重要事項説明書 法令上の制限|36

防火地域・準防火地域等はどこで調べる?重説の書き方と22条区域

防火地域・準防火地域は、地図の区分だけを書けばよいですか?

都市計画図で『準防火地域』と表示されました。重要事項説明書はその名称を書けば終わりでしょうか。『指定なし』の場合は、防火に関する調査をしなくてもよいのでしょうか。法22条区域や、東京都の新たな防火規制との違いも分かりません。

まず都市計画の指定を確定し、指定なしでも別の防火規制を確認します

重要事項説明書では、対象地が防火地域・準防火地域・いずれも指定なしのどれかを市区町村の最新資料で確定します。ただし、『指定なし』は防火上の制限がないという意味ではありません。建築基準法22条区域、東京都の新たな防火規制、地区計画・条例等を別に確認します。

防火地域・準防火地域は、都市計画法9条21項により、市街地の火災危険を防ぐため定める地域です。その指定を受けると、建築基準法61条により、地域の別と建物の規模に応じた延焼防止性能や、延焼のおそれのある開口部の防火設備が求められます。宅地建物取引業法施行令3条も同条の制限を売買時の法令上の制限として掲げています。

一方、22条区域は防火地域・準防火地域ではない市街地を特定行政庁が指定する別制度です。屋根の火の粉対策や、木造建築物等の外壁の一部に性能が求められます。重説書式の防火地域・準防火地域欄で『指定なし』を選ぶ場合でも、買主の建替え・増改築へ影響する重要な情報として、その他欄や補足欄で説明する運用を検討します。

防火地域・準防火地域欄に何を書くかの診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

重説の防火地域・準防火地域欄を書く
確認1敷地は、防火地域・準防火地域に指定されていますか?
  • 結論指定された区分と61条の制限を記載
  • 結論区域線を図示し65条の適用を確認
  • 確認2敷地は、建築基準法22条区域に入っていますか?
    • 結論「指定なし」とし22条区域を補足
    • 結論「指定なし」とし条例・地区計画を確認
  1. 確認1敷地は、防火地域・準防火地域に指定されていますか?
    結論指定された区分と61条の制限を記載
    結論区域線を図示し65条の適用を確認
  2. 確認2敷地は、建築基準法22条区域に入っていますか?
    結論「指定なし」とし22条区域を補足
    結論「指定なし」とし条例・地区計画を確認
  • 指定された区分と61条の制限を記載

    防火地域か準防火地域かを重説に書き、建築基準法61条により、建物の規模等に応じた延焼防止性能と開口部の防火設備が要ることを書きます。指定範囲は都市計画図を別添し、建物への適用は建築指導担当へ確認します。

  • 区域線を図示し65条の適用を確認

    またがっていることを重説に書き、区域線を別添図で示します。建物が防火地域と準防火地域にまたがるときは建築基準法65条2項により原則として建物全部に防火地域の規定が適用され、土地だけがまたぐときは、建物配置を示して建築指導担当へ確認します。

  • 「指定なし」とし22条区域を補足

    防火地域・準防火地域欄は「指定なし」と書きます。22条区域では屋根と木造建築物等の外壁に制限があり、買主の建替えや増改築に関係するので、その他欄や補足欄に書くことを検討します。

  • 「指定なし」とし条例・地区計画を確認

    防火地域・準防火地域欄は「指定なし」と書きます。「指定なし」でも、地区計画や条例に防火の定めがあることがあるので確認します。

東京23区の物件は、防火地域・準防火地域の指定とは別に、東京都の新たな防火規制の指定区域図も確認します。区域内なら、根拠の条例と建築上の制限を重説に書きます。

防火地域・準防火地域と22条区域の重説記載の判断です。建築基準法22条・61条・65条と宅地建物取引業法施行令3条に基づき当事務所作成。

似た名称を一つの区分として扱わず、根拠ごとに分けます

都市計画の防火地域・準防火地域を確認し、指定なしの場合も建築基準法22条区域と東京都の新たな防火規制を別に調べる流れ
防火地域・準防火地域は都市計画の指定です。22条区域と東京都の新たな防火規制は別の根拠・別の地図で確認し、重なりも含めて記録します。
  • 敷地全体と建物の位置売買対象の全筆、公図上の敷地、既存建物の配置を確認します。区域境界が土地を横切るだけか、建物まで横切るかで確認事項が変わります。
  • 都市計画上の防火指定市区町村の公式地図・都市計画図で、防火地域、準防火地域、指定なしを確認します。境界付近は画面の色だけで確定しません。
  • 指定なしの後に確認する区域建築基準法22条区域の有無を建築指導担当へ確認します。東京23区では東京都建築安全条例7条の3による『新たな防火規制』の指定区域図も別に確認します。
  • 建物の構造・階数・規模と確認資料登記事項証明書だけでなく、確認済証、検査済証、建築計画概要書、台帳記載事項証明、設計図書等を照合します。登記の『木造』だけでは61条への適合内容までは分かりません。

