宅建業を自宅で開業する方へ

自宅で宅建業を開業できる?間取りタイプ別6例を図解

家族が住む家の一室で開業したい

開業時の家賃を抑えたいので、自宅の一室を事務所にしたいと考えています。部屋に机を置けば申請できるのでしょうか。家族も住んでいるので、玄関や廊下は共用になります。

自宅でも申請できる場合があります。玄関からの通り道が重要です

埼玉県では、来客が居住部分を通らず事務所へ行けること、家族が事務所を通らず居住部分へ行けること、事務所と居住部分が壁や扉で分かれていることを確認します。東京都の公表資料にも、玄関から事務所とほかの部屋へ互いの区画を通らずに行けるか、壁で仕切られているかを確認する例があります。

東京都は一般の住宅の一部を事務所にすることを原則として認めないと説明したうえで、条件を満たす例も掲載しています。東京都で自宅を候補にする場合は、事前に間取り図を示して相談してください。

設備や電話など、事務所全体の条件は宅建業の事務所要件で確認できます。

自宅を宅建業の事務所にできるかの診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

家族が住む家の一室を事務所にしたい
確認1玄関から入って、来客や家族はどこを通りますか?
  • 結論来客の通り道が条件に合わない
  • 結論家族の通り道が条件に合わない
  • 確認2事務所は、廊下や居住部分と壁・扉で分かれていますか?
    • 確認3免許はどこへ申請しますか?
      • 結論埼玉県は通り道の条件に合う可能性
      • 結論東京都は住宅内を原則認めず、事前相談
    • 結論扉を付けて、廊下と事務所を分ける
  1. 確認1玄関から入って、来客や家族はどこを通りますか?
    結論来客の通り道が条件に合わない
    結論家族の通り道が条件に合わない
  2. 確認2事務所は、廊下や居住部分と壁・扉で分かれていますか?
    結論扉を付けて、廊下と事務所を分ける
  3. 確認3免許はどこへ申請しますか?
    結論埼玉県は通り道の条件に合う可能性
    結論東京都は住宅内を原則認めず、事前相談
  • 来客の通り道が条件に合わない

    来客が居間やリビング階段を通って事務所へ行く間取りは、埼玉県の「居住空間を通らずに行けること」という条件に合いません。東京都の公表図でも、居室を通って事務所へ行く例は不可とされています。

  • 家族の通り道が条件に合わない

    来客が事務所へ直接入れても、家族が台所や階段へ行くたびに事務所を通る間取りは、条件に合いません。埼玉県の公表図では、事務所を通って階段へ向かう例が不可とされています。

  • 扉を付けて、廊下と事務所を分ける

    通り道が分かれていても、廊下との間に扉がなければ、事務所は居住部分と分かれていません。事務所の入口に扉を付けます。

  • 埼玉県は通り道の条件に合う可能性

    来客と家族の通り道、壁と扉の条件に合う可能性があります。埼玉県へは事務所のある階全体の平面図を出し、事務所が2階で玄関が1階なら両方の階の平面図を用意します。

  • 東京都は住宅内を原則認めず、事前相談

    東京都は、一般の住宅の一部を事務所にすることを原則として認めないと説明したうえで、条件を満たす例を掲載しています。住宅全体の間取り図を用意して、事前に相談します。

分譲マンションは管理規約、賃貸住宅は契約上の用途と貸主の承諾も確認します。居住目的以外の利用を認めないマンションの一室は、埼玉県の免許申請では事務所にできません。

自宅の一室を宅建業の事務所にする場合の判断です。埼玉県の宅地建物取引業者免許申請の手引き(令和8年9月改訂)と東京都の宅地建物取引業免許申請の手引に基づき当事務所作成。

来客と家族、それぞれの通り道を間取り図に書いてみてください

  • 来客は居間や台所を通らずに事務所へ行けるか玄関から事務所の入口までを確認します。住宅専用の部屋を通路にする間取りでは、事務所の独立性を説明できません。
  • 家族は事務所を通らずに生活できるか玄関から居間・台所・階段などへ行く途中に事務所がないかを確認します。家族にとって事務所が通路になる場合も問題です。
  • 事務所は壁と扉で分かれているか通り道が分かれていても、事務所が廊下や居住部分と一続きでは足りません。仕切りの有無と、事務所だけに使える状態を確認します。

自宅の間取り、6つの例

来客が居間を通って事務所へ行く

玄関の奥に居間があり、その先が事務所という間取りです。来客は事務所へ行く途中で居住部分に入ります。埼玉県の『居住空間を通らずに行けること』という条件に合わず、東京都の公表図でも居室を通って事務所へ行く例は不可とされています。

玄関から事務所へ向かう来客が居間を通過し、居住部分に入る場所が示された間取り
東京都の住宅内の不可例を参考に描き直した模式図。埼玉県でも、玄関から事務所へ行く際に居住空間を通らないことが条件です。

家族が事務所を通って台所へ行く

来客が事務所へ直接入れても、家族が台所へ行くたびに事務所を横切る間取りでは足りません。埼玉県の公表図では、事務所を通って階段へ向かう例が不可とされています。

玄関から台所へ向かう家族が事務所を通過し、事務所に入る場所が示された間取り
埼玉県の『居住部分へ行く際に事務所を通る』不可例を、台所への移動に置き換えた独自の模式図です。

玄関から廊下で事務所と居住部分に分かれる

玄関を共用していても、廊下から来客は事務所へ、家族は居住部分へ直接行ける間取りなら、両県の公表資料が示す通り道の条件に合う可能性があります。事務所と居住部分・共用廊下が壁や扉で区切られ、事務所を居住用に使っていないかも確認します。

