用途地域とは?調べ方と重説の書き方を13種類から整理
用途地域を見れば、戸建てをどの高さまで建てられるか分かりますか?
売買予定地の用途地域を調べると、第一種低層住居専用地域などの名称と建ぺい率・容積率が表示されました。この情報だけで、建てられる住宅の用途、広さ、高さまで判断してよいのでしょうか。重要事項説明書には何を書けばよいですか。
用途地域は入口です。用途・規模・高さの制限を分けて確認します
用途地域は、地域ごとに建てられる建物の用途や土地利用の方向を定める制度です。しかし、用途地域名だけで、その敷地に建てられる住宅の高さや床面積は確定しません。指定建ぺい率・指定容積率とともに、前面道路幅員、絶対高さ、斜線、日影、高度地区、地区計画等を続けて確認します。
用途地域は13種類あり、住居系8種類、商業系2種類、工業系3種類に分けられます。都市計画法9条は各地域を定める目的を、建築基準法48条と別表第二は建築できる用途・できない用途を定めています。重説調査では制度を暗記することより、対象地に指定された地域と数値を最新の資料で確定することが先です。
特に戸建てでは、低層住居専用地域等に指定される10mまたは12mの絶対高さ、外壁後退、北側斜線の有無が計画に直接影響します。低層系以外でも、道路斜線、隣地斜線、日影規制、高度地区、地区計画等が重なるため、『第一種住居地域だから3階建てができる』のように用途地域名だけで断定しません。
用途地域を重説にどう書くかの診断フローチャート
当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。
- 確認2指定されているのは、どの用途地域ですか?
- 結論指定値と絶対高さ・外壁後退を記載
- 結論建物の用途を別表第二で確認
- 結論用途地域名・指定値と斜線・日影を確認
- 結論両方の用途地域と区域線を記載
- 結論「指定なし」と記載し他の制限を調査
- 確認1敷地には、用途地域がいくつ指定されていますか?結論両方の用途地域と区域線を記載結論「指定なし」と記載し他の制限を調査
- 確認2指定されているのは、どの用途地域ですか?結論指定値と絶対高さ・外壁後退を記載結論建物の用途を別表第二で確認結論用途地域名・指定値と斜線・日影を確認
- 指定値と絶対高さ・外壁後退を記載
用途地域名、指定建ぺい率・指定容積率に加えて、建築物の高さの限度と、外壁後退距離の指定があるかを重説に書きます。高さの限度が10mか12mかは、都市計画図と窓口で確認します。
- 用途地域名・指定値と斜線・日影を確認
用途地域名と指定建ぺい率・指定容積率を重説に書きます。建てられる高さは用途地域名だけでは決まらないので、道路斜線、隣地斜線、日影規制、高度地区、地区計画も調べます。斜線の調べ方は、高さ制限・斜線制限で説明しています。
- 建物の用途を別表第二で確認
工業専用地域には住宅を建築できません。戸建てや共同住宅の売買では、対象の建物の用途を建築基準法別表第二と照らし合わせて確認します。
- 両方の用途地域と区域線を記載
両方の用途地域と指定値を書き、区域線と各部分の面積を別添図で示します。用途制限は敷地の過半が属する地域の規定が原則として敷地全体に適用され、建ぺい率・容積率は各部分の面積割合で算定します。
- 「指定なし」と記載し他の制限を調査
用途地域は「指定なし」とし、指定建ぺい率・指定容積率を書きます。指定がなくても建築の制限はあるので、区域区分、建築基準法48条14項、開発許可、条例を調べます。区域区分の調べ方は、都市計画区域・区域区分で説明しています。
市区町村のWeb地図は予備調査に使い、区域線と指定値は都市計画担当の窓口で確認します。敷地が区域線にかかるときの適用は、敷地図を示して建築指導担当へ確認します。
用途地域の後に、建物の大きさと形を決める指定を追います
- 用途地域名と区域線敷地全体が一つの用途地域か、区域境界が敷地を横切るかを確認します。住所の検索点だけでなく、売買対象となる全筆と敷地境界を地図へ重ねます。
- 指定建ぺい率・指定容積率地図に表示された数値を保存します。ただし、実際に使える容積率は前面道路幅員による制限を受け、建ぺい率は防火地域・準防火地域や角地等の条件で変わることがあります。
- 高さ・形態と重複指定絶対高さ、道路・隣地・北側斜線、日影規制、高度地区、外壁後退、敷地面積の最低限度、地区計画、防火地域等を別項目として確認します。
地番と敷地を特定してから、地図・計画書・窓口回答をそろえます
- 売買対象の地番と敷地範囲を確定する
登記情報、公図、地積測量図、現地資料から全筆を確認します。住居表示は検索に使えても、用途地域の区域線と敷地の位置関係を確定する資料にはなりません。
- 市区町村の公式地図で予備調査する
用途地域名、指定建ぺい率、指定容積率、区域線を表示し、画面または印刷結果へ物件位置、閲覧日、地図名を残します。同時に高度地区、防火地域、地区計画等のレイヤーも確認します。
- 一つの検索点で終わらせず、敷地全体を見る
