重要事項説明書「土地の表示」の書き方|複数筆・共有持分はどう記載する?
土地が複数筆あり、私道は持分だけを取得する場合、どう書きますか?
売買対象が宅地2筆と私道1筆で、私道は6分の1の共有持分です。土地の表示には3筆すべてを書くのでしょうか。私道の地積は、登記地積を6分の1に換算した面積を書くのでしょうか。
一筆ごとに登記地積を書き、共有持分は面積と分けます
売買対象となる土地は、最新の登記記録から所在・地番・地目・地積を一筆ごとに記載します。共有の土地は、その筆全体の登記地積を地積欄へ記載し、買主へ移転する持分を持分欄へ分けて記載します。共有持分を掛けて面積へ換算しません。
不動産登記法上、地番は一筆の土地ごとに付され、地積は一筆の土地の面積です。したがって、地積欄は権利の割合ではなくその筆の表示を写す欄です。共有持分は、その土地をどの割合で取得するかという権利の情報として分けます。
欄が足りない場合は、対象筆を省略したり小さな字で詰め込んだりせず、別紙に続けます。国土交通省の様式例の記載要領も、記入事項が多い場合は必要に応じて別紙へ記入し、該当部分を明示して添付する扱いを示しています。
土地の表示に何を書くかの診断フローチャート
当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。
- 確認2売買する土地は何筆ですか?
- 結論登記どおりに一行で記載
- 結論全部の筆を一筆一行で記載
- 結論地積は筆全体、持分は持分欄に記載
- 結論一筆全体を書き、売る部分は図面で特定
- 確認1一筆の一部だけを売りますか?結論一筆全体を書き、売る部分は図面で特定
- 確認2売買する土地は何筆ですか?結論登記どおりに一行で記載結論全部の筆を一筆一行で記載結論地積は筆全体、持分は持分欄に記載
- 登記どおりに一行で記載
登記の所在・地番・地目・地積を、そのまま一行に書きます。持分欄の書き方は使う書式に合わせ、契約書案の物件目録と同じかを確認します。
- 全部の筆を一筆一行で記載
売買する筆を全部、一筆一行で書きます。欄が足りなければ別紙に続け、該当欄には「別紙参照」と書きます。
- 地積は筆全体、持分は持分欄に記載
持分で取得する私道なども一筆として書き、地積欄にはその筆全体の登記地積を、持分欄には移転する持分を書きます。60.00㎡の私道を6分の1取得するなら、地積欄は「60.00㎡」、持分欄は「6分の1」です。
- 一筆全体を書き、売る部分は図面で特定
土地の表示には登記上の一筆全体を書き、売るのが一部であることを別紙や備考に書きます。分筆の予定時期、売る部分、予定面積、測量と清算の条件は、契約書案と添付図面で特定します。
地目欄には登記の地目を書きます。現況が登記と違うときは、農地法の扱いや、地目変更登記が必要かを調べます。
登記を転記する前に確認する5点
- 土地用の書式かこの記事は土地売買と土地建物売買の土地欄が対象です。区分所有建物の敷地権・敷地持分は書式と登記の読み方が異なるため、区分建物の記事へ分けます。
- 売買対象の筆が全部そろっているか売買契約書案、登記識別情報、固定資産関係資料、既存図面等から候補を出し、宅地だけでなく私道、通路、ごみ集積所等の共有地が売買対象に含まれるか確認します。
- 住居表示と地番を混同していないか郵便物に使う住所と、土地を特定する所在・地番は一致しないことがあります。住所から推測して入力せず、登記記録上の所在・地番を確認します。
- 全部所有か共有持分か各筆について、土地全部を移転するのか、共有持分だけを移転するのかを甲区と売買契約書案で照合します。同じ契約内でも筆ごとに持分が違うことがあります。
- 一筆全部か一筆の一部か一筆の一部だけを売買する予定なら、所在・地番だけでは対象範囲を特定できません。分筆予定、対象部分の面積、添付する測量図・色分け図、契約条件を別に確認します。
土地を拾い出して重説へ記載する順番
- 契約資料から売買対象候補を一覧にする
売買契約書案の物件目録を起点に、売主資料、固定資産関係資料、既存の公図・測量図を照合します。主たる宅地と、私道等の付属する土地を分けて拾います。
- 所在と地番を確定する
登記識別情報等で地番が分かればその番号を使います。住居表示しか分からない場合は、法務省が案内する地番検索サービス等でおおよその地番を探し、公図や登記情報で確定します。地番検索だけで確定したことにはしません。
- 各筆の最新登記情報を確認する
重説作成のための通常調査では、登記情報提供サービスで全部事項を確認する方法を基本にします。複数筆を一つの地番で代表させず、対象筆ごとに表題部と権利部を確認します。登記事項証明書は、証明書としての提出・保存が必要な案件で別途取得します。