共用玄関から廊下で分かれ、来客は事務所へ、家族は居住部分へ直接行く間取り
埼玉県と東京都が示す通り道と区画の条件をもとに作成した模式図。管理規約や実際の使用状況も別に確認します。

2階の事務所に扉がない

1階の玄関から階段まで居間を通らなくても、2階の廊下と事務所の間に扉がなければ区画されていません。階段から事務所までの通り道と、扉の位置を確認します。

1階の玄関から階段へ行けるが、2階の事務所と廊下を区切る扉がない間取り
埼玉県が公表する2階建てと壁・扉の事例をもとに、2階を事務所に置き換えた独自の模式図です。

2階の事務所に扉がある

前の図では2階の事務所入口に扉がありませんでした。この図では扉を設け、廊下と事務所を壁と扉で分けています。来客は玄関から居間を通らずに事務所へ行けます。家族も事務所を通らずに居住部分へ行けます。間取りとは別に、事務所として使える契約になっているかを確認します。執務・応接スペースを設け、実際に事務所専用で使用することも必要です。

1階の玄関から居住部分を通らず階段へ進み、2階では廊下と事務所が扉で区切られた間取り
直前の『扉なし』と同じ間取りに扉を設けた独自の比較図。埼玉県の独立性の条件と東京都の住宅内事務所の確認事項をもとにしています。

リビング階段を通って2階の事務所へ行く

玄関から階段へ行くには1階のリビングを通る間取りです。2階の事務所に扉があっても、来客は事務所に着く前に居住部分を通ります。埼玉県が示す条件①は、玄関から事務所まで居住空間を通らずに行けることです。この図では来客がリビングを通るため、条件①に合いません。東京都の公表資料にも、ほかの部屋を通って事務所へ行く間取りが×の例として示されています。

玄関から2階の事務所へ向かう来客が、1階のリビングを通って階段に行くため居住部分を通過する間取り
来客がリビングを通らなければ2階の事務所に行けない場合の独自図。リビング階段のある住宅が一律に不可という意味ではありません。

埼玉県へ宅建業免許を申請するとき、事務所が2階で玄関が1階なら、両方の階の平面図が必要です。来客が建物に入ってから事務所に着くまでの経路を、両方の図面で示します。事務所が1階にあり、来客がリビングを通らずに入れるなど、階段と事務所の位置関係が異なる間取りは個別に確認します。

間取り例と図面の根拠:埼玉県・事務所の独立性と○×図(印刷4〜6ページ)埼玉県・申請案内東京都・住宅の一部を事務所とする場合(印刷5ページ)

間取りが良くても、マンションの規約と実際の使い方は別に確認します

分譲マンションでは、管理規約で住居以外の利用を認めているかを先に確認してください。埼玉県の免許申請上は、居住目的以外の利用を認めないマンションの一室を事務所にはできません。賃貸住宅なら、契約上の用途や貸主の承諾も確認します。

間取り図で部屋を『事務所』と書いても、家族がそこで生活していたり、ほかの部屋へ行く通路として使っていたりすれば、事務所専用の区画にはなりません。執務・来客対応のスペースや、玄関の商号表示も確認します。

東京都では住宅の一部を事務所とする場合、住宅全体の間取り図と、入口から事務所までの経路が分かる写真を求めています。埼玉県でも自宅の一室なら事務所のある階全体の平面図が必要です。契約や改装を決める前に、候補の間取り図を用意して申請先へ相談してください。

公表資料:埼玉県・免許申請の手引き埼玉県・申請案内東京都・免許申請の手引き

契約や工事の前に、実際の間取りで確認してください

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

同じ3LDKでも、事務所に使う部屋が玄関の隣か、居間の奥かで判断は変わります。平面図に来客と家族の通り道をそれぞれ書き、管理規約や契約も一緒に確認します。

自宅を事務所にできるか相談したい方へ

間取り図と管理規約を確認し、申請まで対応します

  • 来客・家族の通り道と、壁・扉の位置を平面図で確認します
  • マンションの管理規約、賃貸借契約、事務所の使用状況を確認します
  • 会社設立が必要な場合は、設立登記から宅建業免許申請まで対応します

自宅を事務所にする予定なら、改装や会社設立の前にご相談ください。

開業の相談をする間取り図があれば、相談時にご用意ください。

自宅開業でよくある質問

玄関が家族と共用でも申請できますか?

埼玉県・東京都の公表資料には、玄関を共用する場合の確認条件が示されています。事務所と居住部分へ互いの区画を通らずに行けるか、壁と扉で分かれているかを確認します。

2階を事務所にすれば、生活部分と分けたことになりますか?

2階というだけで事務所として認められるわけではありません。玄関から階段、階段から事務所までの経路と、事務所の扉・壁を確認します。埼玉県では玄関階と事務所階の平面図が必要です。

リビング階段があると宅建業の事務所にはできませんか?

2階の事務所へ向かう来客が1階のリビングを通る配置は、埼玉県が示す条件に合いません。ただ、事務所が1階にあり、来客がリビングを通らずに入れるなど、階段と事務所の位置関係が違う場合は、その間取りで確認します。

分譲マンションの一室でもできますか?

動線や区画に加えて、管理規約が事務所利用を認めているかを確認します。居住目的以外の利用が禁止されている場合は、間取りが条件を満たしていても使用できません。

東京都と埼玉県で、通り道の考え方は違いますか?

どちらも、事務所へ行く人が居住部分を通らず、家族が事務所を通らずに生活できることを重視しています。東京都は住宅内の事務所について事前相談を案内しており、提出する資料も申請先ごとに確認が必要です。

この記事は2026年9月23日時点の埼玉県と東京都の公表資料を確認して作成しました。図は説明用に描き直した模式図です。個別の可否は間取りだけでなく、契約・管理規約、設備、写真と実際の使用状況を含めて申請先へ確認してください。