角地、複数筆、路線沿い、区域境界付近は敷地の各角を確認します。地図上の色分けが敷地を横切るように見えるときは、過半判定や面積按分を自分で推測しません。
- 都市計画担当窓口で指定を確定する
地番、公図、敷地図、公式地図の印刷を示し、用途地域、区域線、各部分の指定値、指定変更の有無、根拠となる都市計画図・証明等を確認します。回答日、部署、担当者、回答内容を記録します。
- 建築指導担当へ建築基準法上の適用を確認する
用途制限、建ぺい率・容積率、絶対高さ、斜線、日影等の適用は建築計画や道路条件で変わります。境界をまたぐ場合や既存建物の適法性を確認する場合は、配置図等を示して照会します。
- 重説の欄と添付資料へ落とし込む
用途地域名と指定数値を記載し、複数指定、区域境界、条例・地区計画等の制限を追記します。地図や照会記録を保存し、建築可能性を保証する表現は避けます。
『地番○番○ほか○筆を一敷地として売買します。敷地全体の用途地域、各区域の境界、指定建ぺい率・容積率、絶対高さ、高度地区、日影規制、地区計画等を確認したいです。境界を示す根拠図面と、現在手続中または未反映の指定変更はありますか』と、敷地図を示して質問します。
13種類は、名称の暗記より土地利用の目的で分けると読みやすくなります
| 区分 | 用途地域 | 重説調査で意識すること |
|---|---|---|
| 住居系・低層 | 第一種低層、第二種低層、田園住居 | 低層住宅等の環境を守る地域。建築物の絶対高さ10mまたは12m、外壁後退、北側斜線等を続けて確認 |
| 住居系・中高層 | 第一種中高層、第二種中高層 | 中高層住宅の環境を守る地域。用途制限のほか、北側斜線または日影規制、高度地区等を確認 |
| 住居系・一般 | 第一種住居、第二種住居 | 住居環境を守りながら一定の店舗・事務所等を許容。建物用途と規模条件を個別に照合 |
| 住居系・沿道 | 準住居 | 道路沿道の業務利便と住居環境の調和を図る地域。幹線道路沿いでは用途地域の路線指定と区域幅を確認 |
| 商業系 | 近隣商業、商業 | 店舗・事務所等の利便を図る地域。指定容積率が高くても、前面道路幅員や防火地域、高度地区等を別確認 |
| 工業系 | 準工業、工業、工業専用 | 工業の利便を図る地域。工業専用地域では住宅を建築できないため、戸建て・共同住宅の売買では特に用途を照合 |
一つの用途地域の場合の記載例(架空)
用途地域:第一種低層住居専用地域。指定建ぺい率:40%、指定容積率:80%。建築物の高さの限度:10m。外壁後退距離:指定なし。※数値と指定は対象自治体の最新資料で置き換えます。
用途地域をまたぐ場合の記載例(架空)
本敷地は第一種住居地域(建ぺい率60%・容積率200%)と近隣商業地域(建ぺい率80%・容積率300%)にまたがります。区域線および各部分の面積は別添図のとおりです。用途制限は敷地の過半が属する地域の規定が原則として敷地全体に適用され、建ぺい率・容積率は各部分の面積割合に応じて算定します。
用途地域の指定がない場合の記載例(架空)
用途地域:指定なし。指定建ぺい率:60%、指定容積率:200%。用途地域の指定がないことは、建築制限がないことを意味しません。都市計画区域・区域区分、建築基準法48条14項、道路、開発許可、条例等を別途確認します。
建築物の用途は、建築基準法91条により敷地の過半が属する地域の規定を敷地全体へ適用するのが原則です。一方、建ぺい率は53条2項、容積率は52条7項により各区域の面積割合で算定します。高さ関係は制限の種類によって適用方法が異なるため、区域線と建物配置を示して建築指導窓口へ確認します。
埼玉県・東京23区は、簡易地図と最終確認先を分けます
埼玉県内は、市町村ごとに公開地図と照会窓口が分かれます。たとえば、さいたま市は『さいたま市地図情報』で用途地域、防火地域・準防火地域、地区計画、都市計画道路等を確認できます。電話・窓口照会は都市計画課ではなく、西・北・大宮・見沼・岩槻区が北部都市計画指導課、中央・桜・浦和・南・緑区が南部都市計画指導課です。
東京都23区は東京都の都市計画情報等インターネット提供サービスで予備確認できますが、東京都もインターネット地図を概略位置の参考として扱っています。区域境界や正式な指定は、物件所在地の区の都市計画担当窓口で確認します。地図の表示内容を無断で取得・再配布せず、独自地図を作る場合は利用条件を確認した別データを用います。
埼玉県全域を一つの地図で検索できる仕組みは作れます。国土交通省の国土数値情報には埼玉県の用途地域名、建ぺい率、容積率等が含まれます。ただし最新公開データは2019年度作成で、主に約1/25,000の都市計画総括図を基にしており、国土交通省も精緻な作業には使用せず自治体へ確認するよう注意しています。したがって、物件の候補指定を素早く見つけ、市町村の公式地図と窓口へ移動できる『予備調査用地図』として設計するのが適切です。
| 地図・資料 | 使い方 | そのまま確定に使えない理由 |
