重要事項説明書 A 不動産の表示|08

重要事項説明書「実測面積」の書き方|登記面積と違うときはどの数字を書く?

登記簿は165.20㎡、測量図は166.04㎡です。どちらを書きますか?

土地の表示には登記簿面積を転記しました。売主から受け取った測量図には別の面積が書かれています。実測面積欄へ166.04㎡と書いてよいでしょうか。

登記面積は書き換えず、根拠を確認できた実測面積を別欄へ書きます

登記簿面積と実測面積は別の情報です。登記簿面積は最新の登記記録から転記し、実測面積は、対象地の範囲、作成者、測量日、境界確認の範囲を確認できる測量図面に記載された面積を別欄へ記載します。表題が『測量図』というだけで採用せず、図面の中身を確認します。

登記記録の165.20平方メートルは登記簿面積欄へ、確認できた測量図の166.04平方メートルは実測面積欄へ分けて記載する架空例
登記簿面積と実測面積は、差を消して一つにそろえる欄ではありません。架空例では、登記の165.20㎡と、測量図面に基づく166.04㎡を根拠ごとに分けています。

測量図面が見当たらない、対象範囲が一部だけ、作成者が不明、境界確認の範囲が分からない場合は、図面にある数字を実測面積として安易に転記しません。利用書式の記載要領に従い、空欄、横線、未定等の処理と、測量図面の有無・交付予定を整合させます。

実測面積欄にどの数字を書くかの診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

重説の実測面積欄に書く数字を決める
確認1手元にある測量図は、どれですか?
  • 確認2その測量図の表題は何ですか?
    • 結論売る土地と合えば、図面の面積を記載
    • 結論境界の確認範囲を見てから記載
    • 結論測った範囲と境界確認の資料を確認
  • 結論作成年代と現況を確認して判断
  • 結論未定・横線とし、測量の予定を記載
  1. 確認1手元にある測量図は、どれですか?
    結論作成年代と現況を確認して判断
    結論未定・横線とし、測量の予定を記載
  2. 確認2その測量図の表題は何ですか?
    結論売る土地と合えば、図面の面積を記載
    結論境界の確認範囲を見てから記載
    結論測った範囲と境界確認の資料を確認
  • 売る土地と合えば、図面の面積を記載

    図面の対象の土地と境界確認の範囲が、売買する土地と同じなら、図面の実測面積を書きます。隣地所有者の確認書と道路との境界の資料があるか、現地の境界標が図面と合うかも確認します。

  • 境界の確認範囲を見てから記載

    隣地との境界、道路との境界のどこまで確認して作った図面かを見ます。書式の記載要領にある現況測量図の説明と合っていれば、その実測面積を書きます。

  • 測った範囲と境界確認の資料を確認

    どの範囲を誰が測ったか、境界の立会いや確認書、道路との境界の資料があるかを確認します。資料が足りなければ、その数字は実測面積欄に書きません。

  • 作成年代と現況を確認して判断

    地積測量図の面積は、そのままでは実測面積欄に書きません。いつ作られた図面か、分筆・地積更正のどの範囲の図面か、境界標と現況が図面と合うかを確認し、記載要領も見て、実測面積欄に書くかを決めます。

  • 未定・横線とし、測量の予定を記載

    数字は推定で書かず、書式に従って未定・横線などにして、測量図をいつ作って交付するかを書きます。測量の種類、費用負担、期限、測量が終わらない場合の扱いは、売買契約書にも定めます。

