重要事項説明書 B 売主・占有|22

第三者の占有がある物件の重説|賃借人・使用借人・無権原占有の調べ方

売主以外の人が住んでいる物件は、重説にどう書きますか?

現地には売主の親族が住んでいます。賃貸借契約書はないと説明されていますが、毎月お金を渡しているとも聞きました。引渡しまでに退去する予定とのことです。第三者の占有は『無』としてよいでしょうか。

契約時点の占有者・範囲・根拠・引渡条件を記載します

売主以外の人が現に使用・支配しているなら、退去予定だけで第三者占有を『無』にしません。誰が、どこを、いつから、何の権原で占有し、売買後も続くかを確認し、契約時点の事実と引渡しまでの処理を分けて記載します。

第三者占有について占有者・占有範囲・法的根拠を確認し、賃貸継続・明渡し予定・根拠不明へ分ける流れ
最初に現況を固定し、賃貸借・使用貸借・転貸・留置・無権原等の根拠へ分けます。継続させるのか、引渡しまでに解消するのかを契約条件と結び付けます。

書面の賃貸借契約がなくても、賃料の支払いと使用合意があれば賃貸借の問題は残ります。親族だから当然に使用貸借、契約書がないから無権原とは判断できません。本人・占有者双方から契約経緯、金銭、期間、用途、返還合意を確認します。

建物賃貸借は、借地借家法31条により、建物の引渡しがあれば登記がなくてもその後に物権を取得した者へ対抗できる場合があります。賃貸中物件を売る場合は、買主が賃貸人の地位を承継するか、賃料・敷金・保証金・管理委託等をどう引き継ぐかも確認します。

第三者占有の重説の書き方診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

売主以外の人が物件を使っている
確認1いま使っている人は、どういう形で使っていますか?
  • 確認2売買のあとも、賃貸を続けますか?
    • 結論賃貸を継続し承継内容を書く
    • 結論引渡しまでの明渡しを条件に書く
  • 結論使用貸借の占有として書く
  • 結論原賃借人と転借人を分けて書く
  • 結論分かった事実と未確定事項を書く
  1. 確認1いま使っている人は、どういう形で使っていますか?
    結論使用貸借の占有として書く
    結論原賃借人と転借人を分けて書く
    結論分かった事実と未確定事項を書く
  2. 確認2売買のあとも、賃貸を続けますか?
    結論賃貸を継続し承継内容を書く
    結論引渡しまでの明渡しを条件に書く
  • 賃貸を継続し承継内容を書く

    占有者、範囲、賃貸の条件、買主が引き継ぐ内容を重説に書きます。賃貸人の地位と敷金等の承継、賃借人への通知を売買契約で決めます。

  • 引渡しまでの明渡しを条件に書く

    契約時点で賃借人が占有していることを重説に書きます。明渡しの期限、空室の確認方法、間に合わない場合の処理を売買契約で決めます。

  • 使用貸借の占有として書く

    占有している事実と根拠、続けるのか終えるのかを重説に書きます。退去するなら、明渡しの期限、残置物、間に合わない場合の処理を売買契約で決めます。

  • 原賃借人と転借人を分けて書く

    原賃借人と転借人、占有の範囲、それぞれの契約関係を重説に書きます。転貸の承諾と条件を確かめ、転貸を続けるのか終えるのか、敷金等をどうするのかを売買契約で決めます。

  • 分かった事実と未確定事項を書く

    だれが、どこを、いつから使っているかなど分かったことと、まだ分からないことを分けて重説に書きます。契約の見合わせも含めて、契約前に弁護士に確認します。

契約書がない場合や、内覧のときに不在だった場合も、売主以外の人が使っていれば重説に書きます。

売主以外の人が占有している物件の重説の判断です。民法601条以下、借地借家法31条、宅地建物取引業法35条に基づき当事務所作成。

第三者占有を見つけたら最初に確認する9点

  • 占有者の氏名・属性個人・法人、賃借人、転借人、親族、元所有者、従業員等の関係を確認します。
  • 占有する場所と範囲建物全部、一室、庭、駐車場、倉庫、越境部分等を図面と現地で特定します。
  • 占有開始時期と経緯いつ、誰の承諾で、どの契約・事情により占有を始めたかを確認します。
  • 法的根拠と契約書賃貸借、使用貸借、転貸借、地上権、留置権の主張、根拠なし等を分けます。
  • 賃料・敷金・保証金等金額、支払状況、滞納、預り金、更新料、原状回復、精算方法を確認します。
  • 期間・更新・解約条件契約期間、普通・定期、更新、解約申入れ、特約、明渡合意の有無を確認します。
  • 対抗力と登記建物の引渡し、土地・建物の登記、賃借権登記等から買主へ主張できる権利か検討します。
  • 売買後の扱い賃貸継続、使用継続、引渡しまでの明渡し、買主承諾のどれかを確定します。
  • 占有者への直接確認売主の説明だけに依存せず、可能な範囲で占有者の認識、契約、退去意思を確認して記録します。

