重要事項説明書 A 不動産の表示|10

測量図・確定測量図・地積測量図の違い|図面がない土地と境界確認の注意点

売主から「測量図」を受け取りました。境界は確定済みですか?

図面の表題は「測量図」で、面積と辺長は書かれています。隣接所有者の署名や道路境界の資料は見当たりません。この図面を確定測量図として重説へ書いてよいでしょうか。

「測量図」という名前だけでは、境界確定済みとは判断できません

図面名ではなく、誰が・いつ・どの境界を・誰と確認したかを見ます。隣接民有地の確認書、道路・水路等の官民境界資料、作成者、座標・境界標、現地との一致を確認できなければ、確定測量図として扱いません。

公図、地積測量図、現況測量図、確定測量図、境界確認書を資料の目的と確認できる範囲で分ける図
資料にはそれぞれ役割があります。確定測量図という表題があっても、隣接所有者・道路管理者との確認資料や現地境界標まで一体で確認します。

測量図面がない土地も珍しくありません。地積測量図は、土地の表題登記、地積変更・更正、分筆等で提出される図面であり、すべての土地に当然備わる資料ではないためです。図面がないことだけで売買不可とはしませんが、面積、境界明示、測量義務、期限、費用、未了時の処理を契約前に整理します。

測量図を重説にどう書くかの診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

売買する土地の測量図を確認する
確認1売主は測量図を持っていますか?
  • 確認2隣地所有者の確認書と、道路・水路の境界資料はありますか?
    • 結論確認書と現地を照合して図面を記載
    • 結論道路・水路の管理者に官民境界を確認
    • 結論確定測量図とは書かず、作成者に確認
  • 結論地積測量図と書き、境界は資料で調査
  • 結論法務局・売主・行政・現地の順で調査
  1. 確認1売主は測量図を持っていますか?
    結論地積測量図と書き、境界は資料で調査
    結論法務局・売主・行政・現地の順で調査
  2. 確認2隣地所有者の確認書と、道路・水路の境界資料はありますか?
    結論確認書と現地を照合して図面を記載
    結論道路・水路の管理者に官民境界を確認
    結論確定測量図とは書かず、作成者に確認
  • 確認書と現地を照合して図面を記載

    確認書の境界点が図面の測点と合うか、現地の境界標が図面どおりかを照合し、作成後に分筆や道路工事がなかったかも確認します。重説には、図面の種類、作成年月日、作成者、交付済みか交付予定かを書きます。

  • 道路・水路の管理者に官民境界を確認

    接している道路・水路の管理者を調べ、境界図がすでにあるか、申請できるのは誰か、立会いの範囲と期間を聞きます。重説と契約書には、まだ確認できていない境界と今後の予定を書きます。

  • 確定測量図とは書かず、作成者に確認

    誰がどの境界を確認して作った図面かを、作成者に聞きます。分からなければ、土地家屋調査士に資料一式を渡して相談します。

  • 地積測量図と書き、境界は資料で調査

    図面の種類は、地積測量図と書きます。隣地・道路との境界は、確認書などの資料と現地の境界標で調べます。

  • 法務局・売主・行政・現地の順で調査

    隣の筆や分筆元の地積測量図、売主や前の所有者が持っている資料、道路・水路管理者の境界資料を集め、現地の境界標を確認します。測量するか、期限、費用負担、できなかった場合の扱いを契約前に決めて、重説と契約書に書きます。

図面と現地が合わないときや、境界標が見当たらないときは、土地家屋調査士に相談します。

測量図面と境界資料の扱いの判断です。不動産登記規則77条と、法務省・東京都・埼玉県の境界確認の公開資料に基づき当事務所作成。

測量図面を受け取ったら確認する8点

  • 対象地番と測量範囲売買対象の全筆、一筆全体、一筆の一部のどれを示すかを確認します。隣の筆の図面や、建築敷地だけの配置図を対象地の測量図と取り違えません。
  • 作成者・資格・作成日土地家屋調査士、測量士等の作成者、登録情報、作成年月日を確認します。登記申請や筆界確認を伴う業務か、現況把握だけかも確認します。
  • 座標・辺長・求積・基準点筆界点の座標、点間距離、求積表、縮尺、基準点、境界標の種類を見ます。法務局の地積測量図は、不動産登記規則77条所定の記録事項を確認します。
  • 民民境界の確認資料隣接民有地の所有者がどの境界点を確認したか、境界確認書・筆界確認書と図面の測点が対応するかを確認します。署名があるだけで全周確認済みとは限りません。
  • 官民境界の確認資料道路・水路・河川等との境界について、管理者が作成・証明した境界図、確定通知、確認書等を確認します。道路台帳の幅員線だけで官民境界確定済みとはしません。
  • 現地境界標と構造物コンクリート杭、金属標、鋲等の位置と図面記号を照合します。塀・擁壁・側溝・フェンスは境界線上にあるとは限りません。
  • 越境・被越境と覚書庇、雨樋、樹木、ブロック塀、擁壁、配管等の越境を確認し、覚書、撤去時期、承継条項が図面・物件状況報告書・契約書と対応するかを見ます。
  • 作成後の変更分筆・合筆・地積更正、道路拡幅、区画整理、境界標の亡失、隣地工事等がないか、最新登記・公図・現地で確認します。

