重要事項説明書 法令上の制限|41-1

壁面線とは?指定図の調べ方と重説への書き方

壁面線とは、道路境界線から建物を離す線のことでしょうか?

重要事項説明書に『壁面線』という欄があります。道路のセットバック線や、地区計画図に描かれた壁面線と同じものなのか分かりません。どこで指定の有無と正確な位置を確認し、何を書けばよいのでしょうか。

この欄では、まず建築基準法46条の指定があるかを確認します

壁面線は、特定行政庁が街区内の建物位置を整えて環境を向上させるため、建築基準法46条により指定する線です。指定があると、原則として建物の壁・柱と高さ2mを超える門・塀を壁面線より道路側等へ出して建築できません。重説では、指定の有無、指定位置、根拠となる指定図・告示、法47条の制限を確認します。

道路境界線、42条2項道路のみなし境界線、都市計画道路の計画線、地区計画の『壁面の位置の制限』は、それぞれ別の線です。自治体資料が地区計画上の限度線を便宜上『壁面線』と呼ぶこともありますが、法46条の指定と同じだと決めず、根拠条文を確認します。

低層住居系の用途地域で都市計画が1mまたは1.5mを指定する外壁後退距離も別制度です。同じ土地に複数の後退制限が重なる場合は、どれか一つを選ぶのではなく、それぞれの適用範囲と例外を調べます。

壁面線の欄に何を書くかの診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

重説の「壁面線」欄を書く
確認1建築基準法46条の壁面線は、指定されていますか?
  • 確認2同じ敷地に、地区計画の壁面の位置の制限もありますか?
    • 結論法46条の壁面線「有」と記載
    • 結論法46条と地区計画の両方を記載
  • 確認3地区計画の壁面の位置の制限か、2項道路の後退はありますか?
    • 結論「無」とし、地区計画は備考に記載
    • 結論「無」とし、後退は接道の欄に記載
    • 結論壁面線「無」と記載
  1. 確認1建築基準法46条の壁面線は、指定されていますか?
  2. 確認2同じ敷地に、地区計画の壁面の位置の制限もありますか?
    結論法46条の壁面線「有」と記載
    結論法46条と地区計画の両方を記載
  3. 確認3地区計画の壁面の位置の制限か、2項道路の後退はありますか?
    結論「無」とし、地区計画は備考に記載
    結論「無」とし、後退は接道の欄に記載
    結論壁面線「無」と記載
  • 法46条の壁面線「有」と記載

    指定年月日、公告・告示、対象の区間と距離を書き、指定図を添付します。建物の壁・柱と高さ2mを超える門・塀が法47条の制限を受けることも書きます。

  • 法46条と地区計画の両方を記載

    法46条の壁面線と、地区計画の壁面の位置の制限を両方書きます。それぞれの線の位置・対象部分・例外は、重ね図を別添にして示します。

  • 「無」とし、地区計画は備考に記載

    法46条の壁面線は「無」と書きます。地区計画の名称・地区区分と壁面の位置の制限は備考などに書き、計画図と条例を添付します。

  • 「無」とし、後退は接道の欄に記載

    法46条の壁面線は「無」と書きます。42条2項道路のみなし道路境界線までの後退は、接道の欄で説明します。

  • 壁面線「無」と記載

    「無」と書きます。オンライン地図にレイヤーがないだけなら、建築指導担当へ条文と地番を示して照会してから書きます。

既存建物が壁面線を越えて見えても違反とは書かず、指定の時期、建築の時期、法47条ただし書の許可を照会します。

壁面線の欄に何を書くかの判断です。建築基準法46条・47条と国土交通省の資料に基づき当事務所作成。

似た線を四つに分けると、調査先が分かります

道路境界線、建築基準法46条の壁面線、地区計画の壁面の位置、42条2項道路の後退線を別の根拠として確認する図
法46条の壁面線は、道路境界や地区計画の線から自動的に決まるものではありません。地番を示し、指定図と告示で対象区間を確認します。
似ている線根拠・役割主な確認先
法46条の壁面線特定行政庁が建築審査会の同意等を経て指定。法47条の建築制限が直接かかる。建築指導・建築審査担当。指定図、公告・告示、指定番号等。
地区計画の壁面の位置地区整備計画で、道路・隣地境界等からの後退や計画図上の限度線を定める。条例化の有無も確認。都市計画担当と建築指導担当。地区計画書、計画図、建築条例。
42条2項道路の後退線原則として道の中心線から2mの位置を道路境界線とみなす。壁面線ではなく道路の扱い。建築指導担当、道路資料、道路種別図、中心線・反対側条件。
都市計画道路の計画線都市計画施設の区域。区域内の建築に許可等が関係するが、法46条の壁面線ではない。都市計画道路担当。計画図、計画線、事業認可、施行者。
  • 『壁面線』という呼び名だけで根拠を決めない計画図に壁面線a・bと書かれていても、地区計画の壁面の位置を示す記号の場合があります。資料の表題、根拠条文、公告・告示を確認します。
  • 線の有無だけでなく、どの区間に指定されるかを見る街区全周ではなく特定道路沿い、特定の間口、建物の一部や階だけを対象とする場合があります。住所が地区内というだけで敷地全体へ同じ距離を当てません。
  • 現況建物と線の位置を配置図・測量図で照合する指定図が縮尺図や古い図の場合、画面上の見た目で離隔を断定しません。境界確定資料、建築確認の配置図、現況測量を照合します。

