にかかる初期費用1,660,000円

賃貸事務所

内訳

  • 敷金・保証金600,000円
  • 礼金150,000円
  • 仲介手数料165,000円
  • 前家賃(賃料+共益費 1ヶ月分)160,000円
  • 賃貸保証会社の初期保証料75,000円
  • 火災・借家人賠償保険料30,000円
  • 空家賃(審査・手続き中 3ヶ月分)480,000円

このうち、売上ゼロで払う分

480,000円

免許審査と協会手続きの期間に発生する分です。事業計画からもっとも漏れやすい費用です。

なぜ「空家賃」が発生するのか

宅建業免許の申請には、写真・固定電話まで整った事務所の実体が必要です。つまり先に物件を契約しないと、申請そのものができません。そこから免許が下り、保証協会の手続きが終わるまでは営業できないため、その間の家賃は売上ゼロのまま支払うことになります。

図1物件契約から営業開始までの流れ賃料+共益費が月160,000円の場合の試算。

売上ゼロのまま家賃だけが出ていく期間3ヶ月 / 48万円

  1. 物件契約

    家賃が発生しはじめる

  2. 免許申請

    事務所の実体が必要

  3. 審査

    おおむね30〜60日

  4. 保証協会の手続き

    分担金・入会金

  5. 営業開始

    ここから売上

事務所は「先に契約」が必要免許申請には写真・固定電話まで整った事務所が要るため、免許を待ってから借りることができません。

審査期間は都道府県・時期により異なります。申請先の公表する標準処理期間をご確認ください。

対策として現実的なのはフリーレントの交渉です。上のツールで月数を動かすと、削減額をそのまま確認できます。

費用が安い順に選べない理由 — 事務所の要件

自宅開業がもっとも安く済みますが、宅建業の事務所には要件があり、満たせなければ免許が下りません。主に次の4点が見られます。

1. 独立していること

他社や生活空間と明確に区切られ、専用の出入口があるか、少なくとも他人のスペースを通らずに入れることが求められます。仕切りは天井・床に固定されたもの(高さ180cm程度以上)が必要で、可動式のパーテーションやカーテンでは認められないのが一般的です。

2. 継続的に業務を行える形になっていること

机・椅子・書類の保管場所があり、来客と商談できるスペースが必要です。申請時には事務所の内外の写真を求められます。

3. 事務所専用の電話があること

固定電話の設置を求める運用が一般的です。携帯電話だけ、あるいは同居する他社と共用の番号では認められないことがあります。

4. 本店の登記と一致していること

宅建業を行う事務所は、原則として登記上の本店と一致させます。異なる場所を主たる事務所にする場合は、本店でも宅建業を営まないなどの条件を確認する必要があります。

いずれも最終的な判断は都道府県の審査によります。とくに自宅開業は間取りや使い方によって結論が変わるため、要件の詳細はあらためて詳しくご案内する予定です。

契約や工事の前に確認してください。物件を契約してから要件を満たさないと分かると、支払った契約金と空家賃がそのまま損失になります。間取り図・利用規約・契約書案の段階であれば、判断できることが多くあります。

賃貸事務所の初期費用の内訳

事業用の賃貸は、住居用より敷金が多いのが一般的です。ツールでは次の割合で試算しています(各項目はご自身の見積りに合わせて総合シミュレーターで書き換えられます)。

項目試算に使う割合相場
敷金・保証金賃料4ヶ月分3〜6ヶ月分
礼金賃料1ヶ月分0〜2ヶ月分
仲介手数料賃料1.1ヶ月分1.1ヶ月分が上限
前家賃賃料+共益費 1ヶ月分1〜2ヶ月分
賃貸保証会社賃料0.5ヶ月分0.5〜1ヶ月分
火災・借家人賠償保険30,000円2年契約

よくある質問

バーチャルオフィスで宅建業の免許は取れますか?

住所だけを借りるバーチャルオフィスでは、事務所の実体がないため認められません。レンタルオフィスも、共用のフリーアドレス席では要件を満たしません。施錠できる専用の個室で、他社と明確に区画され、事務所専用の電話を引けるプランかどうかが分かれ目です。契約前に運営会社へ「宅建業免許で使えるか」を確認し、あわせて利用規約と間取り図をご相談ください。

自宅マンションの一室でも開業できますか?

間取りと動線しだいです。玄関からすぐ事務所に入れる、または事務所専用の出入口があり、生活空間と固定の仕切りで分けられていれば認められる可能性があります。リビングなど生活空間を通らないと入れない間取りは難しくなります。管理規約で事務所使用が禁止されていないかも確認が必要です。最終的な判断は都道府県の審査によります。

空家賃はどのくらい見込めばよいですか?

免許の審査だけでおおむね30〜60日かかり、そのあとの保証協会の手続きにも時間がかかるため、2.5〜3.5ヶ月程度が目安です(期間は都道府県・時期や手続きの進め方により異なります)。賃料と共益費が月160,000円なら48万円前後になります。フリーレントを交渉できればこの分を圧縮できます。

事務所を移転すると費用はかかりますか?

変更の届出が必要で、事務所の写真や賃貸借契約書などを再度提出します。免許証の書換交付を受けることになり、看板や名刺の作り直しも発生します。開業してすぐの移転は手間と費用が重なるため、最初の物件選びの段階で長く使えるかを考えておくことをおすすめします。

契約前に、その物件で免許が下りるか確認します

間取り図・利用規約・契約書案をお送りいただければ、事務所要件を満たすか、どこに手当てが要るかをお伝えします。自宅開業の可否のご相談も承ります。

前提と出典

賃貸の初期費用の割合、レンタルオフィスの料金、内装工事費は2026-08-26時点の調査に基づく目安で、地域・物件により大きく変わります。事務所要件は宅地建物取引業法および各都道府県の免許申請の手引きによりますが、運用は都道府県ごとに異なり改定されることもあります。

このページは一般的な情報の提供であり、個別の物件について免許の可否を保証するものではありません。