重要事項説明書 法令上の制限|41-2

外壁後退距離とは?1m・1.5mの調べ方と重説への書き方

第一種低層住居専用地域なら、外壁を必ず1m離すのでしょうか?

重説に『外壁の後退距離』という欄があります。第一種低層住居専用地域なら一律1mなのでしょうか。1.5mの場合、指定がない場合、物置や出窓の扱い、地区計画に別の距離がある場合をどう調べて書けばよいのか分かりません。

低層住居系だから自動適用ではなく、都市計画の指定がある場合だけです

建築基準法54条の外壁後退距離は、第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域・田園住居地域のうち、都市計画で限度が定められた区域に適用されます。指定できる距離は1mまたは1.5mです。用途地域名だけを見て1mと記載せず、都市計画図・計画書で指定の有無と数値を確認します。

距離は建築物の外壁またはこれに代わる柱の面から敷地境界線まで測ります。壁芯からではありません。ただし、地区計画、風致地区、建築協定等が、道路側・隣地側、バルコニー・出窓・車庫等について独自の測り方や例外を定めることがあります。

法46条の壁面線、地区計画の壁面の位置、民法234条の境界から50cmという相隣関係の規定も別の根拠です。法54条の指定が『無』でも、他の後退制限がないとは限りません。

外壁後退距離の欄に何を書くかの診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

重説の「外壁の後退距離」欄を書く
確認1都市計画図と計画書に、外壁後退距離の指定はありますか?
  • 確認2既存建物に、境界線までの距離が指定に足りない部分はありますか?
    • 結論「有」と指定の距離を記載
    • 結論政令の例外に当たるかを建築担当へ確認
    • 結論建築時期と指定日を調べる
  • 確認3地区計画や建築協定に、外壁を境界線から離す制限はありますか?
    • 結論「無」とし、地区計画等の距離を記載
    • 結論法54条の指定「無」と記載
  1. 確認1都市計画図と計画書に、外壁後退距離の指定はありますか?
  2. 確認2既存建物に、境界線までの距離が指定に足りない部分はありますか?
    結論「有」と指定の距離を記載
    結論政令の例外に当たるかを建築担当へ確認
    結論建築時期と指定日を調べる
  3. 確認3地区計画や建築協定に、外壁を境界線から離す制限はありますか?
    結論「無」とし、地区計画等の距離を記載
    結論法54条の指定「無」と記載
  • 「有」と指定の距離を記載