都市計画担当と建築指導担当へ、質問を分けて確認します

  • 地番・全筆・敷地範囲を確定する

    登記情報、公図、地積測量図、売買対象図から敷地を特定します。住居表示の一点検索だけでなく、敷地の各角と建物位置を確認します。

  • 公式Web地図で予備調査する

    防火地域・準防火地域のレイヤーを表示し、区域名、区域線、閲覧日、地図名が分かる状態で保存します。用途地域、高度地区、地区計画等も同じ画面で拾います。

  • 都市計画担当で指定と区域線を確定する

    地番、公図、敷地図、地図の印刷を示し、現在の指定、境界線の根拠、指定変更の有無、都市計画決定日を確認します。回答部署・担当者・日時を記録します。

  • 建築指導担当で22条区域と具体的な適用を確認する

    22条区域の有無、区域またぎ、既存建物・計画建物に必要な性能、建ぺい率緩和の前提、増改築時の建築確認を照会します。指定の所管と建築制限の所管を混同しません。

  • 東京23区では東京都独自の区域を重ねる

    東京都の『新たな防火規制』指定区域図と物件所在地の区の案内を確認します。通常の防火地域・準防火地域と別制度のため、都市計画図だけで終えません。

  • 重説本文・別添図・証拠を一致させる

    該当区分、根拠法令、区域またぎ、建物への影響を記載し、公式地図、窓口照会、建築資料を案件ファイルへ保存します。将来の建築可否を保証する表現は避けます。

窓口での質問例

『地番○番○ほか○筆について、重説作成のため確認します。防火地域・準防火地域の指定と区域境界、建築基準法22条区域の指定、指定変更の予定はありますか。既存建物が区域をまたぐ場合の適用と、確認できる根拠図面・告示も教えてください』と、敷地図と建物配置を示して質問します。

重説では都市計画の区分と、重ねて確認した制限を分けて書きます

制度何を規制するか重説での扱い
防火地域都市計画で指定。建築基準法61条により、地域と建物規模に応じた強い延焼防止性能を求める防火地域を選択し、区域またぎ・建物への適用・根拠資料を補足
準防火地域都市計画で指定。建築基準法61条により、建物規模に応じた延焼防止性能を求める準防火地域を選択し、区域またぎ・建物への適用・根拠資料を補足
建築基準法22条区域特定行政庁が指定。主に屋根の火の粉対策と木造建築物等の外壁の一部を規制防火・準防火は『指定なし』でも、その他欄・補足欄等で説明するかを検討
東京都の新たな防火規制東京都建築安全条例7条の3による区域。震災時の火災危険が高い区域で防火性能を強化都市計画の指定と別に該当・根拠条例・建築上の制限を記載

準防火地域の記載例(架空)

防火地域・準防火地域:準防火地域。建築基準法61条により、建築物の規模等に応じた延焼防止性能および延焼のおそれのある開口部の防火設備が必要です。指定範囲は別添都市計画図のとおりです。

指定なし・22条区域の記載例(架空)

防火地域・準防火地域:指定なし。なお、本物件は建築基準法22条1項の指定区域内です。建築物の屋根および木造建築物等の外壁の延焼のおそれのある部分には、同法22条・23条に基づく制限があります。

区域をまたぐ建物の記載例(架空)

本敷地は防火地域と準防火地域にまたがり、既存建物も両地域にまたがります。建築基準法65条2項により、原則として建物全部に防火地域内の規定が適用されます。区域線は別添図のとおりです。防火壁による例外の有無は建築指導担当へ確認します。

東京都独自規制の記載例(架空)

本物件は東京都建築安全条例7条の3第1項に基づく新たな防火規制区域内です。防火地域・準防火地域の別とは独立した制限として、建替え・増改築時の構造基準を所管区へ確認してください。

建ぺい率の緩和は自動ではありません

2019年施行の改正で、防火地域・準防火地域内の一定の耐火建築物等・準耐火建築物等は建ぺい率の限度に10%を加える仕組みが整備されました。ただし、区域に入っているだけで一律に加算するのではなく、建物の性能、指定建ぺい率、角地条件、区域またぎを建築基準法53条に照らして確認します。

埼玉県は市町村と特定行政庁、東京23区は区と都独自規制を確認します

埼玉県の2026年3月31日現在の集計では、防火地域は34市町、準防火地域は52市町に指定されています。県は具体的な指定内容を各市町村へ、建築基準法上の制限内容を所在地の特定行政庁へ問い合わせるよう案内しています。つまり、区域の有無は市町村の都市計画担当、建物への適用は特定行政庁の建築指導担当という二段階です。

