代理人が不動産売買契約をする場合|委任状・代理権と重説の書き方
売主の家族が委任状を持参すれば、そのまま契約できますか?
売主本人は契約に来られず、子が実印を押した委任状と印鑑証明書を持参します。価格交渉、手付金の受領、契約解除、決済、引渡しまで代理人に任せるとのことですが、重要事項説明書と売買契約書には誰をどう書けばよいでしょうか。
本人を契約当事者として表示し、代理人と代理権を別に確認します
売主本人を売主欄へ記載し、代理人は本人のために契約行為をする者として別記します。本人・代理人双方の本人確認に加え、委任状の真正、対象不動産、契約条件、署名、手付金受領、解除、決済・引渡し等の権限範囲と本人意思を確認します。
民法上、代理人が権限内で本人のためにすることを示して行った意思表示は、本人に直接効力を生じます。反対に、権限が確認できない行為は当然に本人へ効力が生じるとは限りません。『契約締結を委任する』という一文だけで、価格変更や手付金受領、解除、決済まで含むと決めないことが重要です。
配偶者、子、同居親族、会社の従業員という関係だけで売買契約の代理権が生じるわけではありません。本人が契約当事者であることと、当日手続きを行う代理人の資格を分けて表示します。
代理人が契約するときの書き方診断フローチャート
当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。
- 確認2代理人は、どの立場で契約しますか?
- 結論本人を売主、代理人を別に書く
- 結論本人と法定代理人の資格を書く
- 結論本人・代理人・復代理人を書く
- 結論法人を売主とし資格を明示
- 結論共有者全員を売主として書く
- 確認1本人は、どれに当てはまりますか?結論法人を売主とし資格を明示結論共有者全員を売主として書く
- 確認2代理人は、どの立場で契約しますか?結論本人を売主、代理人を別に書く結論本人と法定代理人の資格を書く結論本人・代理人・復代理人を書く
- 本人を売主、代理人を別に書く
「売主 山田花子 代理人 山田太郎」のように、本人を売主として書き、代理人は資格を付けて書きます。代理人が家族でも、委任状の権限の範囲と本人の意思を確認します。
- 本人と法定代理人の資格を書く
本人の氏名と、成年後見人など法定代理人の資格・氏名を書きます。代理権は後見の登記事項で確認し、裁判所の許可が要るかも確認します。
- 本人・代理人・復代理人を書く
本人、代理人、復代理人の順に、だれがだれを代理するのかが分かるように書きます。代理人が復代理人を選べる根拠と、元の代理権が消滅していないことを確認します。
- 法人を売主とし資格を明示
売主は法人で、契約する代表者や担当者は資格を付けて書きます。代表権は法人登記で、担当者の権限は会社からの委任の書面で確認します。
- 共有者全員を売主として書く
売主欄には、代理する1人だけでなく共有者全員を書きます。代理する1人が、ほかの共有者それぞれから委任を受けていることと、全員の売却の意思を確認します。
委任状に実印と印鑑証明書があっても、本人の意思と、価格の変更・金銭の受領・解除・決済まで任せているかを本人に直接確認します。
代理契約と分かったら最初に確認する8点
- 本人と代理人の本人確認本人と代理人を別々に確認し、連絡先・面談方法・確認日時・確認者を記録します。
- 委任状の作成者と作成日本人が作成したこと、日付、原本、訂正、印影・署名、添付証明書との関係を確認します。
- 対象不動産所在地・地番・家屋番号・住戸番号・持分を特定し、今回の売買対象全部が委任範囲に含まれるか確認します。
- 価格・支払条件を決める権限売買代金、手付金、残代金、清算金、値引きや条件変更を誰が決められるか明確にします。
- 金銭を受領する権限手付金・残代金・清算金の受領、領収書作成、振込先指定の権限を個別に確認します。
- 解除・変更・合意をする権限手付解除、違約解除、契約変更、覚書締結まで任されているかを確認します。
- 決済・登記・引渡しの権限必要書類の交付、司法書士への委任、鍵の引渡し、占有移転を行えるか確認します。
- 代理権が現在も続いているか撤回、本人・代理人の死亡、成年後見等の事情がないか、契約直前にも本人へ確認します。
委任の相談を受けてから重説へ記載するまでの順番
- 契約当事者と当日行為者を分ける
売主・買主本人、代理人、連絡窓口、金銭受領者を一覧にし、役割を混ぜません。
- 本人へ直接確認する
売却・購入意思、物件、価格、代理人、委任範囲、代金の振込先を本人へ直接確認し記録します。
- 委任状を行為別に点検する
契約締結、条件変更、金銭受領、解除、決済、登記、引渡しを項目化して、明示された権限を確認します。