現地確認から重説・契約条項へ落とす順番

  • 現地で占有の兆候を確認する

    表札、郵便受け、生活用品、車両、鍵、営業表示、メーター等を確認し、写真・平面図へ記録します。

  • 売主から占有者一覧を受け取る

    人・法人、使用場所、契約、支払、連絡先、鍵、明渡予定を一覧にします。

  • 契約書と実態を照合する

    賃貸借契約書、更新・解約通知、入金履歴、敷金台帳、転貸承諾等を現況と照合します。

  • 登記と対抗関係を確認する

    最新登記、建物引渡し等を確認し、買主が占有者へ明渡しを求められる前提を安易に置きません。

  • 継続か明渡しかを契約条件にする

    オーナーチェンジなら承継資料、空渡しなら明渡期限・確認方法・未了時の処理を定めます。

  • 契約前・引渡前に再確認する

    退去完了、残置物、鍵、敷金等の承継、新たな占有者がいないことを確認します。

占有の種類ごとに重説と契約条件を変えます

調べる資料・事実重説に書く内容契約で決めること
賃借人契約、引渡し、賃料、敷金、滞納、解約占有者、範囲、賃貸条件、承継内容賃貸人地位・敷金等の承継、通知
使用借人・親族使用合意、無償性、期間、返還時期、金銭占有の事実と根拠、継続・終了予定明渡期限、残置物、未了時の処理
転借人原賃貸借、転貸承諾、転貸条件、各当事者原賃借人と転借人、占有範囲、契約関係承継・終了手順、通知、敷金等
売主・元所有者が残る引渡時期、使用継続合意、鍵、荷物契約時点の占有と引渡条件明渡し・使用貸借・違約時の処理
権原不明・争いあり占有経緯、主張、訴訟・通知、警察・裁判記録等判明した事実と未確定事項を明示契約見合わせを含め弁護士確認

架空例:契約日時点で、対象建物2階部分を売主の兄 山田太郎が居住使用している。書面契約はなく、売主と占有者はいずれも2026年10月15日までに退去・残置物撤去・鍵返還を行うと確認している。引渡しは空室確認後とし、未了時の処理は売買契約書第○条による――というように、現況と将来の約束を分けます。

『空家』と『第三者占有なし』は同義ではありません

人が常時住んでいなくても、第三者が鍵や荷物を管理し、倉庫・駐車場・事業用スペースとして排他的に使っている場合があります。内覧時の不在だけで占有なしとしません。

東京23区・埼玉県でも、書面と現地の照合が中心です

占有・賃貸借の法的な基本は全国共通です。東京23区の共同住宅・店舗、埼玉県の戸建・倉庫・駐車場等でも、現地で使われ方と区画を確認し、契約資料・入金資料・鍵の管理と照合します。遠方所有者や管理会社が介在する場合は、現地確認者、契約管理者、金銭管理者を分けて聴取します。

退去予定は、現在の占有を消す事実ではありません

曖昧な説明不足している事実具体化する内容
親族が住んでいるだけ有償・無償、期間、返還合意契約経緯、金銭、明渡意思を双方確認
契約書がないから賃貸借ではない口頭合意、賃料支払、引渡し入金履歴と当事者の認識を確認
引渡しまでに退去する期限、残置物、鍵、未了時の処理空室確認と決済条件を契約化
オーナーチェンジ契約・敷金・滞納・管理の承継承継一覧と賃借人通知を準備

主な公式資料:民法借地借家法宅地建物取引業法国土交通省の現行重説様式例

売主以外の人・法人が物件を使っているときは

物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します

  • 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
  • 取引資料の確認、現地・役所・法務局等の調査、重要事項説明書ドラフト作成

標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。

占有者、使用範囲、契約・金銭、承継・明渡条件を現地と資料で整理し、重説ドラフトへ反映します。

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。

第三者の占有でよくある質問

引渡しまでに退去するなら、第三者占有は『無』でよいですか?

契約時点で第三者が占有しているなら、その事実を記載します。退去予定と明渡条件は将来の処理として分けて説明します。

賃貸借契約書がなければ、賃借人ではありませんか?

書面がないだけでは判断できません。使用合意、賃料の支払い、引渡し、期間等の実態を当事者双方から確認します。

売主の家族が無償で住んでいる場合も記載しますか?

売主本人以外が占有しているなら確認・記載の対象です。使用貸借等の根拠、範囲、明渡予定を確認します。

賃借人付きで売る場合、買主は必ず賃貸人になりますか?

賃貸借の対抗力、所有権移転登記、契約内容等を確認する必要があります。敷金等の承継も含め、個別に契約設計します。

占有者が退去を拒んでいる場合は、特約を書けば売れますか?

特約だけで明渡しが確実になるわけではありません。占有権原と紛争状況を確認し、契約見合わせも含めて弁護士等へ相談します。

この記事は2026年9月8日時点の民法、借地借家法、宅地建物取引業法および国土交通省の公開資料を確認して作成しています。占有権原の有無、賃貸借の対抗力、契約承継、明渡請求の可否は契約・引渡し・登記・利用実態等により変わります。占有者の権利や明渡しに争いがある場合は、契約前に弁護士等へ確認してください。