登記簿面積の欄は、実測面積と違っていても登記のとおりに書きます。代金をどの面積で決めるかは、契約書案で確認します。

実測面積欄に書く数字の判断です。不動産登記規則75条・77条、法務省の筆界確認の資料、国土交通省の重要事項説明の様式例に基づき当事務所作成。

実測面積を転記する前に確認する6点

  • どの土地を測った図面か売買対象の全筆を測っているか、一筆だけか、一筆の一部かを地番と図面の範囲で確認します。私道持分を含む場合は、主たる宅地の実測面積へ混ぜません。
  • 図面の種類と作成目的確定測量図、現況測量図、地積測量図、建築確認の配置図、地形測量図等では目的が違います。表題だけでなく、凡例、座標、求積表、注記を見ます。
  • 誰が、いつ作成したか作成者、資格、作成年月日を確認します。古い図面は直ちに無効ではありませんが、その後の分筆、地積更正、道路拡幅、越境物の変化がないかを追加確認します。
  • どこまで境界を確認したか隣接民有地との境界、道路・水路等との官民境界について、立会い、確認書、境界確定通知等がそろうかを確認します。図面上の線だけでは確認手続の有無は分かりません。
  • 現地と図面が対応しているか境界標の種類と位置、塀・フェンス・擁壁、道路形状、越境物を現地で照合します。境界標がない、移動しているように見える等の事情は測量専門家へ戻します。
  • 契約で使う面積と同じか実測面積欄に数字があっても、売買対象面積が登記簿面積で、代金を固定する契約はあります。面積の表示と代金計算の基準を分けて確認します。

登記面積と実測面積を照合する順番

  • 最新登記から登記簿面積を固定する

    売買対象の各筆について最新の登記情報を確認し、土地の表示欄へ一筆ごとの地積を転記します。実測面積との差を見つけても、登記地積を測量値へ置き換えません。

  • 公図・地積測量図の有無を調べる

    登記情報提供サービスまたは法務局で、地図・公図と地積測量図を確認します。地積測量図がない土地もあります。ある場合も、作成年代と図面内容を確認します。

  • 売主保管の測量・境界資料を集める

    確定測量図、現況測量図、境界確認書、道路境界図、分筆時の資料、隣地との覚書等を依頼します。図面と確認書が別冊になっていることがあります。

  • 測量図面の対象と求積結果を照合する

    地番、測点、座標、辺長、求積表、除外部分を確認し、売買対象範囲の面積かを判断します。複数筆合計なら、筆別内訳と合計の計算も照合します。

  • 現地と境界確認資料を照合する

    境界標、塀、道路、水路、越境の有無を現地で確認します。図面と現況に疑問があれば、仲介担当者だけで境界位置を決めず、作成者または土地家屋調査士へ確認します。

  • 実測面積欄・図面欄・契約条件をそろえる

    採用する面積、測量図面の名称・日付・作成者、売買対象面積、代金清算、図面の交付予定が矛盾しないかを最終確認します。

図面の状態による実測面積欄の考え方

実測面積欄の扱い追加で確認すること
確定測量図がある対象地と確認範囲が一致すれば、図面記載の実測面積を記載隣接所有者の確認資料、官民境界資料、作成日、作成者、現地境界標
現況測量図がある利用書式が求める『現況測量図』の定義を満たすか確認して記載民民・官民のどこまで確認済みか。単なる現況測量と同じ名称で呼ばれていないか
地積測量図だけがある地積測量図の数字を自動的に実測面積欄へ移さず、書式の扱いと作成経緯を確認作成年代、分筆・地積更正の範囲、座標・境界標、現況との一致
『測量図』だけがある名称だけでは記載可否を決めない。内容と確認資料が不足するなら実測面積として採用しない測量範囲、求積、作成者、境界立会い、確認書、官民境界
図面がない・未完成数字を推定せず、書式に従って未定・横線等とし、作製・交付予定を明示測量の種類、費用負担、期限、完了しない場合、代金清算との関係
架空の記載例|既存の確定測量図がある場合

実測面積:166.04㎡/土地に関する測量図面:確定測量図/2025年11月18日付/作成者:土地家屋調査士〇〇。前提は、売買対象一筆全体、隣接地と道路を含む境界確認資料、現地境界標まで照合できた場合です。

架空の記載例|決済前に測量する場合

実測面積:(未定)㎡/残代金支払日までに作製する確定測量図による実測面積とする。前提として、売買契約書側にも測量の種類、期限、費用負担、清算方法、測量が完了しない場合の処理を定めます。