- 利益相反と複数代理を確認する
代理人が相手方でもある、売主・買主双方を代理する等の事情がないかを確認し、民法108条の扱いを検討します。
- 重説・契約書へ資格をそろえて記載する
本人を当事者として表示し、『売主 山田花子 代理人 山田太郎』のように代理資格を明示します。
- 契約時と決済時に再確認する
権限の変更・撤回、本人の状況、振込先、登記委任の範囲を登記担当司法書士と照合します。
代理の形によって追加確認が変わります
| 確認の中心 | 重説・契約書の表示 | 特に注意すること | |
|---|---|---|---|
| 個人売主の任意代理 | 本人意思、委任状、権限範囲 | 本人を売主、代理人を資格付きで別記 | 親族関係だけで権限ありとしない |
| 法人の担当者 | 法人登記、代表権、社内委任 | 法人を売主、代表者・代理人等の資格を明示 | 支店名・担当者名だけを売主にしない |
| 共有者の一人が代理 | 各共有者の持分、個別委任、全員の意思 | 共有者全員を売主として表示 | 一人の持分処分と共有物全体の売却を区別 |
| 成年後見等 | 登記事項、代理・同意権、裁判所許可、利益相反 | 本人と法定代理人等の資格を個別記載 | 通常の任意代理用委任状で処理しない |
| 復代理人 | 復代理人を選任できる根拠、元の権限、本人意思 | 本人・代理人・復代理人の関係を明示 | 委任の連鎖と各権限の存続を確認 |
架空例:売主 山田花子が山田太郎へ、例示市中央一丁目2番3号の土地建物を8,000万円で売却する契約の締結、手付金300万円の受領、残代金決済、鍵の引渡しを委任する。価格変更・解除権限まで任せるなら、その範囲も曖昧な包括文言にせず個別に確認します。
重要事項説明を誰が受けるかと、売買契約を誰が代理締結するかは同じとは限りません。買主側代理人へ説明する場合も、受領権限と契約代理権を分けて確認します。
東京23区・埼玉県でも代理権確認の基本は変わりません
代理に関する民法と本人確認の基本は全国共通です。東京23区・埼玉県の案件でも、物件所在地にかかわらず本人と代理人へ直接確認し、登記手続に必要な委任状は登記担当司法書士の案内と早めに照合します。海外居住者、公証・領事証明、成年後見等が関係する場合は、契約直前に書類不足が判明しないよう初期段階で確認します。
委任状は、本人確認の代わりではありません
| ありがちな確認 | 残る未確認事項 | 追加する確認 |
|---|---|---|
| 委任状と印鑑証明書がある | 本人作成か、撤回されていないか | 本人への直接確認、原本・作成経緯の記録 |
| 契約締結を委任とだけある | 価格変更、金銭受領、解除、決済の範囲 | 行為別の権限確認と必要な追記 |
| 代理人が親族・従業員 | 関係性とは別に契約権限があるか | 委任または代表権の根拠を確認 |
| 本人と連絡が取れない | 本人意思、代理権の存続、なりすましリスク | 完成扱いにせず、契約停止を含めて判断 |
物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します
- 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
- 取引資料の確認、現地・役所・法務局等の調査、重要事項説明書ドラフト作成
標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。
本人・代理人、委任範囲、登記名義、契約・決済行為を整理し、当事者表示と備考をそろえた重説ドラフトを作成します。
物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。代理人による不動産売買でよくある質問
委任状に実印があれば、本人へ確認しなくてもよいですか?
いいえ。委任状の真正、代理権の範囲と存続、本人の売却・購入意思を別々に確認します。印鑑証明書の所持だけで本人意思まで確定しません。
売主の子や配偶者なら委任状は不要ですか?
親族関係だけで不動産売買の代理権は生じません。本人が自ら契約しないなら、代理権の根拠と範囲を確認します。
代理人を売主欄へ書けばよいですか?
契約当事者は本人です。本人を売主として表示し、代理人は『代理人』等の資格を付けて別に記載します。
契約の委任状で残代金も代理人へ振り込めますか?
契約締結権限と代金受領権限は同じとは限りません。受領権限と本人指定の振込先を個別に確認します。
代理権が不足したまま契約するとどうなりますか?
無権代理の問題となり、本人の追認がない限り本人へ効力が及ばない可能性があります。契約前に権限を補完し、疑義があれば弁護士等へ確認します。