|---|---|---|
| 独自の埼玉県簡易地図 | 住所から用途地域の候補と指定値を探し、自治体ページへ進む入口 | 基礎データの作成年・縮尺・自治体ごとの更新差がある |
| 市区町村の公式Web地図 | 最新の指定を予備確認し、周辺の高度地区・防火地域・地区計画等も重ねる | 画面上の線は敷地境界や都市計画決定線を厳密に確定するものではない |
| 都市計画図・窓口回答 | 境界、指定値、変更履歴、根拠資料を確定し、照会記録を保存 | 建物計画に対する建築基準法の適用は建築指導担当への確認が別に必要 |
用途地域を調べる公式サイト:さいたま市|用途地域等の調べ方と窓口さいたま市|地図情報埼玉県|埼玉県GIS東京都|都市計画情報等インターネット提供サービス国土交通省|国土数値情報 用途地域データ
色と名称を書き写すだけでは、建築できる戸建ての姿は分かりません

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
用途地域を調べたら、そこで終わりではなく、建物の用途・規模・高さの三方向へ調査を分けます。
| 調査・記載の誤り | 起こり得る不利益 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 住所検索の一点だけを見る | 複数筆や敷地端が別の用途地域に入り、用途・建ぺい率・容積率の判断を誤る可能性 | 全筆と敷地境界を公図等で特定し、各角を確認 |
| 用途地域名だけ記載する | 指定数値や絶対高さ、重複指定が伝わらず、想定した戸建て・共同住宅が建たない可能性 | 建ぺい率・容積率と高さ・形態の指定を別項目で調査 |
| 指定容積率をそのまま使えると説明する | 前面道路幅員による容積率制限で、予定床面積を確保できない可能性 | 道路種別・幅員を測り、法52条2項の制限と比較 |
| 低層地域なら高さ10mと決めつける | 12m指定、例外、外壁後退、北側斜線等の適用を誤る可能性 | 公式地図・都市計画決定と建築指導窓口で個別指定を確認 |
| 用途地域をまたぐ敷地を多数側だけで処理する | 建ぺい率・容積率の面積按分を誤り、建築計画が成立しない可能性 | 用途制限と建ぺい率・容積率を別のルールで判定 |
| 古い国土数値情報で確定する | 指定変更や細かな区域線が反映されず、重説記載が現行指定と異なる可能性 | 簡易地図は入口とし、市区町村の最新資料と窓口で確定 |
物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します
- 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
- 用途地域、建ぺい率・容積率、高さ・形態、地区計画等の調査から重要事項説明書ドラフト作成まで
標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。
公式地図、登記・公図、道路条件、自治体回答を照合し、指定値と建築上の注意点を整理します。
物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。用途地域についてよくある質問
用途地域とは何ですか?
都市計画で定める地域地区の一つで、住居・商業・工業など土地利用の方向と建築できる建物用途を地域ごとに定める制度です。現在は13種類あります。
用途地域が分かれば、戸建ての高さも分かりますか?
用途地域は高さ制限を調べる入口ですが、それだけでは確定しません。低層住居専用地域等の絶対高さ、道路・隣地・北側斜線、日影規制、高度地区、地区計画等を続けて確認します。
工業地域にも住宅を建てられますか?
工業地域では住宅を建築できますが、工業専用地域では建築できません。周辺環境や条例、既存用途も含め、対象建物が建築基準法別表第二の範囲に入るか確認します。
用途地域の指定がない土地は自由に建てられますか?
自由という意味ではありません。区域区分、開発許可、建築基準法48条14項、指定建ぺい率・容積率、道路、条例等を別途確認します。市街化調整区域では開発・建築の可否を先に確認します。
敷地が二つの用途地域にまたがるとき、どちらを書きますか?
両方を書き、区域線と各部分を図示します。用途制限は敷地の過半が属する地域が原則ですが、建ぺい率・容積率は各部分の面積割合で算定するため、片方だけを記載しません。
オンラインの用途地域図だけで重説を作れますか?
境界から離れた単純な土地の予備確認には有用ですが、区域境界、複数筆、指定変更、地番と住居表示のずれがある場合は不足します。市区町村の最新資料と担当窓口で確定し、照会記録を保存します。
埼玉県全域の用途地域図は作れますか?
予備調査用なら作れます。国土数値情報等を使って用途地域の候補を表示し、市町村の公式地図・窓口へ案内する形が適切です。公開データの作成年と縮尺に限界があるため、売買調査の最終根拠にはしません。