    「有・1m」または「有・1.5m」と書きます。外壁か柱の面から敷地境界線までの距離であることも書き、指定区域は都市計画図を別添にして示します。

  • 政令の例外に当たるかを建築担当へ確認

    指定は「有」のまま書きます。足りない部分の寸法と用途を配置図で確かめ、施行令135条の22に当たるかを建築担当へ確認して補足します。

  • 建築時期と指定日を調べる

    指定は「有」と書きます。既存不適格か違反かは資料なしでは決められないので、建築時期、指定日、確認申請・検査の資料、増改築の履歴を調べて建築担当へ確認します。

  • 「無」とし、地区計画等の距離を記載

    法54条の指定は「無」と書きます。地区計画などで決まっている距離と、どの境界線から測るかも書きます。

  • 法54条の指定「無」と記載

    低層住居専用地域でも、指定がなければ「無」と書きます。民法の境界から50cmの規定は、この欄ではなく、必要に応じて注意事項として説明します。

法54条の指定がある土地でも、地区計画・建築協定・風致地区で決まっている後退がないかを調べます。

外壁後退距離の欄に何を書くかの判断です。建築基準法54条と施行令135条の22に基づき当事務所作成。

境界線・外壁面・指定距離を同じ図面で確認します

敷地境界線から建物の外壁または柱の面までを測り、都市計画の1m・1.5m指定と地区計画等を重ねて確認する図
法54条は外壁・柱の面から敷地境界線までの距離です。地区計画や協定が別の対象部位・距離を定める場合は、同じ配置図へ重ねて確認します。
外壁を離す根拠法54条との違い確認する資料
用途地域の外壁後退距離低層住居系3地域のうち、都市計画が1mまたは1.5mを指定した区域。都市計画図、用途地域の計画書、指定区域線、施行令135条の22。
地区計画の壁面の位置用途地域を問わず地区整備計画で定め得る。0.5m・0.8m・1m等、対象境界や例外も地区ごとに異なる。地区計画書、計画図、地区区分、建築条例、届出資料。
建築協定・分譲時の約束土地所有者等の合意や承継条項に基づく制限。法54条の政令例外をそのまま使えるとは限らない。協定書、認可公告、区域図、運営委員会資料、売買契約資料。
民法の境界から50cm隣地所有者との相隣関係の規定。行政の建築確認・重説の法54条欄とは別に検討する。民法234条・236条、地域の慣習、隣地との合意、現況資料。
  • 用途地域と指定値を一組で確認する第一種低層住居専用地域であっても指定なしの自治体・区域があります。地図の凡例で『外壁後退距離』の有無を確認し、計画書の該当行へ戻ります。
  • どの境界線から測るかを確認する道路境界・隣地境界の全てが対象か、区域線・道路後退後の境界との関係はどうかを確認します。境界未確定なら、距離も確定できません。
  • どの建築部分まで測るかを確認する法54条は外壁・柱の面が基準ですが、地区計画や協定がバルコニー、出窓、外階段、車庫、物置等を個別に扱う場合があります。制度ごとの文言を読みます。

用途地域の指定から別制度・既存建物まで六段階で調べます

  • 建築上の敷地と境界線を確定する

    地番、公図、確定測量図、現況測量図、道路境界資料、建築確認配置図をそろえます。複数筆を一敷地として使う場合、売買対象筆の境界と建築敷地の外周を混同しません。

  • 公式都市計画図で用途地域と外壁後退指定を確認する

    第一種・第二種低層住居専用地域または田園住居地域か、外壁後退距離の限度が1m・1.5m・指定なしのどれかを確認します。区域境界付近は都市計画担当へ照会します。

  • 都市計画決定図書で区域と数値を裏付ける

    Web地図の表示だけで終えず、用途地域の計画書・計画図・決定日を確認します。敷地が指定区域の内外にまたがるときは、建築物の位置を含め所管へ適用範囲を確認します。

  • 地区計画・条例・風致地区・協定等を重ねる

    地区名・地区区分、道路側と隣地側の距離、対象部位、例外、届出・許可、条例化を調べます。法54条の政令例外と同じ文言に見えても、その制度で採用されているかを確認します。

  • 既存建物の外壁面と附属建物を測る

    配置図、概要書、現況測量、現地写真から、母屋・車庫・物置・柱付きバルコニー・外階段等を確認します。資料と現況が違えば、増改築時期と手続資料を調べます。

  • 指定・例外・別制度・現況を分けて重説へ記載する

    法54条の有無と数値、政令例外の確認結果、地区計画等の別の距離、既存建物の現況、未確認事項、添付配置図を分けます。

窓口での質問例

『地番○番○ほか○筆を一つの建築敷地として、重説作成のため確認します。建築基準法54条による外壁後退距離の指定はありますか。指定値は1m・1.5mのどちらで、区域境界はどこですか。道路境界・隣地境界の全てが対象ですか。施行令135条の22の例外に該当する部分はありますか。地区計画、建築協定、風致地区等による別の壁面後退と、既存建物に関する記録・扱いも教えてください』と、地番図・測量図・配置図を示します。

