重要事項説明書 登記記録|27

権利部乙区の読み方・書き方|抵当権・根抵当権・用益権

乙区は、住宅ローンの抵当権だけを見ればよいですか?

中古住宅の乙区に抵当権設定、債権額、銀行名があります。決済で抹消する予定なら、銀行名と債権額を重説に書くだけでよいでしょうか。根抵当権や地上権がある場合の読み方も知りたいです。

乙区は所有権以外の権利を、設定から抹消まで一組で読みます

乙区には抵当権・根抵当権だけでなく、地上権、地役権、賃借権等の所有権以外の権利が記録されます。各順位について、目的、受付、原因、権利内容、当事者を読み、変更・移転・順位変更・抹消の登記を親となる設定登記へ戻して確認します。

抵当権設定登記に債権額3,000万円とあっても、現在のローン残高や抹消に必要な金額が3,000万円とは限りません。登記は権利の公示資料、残高証明・抹消承諾は権利者への照会事項として分けます。

また、乙区がない、または『乙区事項なし』でも、未登記の賃貸借、占有、通行・掘削に関する契約上の負担までないとは限りません。現地と契約資料を別に調べます。

乙区の権利を重説にどう書くかの診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

乙区を読んで重説へ書く
確認1乙区で抹消されていない権利は、どれですか?
  • 確認2登記の目的は、抵当権設定ですか、根抵当権設定ですか?
    • 結論抵当権者の回答で残高と抹消条件を確認
    • 結論根抵当権者に確定と抹消の手続を確認
  • 結論原契約と承諾・更新の条件を確認
  • 結論地役権の範囲と現況を確認
  • 結論未登記の賃貸借や占有を現地で確認
  1. 確認1乙区で抹消されていない権利は、どれですか?
    結論原契約と承諾・更新の条件を確認
    結論地役権の範囲と現況を確認
    結論未登記の賃貸借や占有を現地で確認
  2. 確認2登記の目的は、抵当権設定ですか、根抵当権設定ですか?
    結論抵当権者の回答で残高と抹消条件を確認
    結論根抵当権者に確定と抹消の手続を確認
  • 抵当権者の回答で残高と抹消条件を確認

    重説には債権額、債務者、抵当権者を登記どおりに書きます。登記の債権額は現在の残高ではないので、抹消に必要な金額、書類、期限は抵当権者の回答で確認し、決済と同時に抹消することは契約書に書きます。

  • 根抵当権者に確定と抹消の手続を確認

    重説には極度額、債権の範囲、債務者、根抵当権者を書きます。共同担保目録でほかの物件が担保に入っていないかを見て、元本の確定と抹消の手続を根抵当権者に確認します。

  • 原契約と承諾・更新の条件を確認

    目的、範囲、存続期間、地代・賃料、特約を重説に書きます。原契約で、譲渡・転貸に承諾が要るか、更新の条件はどうかを確認し、現地で実際に使われている範囲も見ます。借地の場合の調べ方は、借地権がある物件の登記調査で説明しています。

  • 地役権の範囲と現況を確認

    目的、範囲、要役地、特約を重説に書きます。現地と図面で通行や配管の状況を確認し、維持費の負担と、地役権が買主に引き継がれるかも確認します。

  • 未登記の賃貸借や占有を現地で確認

    乙区に何も登記されていなくても、未登記の賃貸借、占有、通行・掘削の約束があることがあります。現地と契約書類で確認し、借地かもしれないときは建物の登記と借地契約を確認します。

権利が二つ以上あるときは、それぞれについて確認します。決済で抹消する予定の権利も、説明の時点で登記が残っていれば重説に書きます。

乙区に記録された権利ごとの重説記載と追加確認の判断です。民法と不動産登記法に基づき当事務所作成。

乙区で確認する10項目

  • 権利の種類抵当権、根抵当権、地上権、地役権、賃借権、先取特権、質権等を登記の目的から分けます。
  • 順位番号と付記設定登記の順位番号と、その変更・移転・抹消に付された付記番号を対応させます。
  • 受付年月日・受付番号同日複数登記や再取得差分を照合し、優先関係を検討する手掛かりにします。
  • 登記原因と日付設定契約、変更契約、弁済、解除、放棄等の原因を読みます。
  • 債権額と利息等抵当権の債権額、利息、損害金、債務者、抵当権者を確認します。現在残高とは分けます。
  • 極度額と債権の範囲根抵当権は債権額ではなく極度額、債権の範囲、債務者、根抵当権者、元本確定等を読みます。
  • 共同担保目録共同担保目録の記号・番号があれば、対象不動産と同じ担保に入る土地・建物を確認します。
  • 用益権の範囲と条件地上権・地役権・賃借権は、目的、範囲、存続期間、地代・賃料、特約、承役地・要役地等を確認します。
  • 権利者の変更・移転銀行合併、債権譲渡、会社分割等で現在の権利者が設定時と異なることがあります。付記を追います。
  • 抹消の範囲全部抹消か一部抹消か、どの順位番号の権利を消したかを確認し、下線だけで判断しません。

