重要事項説明書「売買対象面積」の書き方|公簿売買・実測売買・実測清算の違い
確定測量図があります。売買対象面積は「実測」を選びますか?
登記簿面積は165.20㎡、確定測量図は166.04㎡です。ただし、契約書案では公簿面積を基準とし、面積差があっても代金を清算しない予定です。重説はどちらを選べばよいでしょうか。
測量図の有無ではなく、契約で売買の基準にする面積を選びます
確定測量図があって実測面積欄へ166.04㎡と書く場合でも、契約が登記簿面積165.20㎡を売買対象面積とし、代金を固定するなら、売買対象面積は登記簿(公簿)面積によるを選びます。『図面があるか』『売買の基準面積は何か』『後で代金を清算するか』は別々に確認します。
国土交通省の参考用語集は、公簿売買を登記面積で価格を確定し以後変更しない方式、実測売買を測量後の面積で売買金額を確定する方式、実測精算を登記面積と実測面積の差に応じて代金を精算することと整理しています。ただし、実務上の呼び方には幅があるため、名称より契約条項を優先します。
売買対象面積は公簿か実測かの診断フローチャート
当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。
- 確認2契約書案では、代金をどの面積で決めますか?
- 結論登記簿(公簿)面積による
- 結論実測面積による(代金は固定)
- 結論契約時の基準面積と実測清算
- 結論図面で特定した部分の面積
- 結論契約で使う面積を記載(従前地か仮換地か)
- 確認1売買するのは、どんな土地ですか?結論図面で特定した部分の面積結論契約で使う面積を記載(従前地か仮換地か)
- 確認2契約書案では、代金をどの面積で決めますか?結論登記簿(公簿)面積による結論実測面積による(代金は固定)結論契約時の基準面積と実測清算
- 登記簿(公簿)面積による
売買対象面積は「登記簿(公簿)面積による」を選びます。測量図があれば実測面積欄にも面積を書き、面積に差があっても代金を清算しない条項が契約書案にあるかを確認します。
- 実測面積による(代金は固定)
売買対象面積は実測面積を選び、既存の測量図の面積を書きます。どの図面の面積か(作成日・作成者)と、あとで面積が違っても清算しない条項が契約書案にあるかを確認します。
- 契約時の基準面積と実測清算
契約時の基準面積と、測量後の面積との差を合意した単価で清算することを書きます。測量の種類、期限、費用負担、測量が終わらない場合の扱いは、契約書案で確認します。
- 図面で特定した部分の面積
売る部分を図面で特定し、予定面積か確定測量の面積を書きます。分筆、所有権移転、代金確定の順序と、分筆登記の期限、面積の許容差は、契約書案で確認します。
- 契約で使う面積を記載(従前地か仮換地か)
従前地の登記簿面積と仮換地の指定面積のうち、契約で使う面積を書きます。仮換地指定通知、仮換地図、清算金、換地処分と登記の時期は、施行者の資料で確認します。
公簿か実測かは、契約書案の面積と代金清算の条項で決まります。測量図があっても、登記簿面積で代金を固定する契約なら公簿です。
売買対象面積を選ぶ前に契約書案で確認する7点
- 売買の基準面積登記簿面積、既存測量図の実測面積、契約後に確定する実測面積、仮換地面積等のどれを対象にするか確認します。
- 売買代金の決め方総額を固定するのか、1㎡当たりの単価を置いて面積により確定・清算するのかを確認します。広告上の坪単価だけを清算単価に流用しません。
- 面積差の清算の有無差があっても互いに請求しないのか、差の全部を清算するのか、一定範囲を超えた差だけ清算するのかを確認します。
- 測量の種類と完成時期既存図面を使うのか、契約後に現況測量・確定測量を行うのか、いつまでに成果を交付するのかを確認します。
- 清算する対象範囲宅地だけか、セットバック部分・私道部分・一筆の一部をどう扱うかを図面と契約条項で特定します。
- 測量未了・不成立時の処理隣接所有者の協力が得られない、官民境界に時間がかかる等で期限までに測量できない場合の期限延長、解除、固定代金への切替え等を確認します。
- 分筆・地積更正との関係一筆の一部売買、分筆予定、登記地積の修正予定があるなら、所有権移転までの登記順と面積確定の時点を確認します。
売買対象面積欄を決める順番
- 土地の表示と実測面積を先に確定する
一筆ごとの登記簿面積、実測面積の有無と根拠図面を整理します。この段階では、面積が分かったことと価格基準を同一視しません。
- 売主・買主の合意する価格方式を確認する
公簿面積による総額固定、既存実測面積による総額固定、契約後測量による実測清算等のどれかを、契約書案と当事者の合意から確認します。
- 基準面積と清算条項を一組で読む
基準面積、清算単価、清算対象となる差、測量期限、費用負担、未了時の処理を読みます。チェック欄だけを先に選びません。
- 測量図面欄と整合させる
既存図面の日付・作成者、決済までに作る図面の種類、交付予定を確認します。公簿売買でも測量図を交付する場合があり、実測清算でも契約時点では図面が未完成の場合があります。
- 重説・契約書・別紙の用語をそろえる
『公簿売買』『実測売買』『売買代金固定』『実測清算』の呼称だけに頼らず、どの面積を使い、代金が動くかを同じ文章で説明できる状態にします。
- 決済前に結果と清算額を再確認する
契約後測量では、完成図、確定面積、計算書、覚書等を契約条件と照合します。この記事は重説欄の選択を扱い、清算計算と覚書の詳細は取引条件の記事へ分けます。
公簿・実測・清算の書き分け