法46条の指定図から地区計画・現況建物まで順に照合します

  • 物件と建築上の敷地を特定する

    地番、住居表示、公図、測量図、売買対象筆、建築確認の敷地図をそろえます。区分所有建物では建物敷地全体と接する街路を確認します。

  • 特定行政庁と担当窓口を確定する

    法46条の指定・法47条の許可を担当する特定行政庁を確認します。埼玉県内は市所管と県建築安全センター所管が分かれ、東京23区も建物規模等で都区の所管確認が必要になる場合があります。

  • 法46条の指定の有無を地番で照会する

    『壁面線はありますか』だけでなく、『建築基準法46条による指定ですか』と条文を示します。指定があれば指定年月日、公告・告示、指定図、起点・終点、道路境界等からの距離を確認します。

  • 地区計画等の別の壁面位置を調べる

    公式都市計画図から地区計画名・地区区分を特定し、計画書・計画図・条例を読みます。法46条指定と地区計画が重なる場合は、両方の線と対象部分を図面に重ねます。

  • 既存建物・門・塀・地下部分を資料で確認する

    確認申請配置図、概要書、検査済証、増改築資料、現地写真を照合します。法47条の対象は壁・柱と高さ2mを超える門・塀です。地下部分や許可を受けた歩廊の柱等の扱いは、条文・許可書を確認します。

  • 指定の有無・位置・別制限・現況を重説へ分けて書く

    『有・無』に加え、法46条指定の根拠、指定区間、現況建物との関係、地区計画・道路後退等の別制限、未確認事項と添付図を整理します。

窓口での質問例

『地番○番○、住居表示○○の重要事項説明書作成のため確認します。この敷地または接する道路に建築基準法46条による壁面線の指定はありますか。ある場合、指定年月日・公告または告示・指定図・正確な起点終点・道路境界等からの距離を確認できる資料はどれですか。地区計画の壁面の位置、42条2項道路の後退線、都市計画道路の計画線は別にありますか。既存建物について法47条ただし書の許可記録はありますか』と、地番図と配置図を示します。

壁面線の指定・建築制限の公式根拠:建築基準法46条・47条国土交通省の制度図と指定実績江戸川区の壁面線指定図案内

法46条の有無と、別制度の壁面位置を分けて記載します

以下は書き分け方を示す架空例です。実際には使用書式の欄名と、所管から取得した指定図・地区計画書・許可記録に合わせます。

確認結果欄の整理独自の記載例
法46条の指定あり壁面線は有。指定図を添付し、対象区間・距離を補足。『建築基準法46条による壁面線:有。○年○月○日○○告示第○号。対象は東側道路沿いの指定図表示区間で、建物の壁・柱等は法47条の制限を受けます。位置は別添指定図参照。』
法46条なし・地区計画あり法46条は無。地区計画の制限を別項・備考へ記載。『建築基準法46条による壁面線の指定はありません。なお、○○地区地区計画A地区において、道路境界線から外壁等を1m以上後退する壁面の位置の制限があります。計画図・条例は別添のとおりです。』
法46条と地区計画が重なる両方を記録。どちらか一方だけにまとめない。『法46条による壁面線および○○地区地区計画による壁面の位置の制限があります。各線の位置・対象部分・例外は別添重ね図のとおりです。』
指定なし・道路後退あり壁面線は無。2項道路の後退線を道路欄で説明。『法46条による壁面線の指定はありません。前面道路は法42条2項道路であり、みなし道路境界線までの後退を要します。詳細は接道欄・別添道路図参照。』
既存建物が線を越えるように見える違反と断定せず、指定時期・建築時期・許可・改変履歴を追加調査。『指定図上、既存建物の一部が壁面線を越える可能性があります。指定年月日、建築時期および法47条ただし書許可の有無を照会中であり、適合性は未確定です。』

屋根・ひさしと、壁・柱は同じ扱いではありません

法47条が壁面線を越えてはならないとする対象は、建築物の壁・柱と高さ2mを超える門・塀です。国土交通省の制度図は屋根・ひさし、高さ2m以下の門・塀を対象外として示しています。ただし、地区計画や景観・風致・協定等が別に張出し部分を制限することがあるため、法47条だけで全ての突出を可としません。

壁面線があるだけで建ぺい率が自動的に緩和されるわけではありません

法53条4項の建ぺい率緩和には、壁面線等の指定に加えて特定行政庁の許可が必要です。壁面線を確認した事実と、既存の許可番号・許可範囲・条件を分けて記録します。

指定図の縮尺だけで境界からの距離を作りません

古い指定図や参考図は位置確認の入口です。現況境界、道路境界、指定線を測量図・配置図へ落とし込めないときは、所管から座標・距離・基準点等の確認方法を聞きます。

東京23区では指定例があり、埼玉県では所管を先に分けます

国土交通省資料では、法46条の壁面線は2024年3月末時点で全国19市区町・33か所、総延長約20kmです。用途地域や地区計画のように多くの土地へ一般的に表示される制度ではないため、オンライン地図にレイヤーが見当たらなくても『無』と自己判断せず、所管へ条文を示して照会します。