乙区から重説・決済条件へつなぐ手順

  • 各設定登記を一つの塊にする

    順位番号ごとに、権利種類、原因、金額・期間、債務者、権利者等を一覧化します。

  • 付記登記を親へつなぐ

    変更・移転・順位変更等がどの設定登記に付くかを確認し、現在の権利内容と権利者を整理します。

  • 抹消済みと現存を分ける

    設定登記と抹消登記を突き合わせます。抹消済み履歴は残し、現存登記だけを別一覧にします。

  • 共同担保目録を取得する

    同じ抵当権等が土地・建物・他物件に及ぶときは、共同担保目録で範囲を確認します。

  • 権利者へ現在情報を照会する

    残高、抹消条件、必要書類、担当部署、期限を確認します。登記の債権額だけで決済表を作りません。

  • 用益権は契約・現況へ広げる

    賃借権・地上権・地役権は原契約、承諾、現地の利用範囲、更新・譲渡条件を確認します。

  • 現状と決済時の予定を分けて記載する

    重説には存在する権利を記載し、契約書には抹消、承継、存続等の条件と未了時の処理を書きます。

乙区のHTML例で、抹消済みと現存登記を分けます

架空の登記例権利部(乙区)|架空例

権利部(乙区)|所有権以外の権利に関する事項

順位番号登記の目的受付年月日・受付番号権利者その他の事項
1抵当権設定平成28年6月10日 第1111号原因 平成28年6月10日金銭消費貸借同日設定/債権額2,000万円/債務者A/抵当権者C銀行
1付記1号1番抵当権抹消令和2年8月20日 第5677号原因 令和2年8月20日弁済
2根抵当権設定令和2年8月20日 第5679号原因 令和2年8月20日設定/極度額4,000万円/債権の範囲 銀行取引/債務者B/根抵当権者D銀行
3地役権設定令和3年4月5日 第2222号目的 通行/範囲 東側幅員2.00m/要役地101番2
順位1番の抵当権は抹消済みです。現在は順位2番の根抵当権と順位3番の通行地役権が残っています。根抵当権だけを決済で抹消しても、地役権は当然には消えません。
権利登記で読む主な内容登記外の追加確認
抵当権債権額、利息、損害金、債務者、抵当権者、共同担保現在残高、抹消必要額、抹消書類、同時履行
根抵当権極度額、債権の範囲、債務者、根抵当権者、元本確定取引終了、確定・抹消手続、共同担保
地上権・賃借権目的、範囲、存続期間、地代・賃料、特約原契約、譲渡・転貸承諾、更新、現況
地役権目的、範囲、要役地、特約通行・配管等の現況、図面、維持費、承継

東京23区・埼玉県とも、乙区から権利者と現地へ調査を広げます

乙区の読み方は全国共通です。金融機関の抹消窓口、私道・通行の現況、借地契約の当事者等は案件ごとに異なります。東京・埼玉という地域名だけで処理を決めず、乙区の権利者・対象範囲・共同担保を起点に確認します。

主な公式資料:民法不動産登記法不動産登記のABC

登記の金額を、そのまま返済額にしません

toukiプロジェクトでも、乙区はラベルごとの値と変更・移転・抹消を保持し、現在の担保権者や残高を機械で断定しません。重説では登記上の事実を正確に示し、決済実務は別の確認資料へつなげます。

乙区の権利が複数あり、抹消・承継の整理が必要なときは

物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します

  • 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
  • 乙区・共同担保目録・原契約・現況を確認し、重要事項説明書ドラフトへ反映

標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。

抵当権・根抵当権・用益権を設定から抹消まで整理し、現状と決済条件を分けて記載します。

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。

乙区でよくある質問

抵当権が抹消予定なら、重説に書かなくてよいですか?

説明時点で登記が残っているなら現状として示し、決済同時抹消の予定・条件を別に記載します。予定を理由に現存登記を省略しません。

乙区に何もなければ、借地権もありませんか?

いいえ。未登記の土地賃借権があり、借地借家法上の対抗力を建物登記で備えている場合もあります。土地・建物登記と借地契約を確認します。

共同担保目録には何が載りますか?

同じ担保権の目的となる複数の土地・建物が一覧化されます。売買対象外の他物件が含まれる場合もあり、担保解除条件の確認に必要です。

この記事は2026年9月9日時点の民法、不動産登記法、不動産登記規則、宅地建物取引業法、法務省資料と、toukiプロジェクトの乙区構造設計を確認して作成しています。登記上の債権額・極度額は決済時の抹消必要額と同じとは限らないため、権利者の回答と司法書士の確認が必要です。