埼玉県・東京23区でも、まず法務局資料と現地を照合します

実測面積と登記面積の読み分けは全国共通です。地域差が出るのは、道路・水路等との官民境界を確認する窓口です。東京23区では区道・都道・国道、埼玉県では市町村道・県道・国道等で管理者が変わるため、道路種別を決めずに一律の窓口へ照会しません。詳しい境界確認ルートは次の「測量図面と境界確認」で扱います。

通常の登記確認

登記情報提供サービスで最新登記、地図・公図、地積測量図の有無と内容を確認します。取得日時とPDFを案件記録へ残します。

証明書が必要な手続

官民境界の申請等で認証文付きの登記事項証明書や地図証明書を求められる場合は、所管窓口の必要書類を確認して法務局で取得します。オンライン請求を不慣れな方へ一律に勧めません。

図面と現地が合わない場合

対象地を管轄する法務局と土地家屋調査士へ確認します。仲介業者が図面上の線や塀の位置だけで筆界を決めるものではありません。

確認した公式資料:不動産登記規則75条・77条(e-Gov)不動産登記令・別表(e-Gov)分筆・地積更正と筆界の確認(法務省)地図・図面証明書の取得方法(法務局)登記情報提供サービス

面積差より先に、その数字が何を測ったものかを確認します

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

165.20㎡と166.04㎡のどちらが正しいか、と数字だけを比べないようにしています。先に、どの境界を、誰が、いつ、どの資料で確認して測った166.04㎡なのかを見ます。

登記簿面積と実測面積が違うこと自体は、直ちに記載ミスや境界紛争を意味しません。ただし、差の理由を推測で決めず、測量の範囲、作成年代、その後の登記、現地を確認します。差が取引判断や代金へ影響する場合は、売買対象面積と清算条項まで一体で見直します。

登記面積を一筆ごとに転記する方法は、「土地の表示」の記事で確認できます。次の記事では、実測面積が分かった後に、売買対象面積を公簿・実測のどちらにするかを整理します。

登記面積・測量図・契約条件の照合が必要なときは

物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します

  • 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
  • 取引資料の確認、現地・役所・法務局等の調査、重要事項説明書ドラフト作成

標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。

登記簿面積と測量図面の対象範囲を照合し、売買対象面積・測量図面欄と矛盾しない重要事項説明書ドラフトを作成します。

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。

実測面積でよくある質問

登記簿面積と実測面積が違えば、必ず地積更正登記が必要ですか?

売買の前提と登記手続を分けて検討します。法務省は、登記地積と実測面積が異なるときに登記地積を修正する手続を地積更正登記と説明していますが、差があれば自動的に仲介業者が申請要否を決めるものではありません。測量範囲、許容される誤差、分筆予定、契約条件を土地家屋調査士へ確認します。

地積測量図の面積を実測面積欄へ書いてよいですか?

自動的には転記しません。地積測量図は登記手続のため法務局へ提出された図面ですが、作成年代、対象範囲、境界確認の資料、現況との一致を確認し、利用書式が実測面積欄に求める図面に当たるか判断します。

測量図がない土地は売買できませんか?

測量図がないことだけで直ちに売買できないとはいえません。ただし、どの面積で価格を決めるか、境界をどの方法で明示するか、売主が測量図を作るか、いつまでに作るか、完了しない場合をどうするかを契約前に整理して説明します。

古い測量図でも使えますか?

古いことだけで排除しませんが、その後の分筆・地積更正・道路工事・区画整理の有無、現地境界標、越境、隣接所有者の確認資料を照合します。現在の売買対象と境界状況を支える資料にならなければ、新しい測量を検討します。

複数筆の実測面積は合計だけ書けばよいですか?

重説の実測面積欄が合計表示でも、調査記録には筆別の測量面積と合計根拠を残します。測量図の対象筆と売買対象筆が一致するか、私道や除外部分を含めていないかを確認します。

この記事は2026年9月2日時点の不動産登記法令、法務省・法務局・国土交通省の公開資料と、ユーザー提供の売買用重要事項説明書書式を確認して作成しています。公開中の図と記載例は当サイト独自の架空例です。実際には、利用する最新版書式、売買契約書案、測量図面、境界確認資料を照合してください。