| 重説欄と契約の整理 | 不動産会社が確認する点 | |
|---|---|---|
| 登記簿面積・代金固定 | 売買対象面積は登記簿(公簿)面積。実測面積が判明していても、面積差による代金清算はしない | 公簿面積、総額固定・不清算の条項、既存測量図の説明、境界明示の方法 |
| 既存実測面積・代金固定 | 売買対象面積は実測面積。確認済みの既存図面の面積を基準に契約時の総額を固定 | 採用図面、面積、作成日・作成者、境界確認範囲、その後の面積差を清算しない合意 |
| 契約後測量・実測清算 | 契約時の基準面積を置き、完成した測量面積との差を合意した単価・条件で清算 | 測量種類、期限、単価、差の扱い、費用負担、交付図面、未了時の処理 |
| 一筆の一部・分筆予定 | 予定面積または確定測量による面積を図面で特定し、分筆・移転・代金確定の順序を明示 | 対象部分の図示、予定地番、許容差、分筆登記の期限、面積確定前後の処理 |
| 仮換地・換地処分前 | 登記簿面積・従前地と仮換地指定面積を混同せず、契約で採用する面積を個別記載 | 仮換地指定通知、仮換地図、清算金、換地処分・登記時期を施行者資料で確認 |
実測面積:166.04㎡/売買対象面積:登記簿(公簿)面積165.20㎡による/売買代金は165.20㎡を基準とする総額とし、実測面積との差について増減請求をしない。図面があることと、公簿面積を価格基準にすることは両立します。
契約時基準面積:165.20㎡/残代金支払日までに確定測量図を作製/確定した実測面積との差を1㎡当たり〇〇円で清算。実際には清算対象範囲、端数処理、期限、費用負担、測量未了時の措置まで契約書へ定めます。
埼玉県・東京23区で契約方式は同じでも、測量期間は物件ごとに見ます
公簿面積・実測面積・実測清算の契約上の整理は地域で変わりません。ただし、確定測量に官民境界の確認が必要な場合は、道路・水路の管理者と既存境界資料の有無によって手続と期間が変わります。東京23区なら区道・都道・国道、埼玉県なら市町村道・県道・国道等の管理者を特定し、測量期限を一律の日数で約束しません。
既存の確定図や境界確認済資料がある場合でも、現在の所有者、対象地番、現地境界標、道路拡幅や区画整理後の状況を照合します。資料がない土地では、隣接所有者調査や官民境界確認を含む可能性を見込み、契約締結前に土地家屋調査士とスケジュールを確認します。
確認した公式資料:公簿売買・実測売買・実測精算の用語整理(国土交通省)宅建業法の解釈・運用(国土交通省)重要事項説明の様式例(国土交通省)
「公簿売買だから測量しない」とは限りません

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
公簿売買は価格の決め方の話です。測量図があるか、境界を明示するか、決済までに測量するかは別に確認します。呼び方だけで契約内容を決めないことが大切です。
公簿面積を売買対象面積にして代金を固定しつつ、境界明示や分筆のために測量する契約はあり得ます。反対に、実測面積を欄へ記載していても、契約後の面積差を清算しない合意はあり得ます。最低でも「基準面積」「測量」「境界」「代金清算」の四項目を別々に確認します。
実測面積欄へ数字を入れる前の確認は、「実測面積」の記事で扱っています。次の記事では、確定測量図・現況測量図・地積測量図と、図面がない土地の境界確認を整理します。
物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します
- 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
- 取引資料の確認、現地・役所・法務局等の調査、重要事項説明書ドラフト作成
標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。
登記・測量図・売買契約書案を照合し、売買対象面積と代金清算条件が食い違わない重要事項説明書ドラフトを作成します。
物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。売買対象面積でよくある質問
公簿売買なら、測量図は不要ですか?
不要とは限りません。公簿売買は主に登記簿面積で価格を固定する契約方式を指します。境界明示、分筆、越境確認、買主への図面交付のために測量が必要な場合があります。契約の価格方式と測量義務を別々に確認します。
実測面積が分かっているのに公簿面積を選んでよいですか?
当事者が登記簿面積を売買の基準とし、面積差による代金清算をしない契約なら、公簿面積を選ぶ整理ができます。その場合でも、判明している実測面積と図面の内容を隠さず、重説の各欄と契約条項を整合させます。
実測清算の単価は売買代金を公簿面積で割ればよいですか?
自動的にそう決めません。建物価格、私道、セットバック部分等を含む総額では、単純除算が当事者の合意する土地単価にならない場合があります。清算対象面積と単価を契約書へ明示します。
面積差が小さければ清算しなくてよいですか?
清算する差の範囲は契約で確認します。差の全部を清算する、一定範囲を超えた部分だけ清算する、清算しない等の設計があるため、担当者の判断で小さい差を切り捨てません。
確定測量が決済に間に合わない場合はどうしますか?
期限延長、決済後清算、現況測量への切替え、解除等、合意した契約条項に従います。契約前に、隣接所有者や道路管理者との確認が必要な可能性を土地家屋調査士へ確認し、未了時の措置を定めます。