さいたま市は『さいたま市地図情報』で防火地域・準防火地域を予備確認できます。電話・窓口照会は都市計画課ではなく、西・北・大宮・見沼・岩槻区が北部都市計画指導課、中央・桜・浦和・南・緑区が南部都市計画指導課です。22条区域や個別建物の構造判断は、建築指導・建築審査の担当へ質問を分けます。

東京23区は東京都の都市計画情報等インターネット提供サービスで防火・準防火の指定を予備確認し、正式な区域線は物件所在地の区へ確認します。さらに、東京都建築安全条例7条の3による『新たな防火規制』が別にあるため、東京都の指定区域図と区の最新案内を重ねます。制度は2003年からありますが、指定区域や案内は更新されるため毎案件確認します。

防火指定を調べる公式サイト:埼玉県|防火地域又は準防火地域埼玉県|建築行政窓口一覧さいたま市|調べ方と窓口さいたま市|地図情報東京都|都市計画情報東京都|新たな防火規制東京都|新たな防火規制の指定区域図

『指定なし』と『今の建物が木造』だけでは、買主の建替え条件を説明できません

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

色を写す調査ではなく、どの根拠が建物のどの部分へ効くかまで分けて残します。

調査・記載の誤り起こり得る不利益防ぎ方
防火・準防火が指定なしで終了22条区域や東京都独自規制を見落とし、屋根・外壁・構造の追加費用や計画変更が生じる可能性別レイヤー・別根拠として毎回確認
敷地の中心点だけを見る区域線が敷地・建物を横切る事実を見落とし、より厳しい規定の適用判断を誤る可能性全筆・敷地各角・建物配置を確認し、区域線を図示
区域内なら建ぺい率10%加算と説明建物性能などの要件を満たさず、予定した建築面積を確保できない可能性法53条の建物要件と区域またぎを個別確認
古い階数・面積表だけで断定2019年改正後の性能基準や認定構造を反映できず、建築可否を誤って伝える可能性現行61条と政令・告示を基に建築指導担当へ照会
登記の構造だけで適法性を判断確認時の仕様・防火設備・増改築履歴が分からず、既存不適格や無確認工事を見落とす可能性確認済証・検査済証・概要書・設計図書を照合
防火指定と既存建物の資料を一案件として整理したいときは

物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します

  • 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
  • 防火・準防火、22条区域、自治体独自規制、区域またぎの調査から重要事項説明書ドラフト作成まで

標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。

都市計画図、敷地・建物配置、建築資料、自治体回答を照合し、適用関係を整理します。

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。

防火地域・準防火地域等についてよくある質問

防火地域と準防火地域は何が違いますか?

どちらも都市計画で定める地域ですが、防火地域の方が火災危険の高い中心市街地等に指定され、建築基準法61条は地域の別と建物規模に応じて必要な延焼防止性能を分けています。個別建物に必要な構造は階数・規模・用途・設計により確認します。

『法34条』に新しい防火区域があるのですか?

建築基準法34条は昇降機の規定です。防火地域・準防火地域の指定がない場所でよく確認するのは、建築基準法22条区域です。都市計画法34条は市街化調整区域の開発許可基準で、これも別制度です。

防火地域・準防火地域の指定なしなら、何も書かなくてよいですか?

指定なしであることを確認したうえで、22条区域、東京都の新たな防火規制、地区計画・条例等を別に確認します。買主の建替え等へ影響する場合は、その他欄・補足欄等で説明する運用を検討します。

土地だけが二つの区域にまたがると、必ず厳しい方が土地全体に適用されますか?

建築基準法65条が直接扱うのは、建築物が区域をまたぐ場合です。土地がまたぐだけで建物が一方に収まる場合を同じように断定せず、建物配置を示して所管へ確認します。

防火地域なら建ぺい率は必ず10%増えますか?

必ずではありません。防火地域・準防火地域の別、指定建ぺい率、耐火建築物等・準耐火建築物等の該当、角地条件、区域またぎにより法53条の適用を確認します。

木造住宅は防火地域に建てられませんか?

木材を使うこと自体が一律に禁止されるわけではありません。2019年施行の改正後は、必要な延焼防止性能を満たす構造方法・認定の選択肢があります。対象建物の規模と設計を示し、建築士・建築指導担当へ確認します。

オンライン地図だけで重説を作れますか?

区域から十分離れた単純な土地の予備調査には使えますが、境界付近、複数筆、指定変更、東京都独自規制がある案件では不足します。市区町村の最新資料と窓口回答を保存して確定します。

この記事は2026年9月15日時点の都市計画法、建築基準法、宅地建物取引業法施行令、国土交通省、埼玉県、さいたま市、東京都の公式資料を確認して作成しています。区域境界、指定変更、既存建物や計画建物への具体的な適用は、物件所在地の都市計画・建築指導窓口で確認してください。