- 表題部から一筆一行で転記する
所在、地番、地目、地積を登記記録どおりに転記します。地目が現況と違っても、登記簿地目の欄を現況地目へ書き換えず、不一致を別途調査・記載します。
- 共有持分を権利部と契約案から照合する
地積はその筆全体の面積のままとし、移転対象となる持分を分数で記載します。共有者が複数いる場合は、今回の売主が有する持分と売買対象持分が一致するか確認します。
- 契約書・図面・重説の物件目録を再照合する
筆数、所在、地番、地目、地積、持分が三つの資料で一致するか確認します。一筆の一部、分筆予定、私道等がある場合は、対象範囲を示す添付図面と説明文も対応させます。
複数筆・持分がある場合の書き分け
次の例は、欄の使い分けを示す当サイト独自の整理です。所在・地番・面積は架空であり、実際には利用書式の記載要領と最新登記を優先してください。
| 土地の表示への記載 | 追加で確認・説明すること | |
|---|---|---|
| 一筆・全部所有 | 登記の所在・地番・地目・地積を一行へ転記。持分欄は利用書式に従い、空欄または全部所有と分かる処理 | 契約書案の物件目録と一致するか確認 |
| 複数筆・全部所有 | 売買対象となる全筆を一筆一行で記載。欄不足なら別紙へ続ける | 筆数と各筆を契約書案・公図・登記で照合し、別紙の参照先を本文に明示 |
| 宅地+私道持分 | 私道も別の一筆として、その筆全体の登記地積と移転する共有持分を別々に記載 | 土地の表示に載せることと、私道負担・通行掘削等を説明することは別なので、後続欄でも確認 |
| 複数筆で持分が異なる | 筆ごとに登記地積と持分を記載。すべて同じ持分だと決めつけない | 売主ごとの登記持分と、今回移転する持分を各筆で照合 |
| 一筆の一部を売買 | 現時点の登記上は一筆全体の表示を示し、対象が一部であることを別紙・備考等で明示 | 分筆予定時期、対象部分、予定面積、測量・清算条件を契約書案と添付図面で特定 |
登記地積が60.00㎡なら、地積欄は「60.00㎡」、持分欄は「6分の1」と分けます。「60.00㎡×1/6=10.00㎡」を地積欄へ入れると、登記記録上の一筆の地積と一致しなくなります。私道負担欄の面積・持分・負担金の記載は、私道負担の有無と面積の調べ方・書き方で説明しています。
「地目(登記簿)」欄には登記地目を記載します。現況が宅地なのに登記地目が畑、現況が通路なのに公衆用道路ではない等の不一致は消さず、現況、農地法、地目変更登記、私道の権利・負担等を該当欄で追加調査します。
埼玉県・東京23区では法務局とオンラインで確認します
所在・地番・地目・地積・共有持分の読み方は、埼玉県と東京23区で変わりません。違うのは、地番照会や登記内容の問い合わせをする場合の管轄法務局です。重説作成のために登記内容を確認する通常調査では、登記情報提供サービスを基本にします。
登記・供託オンライン申請システムから登記事項証明書を請求することはできますが、慣れていない方には操作手順が分かりづらく、重説作成の都度使う方法としては積極的におすすめしていません。まず登記情報提供サービスで内容を確認し、証明書そのものが必要な場合だけ、オンライン請求または法務局窓口で取得する使い分けをおすすめします。
最初の地番探し
住居表示しか分からないときは、登記情報提供サービス内の無料の地番検索サービスでおおよその地番を探します。法務省も「おおよその地番」の検索と案内しているため、公図・登記情報等で対象筆を確定します。
登記内容の確認(推奨)
登記情報提供サービスで、対象筆ごとの全部事項を確認します。PDF保存等で、取得日時と確認した登記内容を案件記録へ残します。ただし、提供される登記情報は登記事項証明書そのものではありません。
登記事項証明書が必要な場合
証明書としての提出・保存が必要なら、登記・供託オンライン申請システムによる請求または法務局窓口を利用します。オンライン請求は可能ですが、操作に不慣れなら無理に選ばず、取得目的と社内手順に合わせます。
東京都23区
地番・家屋番号や取得した登記内容を照会するときは、物件所在区を管轄する東京法務局本局・出張所を確認します。23区すべてを東京法務局本局が直接担当するわけではありません。
埼玉県
地番・家屋番号や登記内容を照会するときは、物件所在市町村を管轄するさいたま地方法務局本局・支局・出張所を確認します。さいたま市・戸田市・蕨市は本局、その他は管轄一覧で分けます。