外壁後退距離と政令例外の公式根拠:建築基準法54条建築基準法施行令135条の22民法234条・236条

指定なし・1m・1.5m・政令例外を前提付きで書き分けます

以下は書き分け方を示す架空例です。使用する書式の選択肢・備考欄と、所在地の計画書・条例・所管回答に合わせて調整します。

確認結果欄の整理独自の記載例
法54条・1m指定有・1m。指定区域と境界線を図示。『建築基準法54条による外壁後退距離の限度:1m。建築物の外壁またはこれに代わる柱の面から敷地境界線まで。指定区域は別添都市計画図参照。』
法54条・1.5m指定有・1.5m。1mと読み替えない。『第一種低層住居専用地域のうち、外壁後退距離1.5mの指定区域に該当します。対象区域・建物位置は別添計画図および配置図参照。』
低層住居系だが指定なし法54条は無。別制度を調べた結果も補足。『用途地域は第一種低層住居専用地域ですが、法54条による外壁後退距離の指定はありません。地区計画等の別制限は次項のとおりです。』
法54条なし・地区計画0.8m法54条は無。地区計画の壁面の位置を別に記載。『法54条による外壁後退距離の指定はありません。○○地区地区計画により、道路境界線から外壁等を0.8m以上後退する制限があります。』
1m指定・一部が政令例外候補指定自体は有。例外部分の寸法・用途を確認して補足。『外壁後退距離1m。北側の後退距離不足部分は、外壁等の中心線長さ合計3m以下として施行令135条の22第1号への該当を所管確認済みです。寸法は別添配置図参照。』

政令例外1:後退不足部分の中心線長さの合計が3m以下

施行令135条の22は、指定距離に満たない位置にある外壁・柱部分について、その中心線の長さの合計が3m以下の場合を定めています。建物全周の長さではなく、後退不足となる部分を図面で集計します。地区計画等に同じ例外があるとは限りません。

政令例外2:小規模な物置等

物置その他これに類する用途で、軒の高さ2.3m以下、かつ床面積の合計5㎡以内の場合です。車庫・カーポート・自転車置場等を自動的に『物置その他これに類する用途』へ含めず、構造・用途と所管運用を確認します。

法54条の例外は、他制度の例外ではありません

地区計画、建築協定、風致地区等は独自の例外を持つことがあります。法54条で適法な出幅・附属建物でも、別制度では後退を求められる場合があります。

既存建物が1m未満でも直ちに違反と断定しません

指定前の建物、指定後に適法な手続を経た建物、政令例外、資料と現況の不一致等を確認します。建築時期、指定日、確認申請・検査資料、増改築履歴を調べ、既存不適格か違反かを資料なしで決めません。

民法50cmは、法54条の欄とは別です

民法234条は建物を境界線から50cm以上離す規定で、同236条は異なる慣習があればその慣習に従うとしています。建築確認で法54条指定なしでも、隣地との民事上の問題が消えるわけではありません。重説の法54条欄へ『50cm』とだけ転記せず、必要に応じ別の注意事項として扱います。

同じ都県でも指定の有無と根拠が違います

地域・例確認できること実務上の注意
埼玉県内所在地市町村の都市計画図・計画書を確認し、建築上の所管は埼玉県の窓口一覧で特定します。県内共通で1mという指定はありません。法54条の用途地域指定、地区計画、建築協定、風致地区等を別々に確認します。
秩父市の確認例市の都市計画案内は、用途地域に法54条の外壁後退距離を定める地域はないと案内しています。『埼玉県は指定なし』という意味ではありません。対象市町村の現行資料で同じ確認を行い、地区計画等を追加調査します。
所沢市の地区計画例西武秋津団地地区地区計画は道路境界線から0.8mの壁面位置を定めています。0.8mは法54条の1m・1.5m指定ではなく地区計画による制限です。計画独自の物置・車庫例外も確認します。
東京23区:足立区の例用途地域の都市計画決定資料には、第一種低層住居専用地域の一部に外壁後退距離1.0mの指定があります。第一種低層の全域ではありません。計画図で対象区域を特定し、境界付近は区の都市計画・建築担当へ確認します。
東京23区:練馬区・港区練馬区と港区は、用途地域の都市計画には法54条の指定がないと案内しています。両区とも地区計画等による壁面位置の制限は別にあり得ます。区名だけで『後退なし』と書きません。

さいたま市では公式地図で用途地域を予備調査した後、地区計画一覧から地区名・地区区分・計画書・計画図へ進みます。法54条の指定値は都市計画担当、例外や既存建物の扱いは建築審査・建築指導担当へ確認し、同じ質問を一つの窓口だけで終えません。