測量図がない土地で境界資料を調べる順番

  • 最新登記と地図・公図をそろえる

    売買対象筆と隣接筆を確認し、法14条地図か地図に準ずる図面(公図)かを見ます。公図は位置関係の手掛かりであり、現地復元できる精度がない場合があります。

  • 地積測量図の有無と年代を確認する

    対象筆だけでなく、分筆元や隣接筆の地積測量図が手掛かりになる場合があります。ない場合は『取得漏れ』と決めつけず、そもそも備付けがない可能性を確認します。

  • 売主・前所有者の保管資料を集める

    測量図、境界確認書、道路境界図、筆界確認書、越境覚書、分譲時図面、区画整理・地籍調査資料等を確認します。図面と署名書類を別々に保管している場合があります。

  • 道路・水路の管理者と既存境界資料を調べる

    道路種別と管理者を特定し、区・市町村、都・県、国の所管窓口で境界確認済資料の有無を確認します。民有地同士の確認と官民境界確認を混ぜません。

  • 現地で境界標・越境・利用状況を確認する

    境界標の有無と種類、塀・擁壁・側溝、通路利用、越境物、隣地との高低差を写真と配置メモへ残します。現地確認だけで筆界を確定したことにはしません。

  • 土地家屋調査士へ資料一式を渡して判断を確認する

    測量や境界確認が必要なら、仲介会社が境界線を推定せず、土地家屋調査士へ登記・図面・現地資料を渡します。必要に応じて隣接所有者調査、官民境界確認、筆界特定等を検討します。

  • 重説・契約書へ未確認点と今後の処理を反映する

    現時点である図面、ない図面、未確認の境界、作製予定、期限、費用負担、交付資料、未完了時の措置を同じ前提で記載します。

公図・地積測量図・現況測量図・確定測量図の違い

「確定測量図」「現況測量図」は全国共通の法定証明書名ではなく、書式や作成者によって定義が異なる実務上の呼称です。次の表は当サイトの確認順を示すもので、図面名だけで証明力の順位を付けるものではありません。

主な役割この資料だけでは決められないこと
法14条地図法務局に備え付けられ、土地の位置・区画を明確にする地図。精度区分や座標を持つものがある現在の境界標、越境、隣接所有者との最新の確認状況、売買対象面積・代金条件
地図に準ずる図面(公図)法14条地図が整備されるまで備え付けられる図面。筆の位置関係や地番を調べる手掛かり法務省も現地を復元できるほどの精度・正確性を持たないものが多いと説明。線だけで境界位置を決めない
地積測量図表題登記、地積変更・更正、分筆等で法務局へ提出される一筆ごとの測量図。地積、求積、辺長、座標等を確認すべての土地にあるとは限らず、作成年代・内容も異なる。これだけで現在の全周境界が当事者間で確認済みとは決めない
現況測量図実務上の呼称。現地の境界標や構造物を測った図面。利用書式によっては民民境界確認済み・官民境界未確認を指す一般には立会いなしの現況測量を含むこともある。どの境界の確認を得たかは図面・確認書で個別確認
確定測量図実務上は、隣接民有地と道路等を含む全周の境界を確認して作成した図面を指すことが多い名称だけで全周確認済みとはしない。隣接者の確認書、官民境界資料、作成者、測点対応、作成後の変更を確認
道路境界図・境界確認書特定の道路・水路等と民有地の官民境界、または特定の隣接地との境界確認を示す対象辺以外の境界や土地全体の面積まで確定する資料とは限らない
測量図・実測図・求積図作成目的に応じて現況、建築計画、売買、造成等の寸法・面積を示す総称的な題名誰が何を確認して作ったか不明なまま、確定測量図・現況測量図のどちらかへ分類しない
重説へ書くときの原則

図面の種類、作成年月日、作成者、既に交付済みか、残代金支払日までに交付するか、作製・交付予定がないかを事実どおりに記載します。図面がないのに『境界確定済み』、地積測量図があるだけで『確定測量図あり』とは書きません。

東京23区・埼玉県では、道路管理者を特定して官民境界を調べます

官民境界の窓口は『東京都か埼玉県か』だけでは決まりません。最初に、接する道路・水路が区道・市町村道、都道・県道、国道、法定外公共物等のどれかと管理者を確認します。既存の境界確定図・証明がある場合と、新たな立会いが必要な場合でも手続が違います。

東京23区の区道・区有水路等

各区の道路・土木・管理担当へ、境界確定図等の有無と申請方法を確認します。23区で窓口名やオンライン公開状況が同じとは限りません。

東京23区内の都道・都有地

東京都建設局の所管建設事務所が地域別に担当します。建設局は、境界確認・確定申出から現地立会い、土地境界確定通知書、土地境界図の作成・閲覧等を案内しています。

埼玉県内の市町村道・水路

各市町村の担当課へ確認します。例えばさいたま市は、市管理の道路・水路と民有地の境界が不明な場合の境界確認申請と、確定済みの場合の証明申請を案内しています。

埼玉県道・県管理河川等

物件所在地を所管する県土整備事務所へ確認します。埼玉県の案内では、未確定なら立会いと境界確認書、確定済みなら道路台帳等と承諾書を基に境界証明を行う流れがあります。