確認した公式資料:不動産登記法34条・35条(e-Gov)民法249条(e-Gov)重要事項説明の様式例(国土交通省)登記事項証明書・地図・図面証明書の取得方法(法務局)地番検索サービス(法務省)登記情報提供サービス(民事法務協会)東京法務局の不動産登記管轄さいたま地方法務局の不動産登記管轄さいたま地方法務局の不動産登記取扱事務
筆数が増えたら、合計面積より先に対象筆を確認します

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
筆数が多い案件で最初に見るのは、合計面積の計算よりも『今回売る筆が全部そろっているか』です。宅地の隣にある私道や通路の共有持分が、契約書か重説のどちらかから抜ける事故を先に防ぎます。
| 照合する資料 | 確認する役割 |
|---|---|
| 最新の登記 | 一筆ごとの所在・地番・地目・地積と、所有者・共有持分を確認する |
| 売買契約書案 | 今回売買する筆と持分、一筆の一部ならその契約上の範囲を確認する |
| 公図・測量図等 | 主たる宅地、私道、通路等の位置関係と、一部売買の範囲を確認する |
| 重要事項説明書 | 登記の表示を一筆ごとに示し、私道負担・道路・権利関係等の後続欄へつなぐ |
合計面積が一致していても、構成する筆が違えば同じ物件表示ではありません。反対に、共有持分がある筆の登記地積を持分換算すると、各筆の登記表示を照合しづらくなります。「何筆を売るか」「各筆の表示は何か」「各筆を全部売るか持分だけ売るか」を別々に確認します。
この欄だけで実測面積、売買対象面積、清算方法、境界確定まで処理しません。続きは、実測面積、売買対象面積、測量図面と境界確認の記事で分けて確認します。
物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します
- 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
- 取引資料の確認、現地・役所・法務局等の調査、重要事項説明書ドラフト作成
標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。
売買対象となる全筆と持分を拾い出し、登記・契約書案・添付図面が一致する重要事項説明書ドラフトを作成します。
物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。土地の表示でよくある質問
土地の住所と地番は同じですか?
同じとは限りません。住所に使う住居表示から土地の地番を推測して記載せず、登記記録、登記識別情報、公図等で所在・地番を確認します。地番検索サービスの結果も「おおよその地番」なので、最終確認が必要です。
登記事項証明書のオンライン請求と登記情報提供サービスは、どちらを使いますか?
重説作成のための通常調査では、操作しやすい登記情報提供サービスで各筆の内容を確認する方法をおすすめします。オンラインの登記事項証明書請求は、慣れていないと操作手順が分かりづらいため、証明書そのものが必要な場合に限ってオンライン請求または法務局窓口を使い分けます。登記情報は登記事項証明書そのものではない点には注意が必要です。
土地が10筆以上あり、書式の欄に入りません。どうしますか?
別紙へ一筆ごとの表示を続け、重要事項説明書の該当欄に別紙参照であることを明示します。別紙にも案件名、ページ、続きであることが分かる表示を付け、契約書案の物件目録と照合します。
私道60㎡の持分6分の1なら、土地面積は10㎡と書きますか?
土地の表示では、地積60.00㎡と持分6分の1を別々に記載します。10.00㎡への換算値は、その筆の登記地積ではありません。私道負担面積等で換算値が必要な書式でも、土地の表示とは分けて根拠と計算方法を示します。
複数筆の所在地が同じなら「同上」と書いてよいですか?
利用書式の記載要領で許容される場合はありますが、別紙化、データ転記、契約書との照合で参照関係が崩れやすいため、当サイトでは各筆の所在を明記する運用を基本にします。少なくとも、どの筆にどの所在が掛かるか曖昧にしません。
登記地目が畑、現況が宅地なら、地目欄は宅地ですか?
「地目(登記簿)」欄には登記記録の地目を記載します。現況との相違は別途明示し、農地法上の扱い、転用許可・届出、地目変更登記の要否と予定を調査します。現況に合わせて登記地目を書き換えるものではありません。
一筆の一部を売買する場合、地番だけで特定できますか?
地番は一筆全体を示すため、一部の範囲までは特定できません。分筆前に契約するなら、対象部分を示す測量図・色分け図、予定面積、分筆・清算条件等を契約書と重要事項説明書の別紙・備考へ対応させます。