地域・例確認する場所実務上の注意
東京都23区物件所在地の区の建築指導担当を入口にし、必要に応じて東京都の所管案内で都区の担当を確認します。都市計画地図だけでなく、法46条の指定台帳・指定図の有無を尋ねます。地区計画は区の都市計画担当へ別照会します。
江戸川区の確認例区公式ページは船堀駅周辺、松江大通り商店街、瑞江駅北口付近の3か所を案内しています。船堀・瑞江では地区計画による壁面の位置の制限もあるため、法46条指定図だけで調査を終えません。
埼玉県内埼玉県の建築行政窓口一覧から、市所管か県建築安全センター所管かを特定します。法46条指定は建築担当へ、地区計画は所在地市町村の都市計画担当へ確認します。県所管区域でも地区計画の窓口は市町村になるため、窓口を一つにまとめません。
さいたま市の地区計画例さいたま市の地区計画一覧から計画書・計画図へ進みます。北部拠点宮原地区には壁面線a・bの距離指定があります。この『壁面線a・b』という表記だけを法46条指定へ置き換えません。地区計画の壁面の位置の制限として、条例化・届出・例外を確認します。

地域の公式確認先:さいたま市の都市計画調査案内東京都の都市計画情報サービス埼玉県の建築行政窓口一覧江戸川区の壁面線指定図

線の名前ではなく、根拠と位置をそろえて保存します

調査・記載の誤り起こり得る不利益防ぎ方
地区計画の線を法46条と記載適用条文・例外・手続を誤り、買主の設計判断や届出準備を誤らせる可能性。指定図・計画書・条例の表題と根拠条文を保存。
2項道路の後退線を壁面線と記載道路後退部分の扱い、敷地面積、接道、建築位置を誤って説明する可能性。道路種別・中心線・みなし境界線を道路欄で別に調査。
指定図の線を目測で配置図へ転記建築可能な間口・奥行を過大に案内し、設計変更や購入目的の不達につながる可能性。境界資料と所管回答から起点・終点・距離を確定。
既存建物の突出を直ちに違反と断定指定時期・許可・既存不適格・地下部分等を見落とし、誤った評価を伝える可能性。建築時期、指定日、確認申請、許可書、増改築履歴を照合。
  • 指定の証拠公告・告示、指定年月日・番号、指定図、所管回答、閲覧日。
  • 位置の証拠公図、確定測量図、道路境界資料、指定線を重ねた敷地図、現地写真。
  • 建物の証拠確認申請配置図、建築計画概要書、確認済証・検査済証、許可書、増改築資料。
  • 別制度の証拠地区計画書・計画図・条例、道路種別図、都市計画道路図、外壁後退・風致・協定等の資料。
複数の線と建物位置をまとめて確認したいときは

物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します

  • 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
  • 壁面線指定図、地区計画、道路後退、建物資料の確認から重要事項説明書ドラフト作成まで

標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。

線の名称だけでなく、根拠・正確な位置・重なる制限まで整理します。

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。

壁面線の調査・記載でよくある質問

地区計画図に『壁面線a』とあれば、法46条の壁面線ですか?

名称だけでは決まりません。地区計画の計画図上の記号であることが多いため、計画書の『壁面の位置の制限』と、法46条の指定図・公告を分けて確認します。同じ区域で両方が存在する場合もあります。

壁面線より道路側へ、ひさしやバルコニーを出せますか?

法47条が直接制限する部位と、地区計画・風致地区・景観・協定等が制限する部位は一致しません。法47条だけで可否を決めず、各制度の対象部位、張出し条件、例外を配置図で確認します。

壁面線があると、建ぺい率は緩和されますか?

自動ではありません。法53条4項の緩和には特定行政庁の許可が必要です。既存許可がある場合も、許可番号、対象建物、許可限度、条件、建替え時の扱いを確認します。

既存建物が壁面線を越えていれば違反建築ですか?

図面上そう見えるだけで断定しません。建築時期と指定時期、地盤面下の部分、法47条ただし書許可、改変履歴、指定線の正確な位置を確認します。資料不足なら適合性未確認として追加調査します。

オンライン地図に壁面線レイヤーがなければ指定なしですか?

指定なしとは限りません。法46条の指定は全国でも限られ、古い指定図を窓口で管理する場合があります。地番と条文を示して建築指導担当へ照会し、地区計画の線も別に確認します。

この記事は2026年9月20日時点の法令と自治体公式資料を確認して作成しています。記載例は説明用の架空例です。壁面線の有無・正確な位置・指定内容、地区計画等との重複、既存建物の適合性は、物件所在地を所管する特定行政庁へ地番と図面を示して確認してください。