国道・国管理河川

管轄する国道事務所・河川事務所へ確認します。同じ国道番号でも指定区間とそれ以外で管理者が異なる可能性があるため、道路台帳の所管を先に確認します。

自治体のオンライン地図や道路台帳は予備調査に使えますが、公開線をそのまま確定境界と扱いません。境界確認申請では認証付きの登記事項証明書・地図証明書等を求める窓口もあるため、申請前に必要書類を確認します。

確認した公式資料:法14条地図と公図(法務省)地積測量図の記録事項(e-Gov)分筆・地積更正と筆界(法務省)筆界特定制度(法務局)東京都の土地境界確認・確定申出東京都の境界確認担当一覧埼玉県の境界確認・境界証明さいたま市の道路・水路境界確認

境界標、塀、図面の線は、それぞれ別に確認します

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

現地に杭があるから確定、塀があるからそこが境界、確定測量図と書いてあるから安心、とは考えません。図面・確認書・行政資料・現地の四つを重ねます。

見つかった状況不動産会社が次に確認すること
境界標が見当たらない過去図面の標識種類と座標、亡失の経緯を確認。位置を推測して復元せず土地家屋調査士へ相談
塀と図面線がずれる塀の所有者、設置経緯、越境・被越境、覚書、撤去・再築時の処理を確認
隣地所有者が不明・相続未了登記・戸籍等の調査範囲、確認手続の見込みを土地家屋調査士へ相談。必要に応じ筆界特定等を検討
官民境界だけ未確認道路・水路管理者、既存境界図、申請者要件、立会い範囲、所要期間を確認
図面が一切ない法務局資料、売主資料、行政境界資料、現地の順で調査し、測量義務・期限・費用・不成立時の契約条件を決める

筆界は、土地が登記されたときに区画するものとして定められた線で、所有者同士の合意だけで変更できません。一方、所有権の範囲を示す所有権界とは一致しない場合があります。法務局の筆界特定制度も、新しい筆界や所有権界を決める制度ではなく、登記された際の筆界の位置・範囲を特定する制度です。境界トラブルの中身を分けて専門家へつなぎます。

面積欄との関係は、「実測面積」の記事と「売買対象面積」の記事で確認できます。

測量図面と境界資料の読み分けが必要なときは

物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します

  • 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
  • 取引資料の確認、現地・役所・法務局等の調査、重要事項説明書ドラフト作成

標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。測量業務そのものが必要な場合は土地家屋調査士との連携が必要です。

法務局図面、境界確認資料、道路管理者資料、現地状況を照合し、確認済みの範囲と未確認事項が分かる重要事項説明書ドラフトを作成します。

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。

測量図面と境界でよくある質問

確定測量図があれば境界トラブルはありませんか?

トラブルがないことを保証する資料ではありません。隣接所有者と道路管理者の確認資料、測点、作成後の所有者変更・工事、現地境界標、越境の有無を確認します。図面と現在の現地が一致しない場合は追加調査が必要です。

現況測量図と確定測量図の違いは何ですか?

実務上は、確定測量図を道路等を含む全周確認済みの図面、現況測量図を確認範囲が限定された図面として使い分ける書式があります。ただし、一般の『現況測量図』は立会いなしで現況を測った図を含むこともあるため、名称ではなく民民・官民の確認範囲を見ます。

地積測量図があれば確定測量図は不要ですか?

同じ役割ではありません。地積測量図は登記手続のため法務局へ提出された図面で、作成年代や内容が異なります。現在の全周境界、隣接所有者・道路管理者の確認、現地との一致を別に確認します。

公図の線を現地に当てれば境界が分かりますか?

公図が地図に準ずる図面である場合、法務省は現地を復元するほどの精度・正確性を持たないものが多いと説明しています。筆の位置関係を調べる手掛かりにはなりますが、その線だけで現地の境界点を決めません。

境界標がない土地は売買できませんか?

境界標がないだけで直ちに売買不可とはいえません。ただし、境界明示の方法、測量・標識設置の予定、期限、費用負担、完了しない場合、越境の扱いを契約前に決めます。位置の復元は土地家屋調査士へ相談します。

道路境界が確定していれば、土地全体の境界も確定済みですか?

限りません。道路境界図や境界証明は、通常は対象の官民境界を示す資料です。隣接民有地との各境界、土地全体の求積、現地境界標は別に確認します。

この記事は2026年9月2日時点の不動産登記法令、法務省・法務局、東京都、埼玉県、さいたま市の公開資料と、ユーザー提供の売買用重要事項説明書書式を確認して作成しています。「確定測量図」「現況測量図」等は実務上の呼称で、書式や作成者により意味が異なることがあります。実際には図面本体、確認書、作成者、所管行政庁の資料を確認してください。