埼玉県・東京23区の公式確認先:さいたま市の都市計画調査案内さいたま市の地区計画一覧東京都の都市計画情報サービス足立区の用途地域決定資料練馬区の外壁後退距離案内港区の外壁後退距離案内

指定値より、何の制度でどこから測るかが重要です

調査・記載の誤り起こり得る不利益防ぎ方
第一種低層だから1mと記載指定なしの土地へ存在しない制限を説明し、建築可能範囲を過小に案内する可能性。用途地域名と外壁後退の指定値を計画書で別々に確認。
法54条なしで調査終了地区計画・協定・風致地区等の後退を見落とし、予定建物が成立しない可能性。別制度を一覧化し、各計画書・区域図を確認。
壁芯・軒先から一律に測る距離不足または過大評価となり、配置計画・増築可能性を誤る可能性。各制度の基準面と対象部位を図面に明記。
法54条の政令例外を地区計画にも使用地区計画条例等へ適合せず、設計変更・届出や許可のやり直しが生じる可能性。例外条項を制度ごとに読み、所管回答を保存。
現況だけ見て再建築も同じと説明既存不適格・過去の例外・違反・現在の指定を混同し、建替え計画を誤らせる可能性。建築時期、指定日、確認資料、現行制限を分けて説明。
  • 区域・数値の資料都市計画図・凡例、用途地域計画書・計画図、決定日、区域境界の照会記録。
  • 別制度の資料地区計画書・地区区分図・条例、建築協定書・区域図、風致地区・景観・分譲時資料。
  • 距離・現況の資料確定測量図、道路境界資料、配置図、現況測量、外壁・柱・附属建物の寸法、現地写真。
  • 例外・履歴の資料施行令例外の寸法計算、確認申請図書、概要書、検査済証、増改築資料、照会日時・部署・回答。
用途地域・地区計画・境界資料をまとめて確認したいときは

物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します

  • 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
  • 都市計画指定、地区計画、境界・建物資料、例外の確認から重要事項説明書ドラフト作成まで

標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。

距離の数字だけでなく、適用根拠・測る位置・例外・別制度まで整理します。

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。

外壁後退距離の調査・記載でよくある質問

第一種低層住居専用地域なら必ず1m後退ですか?

必ずではありません。都市計画で法54条の外壁後退距離を指定した区域だけが対象です。練馬区や港区のように用途地域側の指定がない区もあり、足立区のように一部で1m指定がある例もあります。

1mは外壁の中心から測りますか?

法54条は外壁またはこれに代わる柱の面から敷地境界線までです。壁芯ではありません。ただし、政令例外では後退不足部分の外壁・柱の中心線長さを使い、地区計画・協定は独自の測り方を定めることがあります。

出窓やバルコニー、カーポートも1m後退が必要ですか?

形状・柱の有無・制度の文言で扱いが変わります。法54条だけでなく、地区計画、建築協定、風致地区等が出窓・バルコニー・車庫を個別に規定していないか確認し、図面を示して所管へ照会します。

外壁後退の指定がない土地なら、境界ぎりぎりに建てられますか?

法54条指定なしだけでは判断できません。地区計画・建築協定・風致地区・壁面線、民法234条、窓の目隠し、施工や維持管理の空間等を別に確認する必要があります。

既存住宅が境界から50cmしか離れていません。建替えも同じ位置でできますか?

現況位置が将来の建替え可能位置を保証するわけではありません。現在の法54条指定、地区計画等、建築時期と指定日、既存不適格・政令例外・改変履歴を確認してから判断します。

この記事は2026年9月20日時点の法令と自治体公式資料を確認して作成しています。記載例は説明用の架空例です。個別土地の用途地域、外壁後退距離の指定区域、境界線、建築物の対象部分、地区計画・協定・風致地区等の重複、既存建物の適合性は、物件所在地の都市計画・建築指導担当へ確認してください。