権利部乙区の読み方・書き方|抵当権・根抵当権・用益権
乙区は、住宅ローンの抵当権だけを見ればよいですか?
中古住宅の乙区に抵当権設定、債権額、銀行名があります。決済で抹消する予定なら、銀行名と債権額を重説に書くだけでよいでしょうか。根抵当権や地上権がある場合の読み方も知りたいです。
乙区は所有権以外の権利を、設定から抹消まで一組で読みます
乙区には抵当権・根抵当権だけでなく、地上権、地役権、賃借権等の所有権以外の権利が記録されます。各順位について、目的、受付、原因、権利内容、当事者を読み、変更・移転・順位変更・抹消の登記を親となる設定登記へ戻して確認します。
抵当権設定登記に債権額3,000万円とあっても、現在のローン残高や抹消に必要な金額が3,000万円とは限りません。登記は権利の公示資料、残高証明・抹消承諾は権利者への照会事項として分けます。
また、乙区がない、または『乙区事項なし』でも、未登記の賃貸借、占有、通行・掘削に関する契約上の負担までないとは限りません。現地と契約資料を別に調べます。
乙区の権利を重説にどう書くかの診断フローチャート
当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。
- 確認2登記の目的は、抵当権設定ですか、根抵当権設定ですか?
- 結論抵当権者の回答で残高と抹消条件を確認
- 結論根抵当権者に確定と抹消の手続を確認
- 結論原契約と承諾・更新の条件を確認
- 結論地役権の範囲と現況を確認
- 結論未登記の賃貸借や占有を現地で確認
- 確認1乙区で抹消されていない権利は、どれですか?結論原契約と承諾・更新の条件を確認結論地役権の範囲と現況を確認結論未登記の賃貸借や占有を現地で確認
- 確認2登記の目的は、抵当権設定ですか、根抵当権設定ですか?結論抵当権者の回答で残高と抹消条件を確認結論根抵当権者に確定と抹消の手続を確認
- 抵当権者の回答で残高と抹消条件を確認
重説には債権額、債務者、抵当権者を登記どおりに書きます。登記の債権額は現在の残高ではないので、抹消に必要な金額、書類、期限は抵当権者の回答で確認し、決済と同時に抹消することは契約書に書きます。
- 根抵当権者に確定と抹消の手続を確認
重説には極度額、債権の範囲、債務者、根抵当権者を書きます。共同担保目録でほかの物件が担保に入っていないかを見て、元本の確定と抹消の手続を根抵当権者に確認します。
- 原契約と承諾・更新の条件を確認
目的、範囲、存続期間、地代・賃料、特約を重説に書きます。原契約で、譲渡・転貸に承諾が要るか、更新の条件はどうかを確認し、現地で実際に使われている範囲も見ます。借地の場合の調べ方は、借地権がある物件の登記調査で説明しています。
- 地役権の範囲と現況を確認
目的、範囲、要役地、特約を重説に書きます。現地と図面で通行や配管の状況を確認し、維持費の負担と、地役権が買主に引き継がれるかも確認します。
- 未登記の賃貸借や占有を現地で確認
乙区に何も登記されていなくても、未登記の賃貸借、占有、通行・掘削の約束があることがあります。現地と契約書類で確認し、借地かもしれないときは建物の登記と借地契約を確認します。
権利が二つ以上あるときは、それぞれについて確認します。決済で抹消する予定の権利も、説明の時点で登記が残っていれば重説に書きます。
乙区で確認する10項目
- 権利の種類抵当権、根抵当権、地上権、地役権、賃借権、先取特権、質権等を登記の目的から分けます。
- 順位番号と付記設定登記の順位番号と、その変更・移転・抹消に付された付記番号を対応させます。
- 受付年月日・受付番号同日複数登記や再取得差分を照合し、優先関係を検討する手掛かりにします。
- 登記原因と日付設定契約、変更契約、弁済、解除、放棄等の原因を読みます。
- 債権額と利息等抵当権の債権額、利息、損害金、債務者、抵当権者を確認します。現在残高とは分けます。
- 極度額と債権の範囲根抵当権は債権額ではなく極度額、債権の範囲、債務者、根抵当権者、元本確定等を読みます。
- 共同担保目録共同担保目録の記号・番号があれば、対象不動産と同じ担保に入る土地・建物を確認します。
- 用益権の範囲と条件地上権・地役権・賃借権は、目的、範囲、存続期間、地代・賃料、特約、承役地・要役地等を確認します。
- 権利者の変更・移転銀行合併、債権譲渡、会社分割等で現在の権利者が設定時と異なることがあります。付記を追います。
- 抹消の範囲全部抹消か一部抹消か、どの順位番号の権利を消したかを確認し、下線だけで判断しません。
乙区から重説・決済条件へつなぐ手順
- 各設定登記を一つの塊にする
順位番号ごとに、権利種類、原因、金額・期間、債務者、権利者等を一覧化します。
- 付記登記を親へつなぐ
変更・移転・順位変更等がどの設定登記に付くかを確認し、現在の権利内容と権利者を整理します。
- 抹消済みと現存を分ける
設定登記と抹消登記を突き合わせます。抹消済み履歴は残し、現存登記だけを別一覧にします。
- 共同担保目録を取得する
同じ抵当権等が土地・建物・他物件に及ぶときは、共同担保目録で範囲を確認します。
- 権利者へ現在情報を照会する
残高、抹消条件、必要書類、担当部署、期限を確認します。登記の債権額だけで決済表を作りません。
- 用益権は契約・現況へ広げる
賃借権・地上権・地役権は原契約、承諾、現地の利用範囲、更新・譲渡条件を確認します。
- 現状と決済時の予定を分けて記載する
重説には存在する権利を記載し、契約書には抹消、承継、存続等の条件と未了時の処理を書きます。
乙区のHTML例で、抹消済みと現存登記を分けます
権利部(乙区)|所有権以外の権利に関する事項
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
|---|---|---|---|
| 1 | 抵当権設定 | 平成28年6月10日 第1111号 | 原因 平成28年6月10日金銭消費貸借同日設定/債権額2,000万円/債務者A/抵当権者C銀行 |
| 1付記1号 | 1番抵当権抹消 | 令和2年8月20日 第5677号 | 原因 令和2年8月20日弁済 |
| 2 | 根抵当権設定 | 令和2年8月20日 第5679号 | 原因 令和2年8月20日設定/極度額4,000万円/債権の範囲 銀行取引/債務者B/根抵当権者D銀行 |
| 3 | 地役権設定 | 令和3年4月5日 第2222号 | 目的 通行/範囲 東側幅員2.00m/要役地101番2 |
| 権利 | 登記で読む主な内容 | 登記外の追加確認 |
|---|---|---|
| 抵当権 | 債権額、利息、損害金、債務者、抵当権者、共同担保 | 現在残高、抹消必要額、抹消書類、同時履行 |
| 根抵当権 | 極度額、債権の範囲、債務者、根抵当権者、元本確定 | 取引終了、確定・抹消手続、共同担保 |
| 地上権・賃借権 | 目的、範囲、存続期間、地代・賃料、特約 | 原契約、譲渡・転貸承諾、更新、現況 |
| 地役権 | 目的、範囲、要役地、特約 | 通行・配管等の現況、図面、維持費、承継 |
東京23区・埼玉県とも、乙区から権利者と現地へ調査を広げます
乙区の読み方は全国共通です。金融機関の抹消窓口、私道・通行の現況、借地契約の当事者等は案件ごとに異なります。東京・埼玉という地域名だけで処理を決めず、乙区の権利者・対象範囲・共同担保を起点に確認します。
登記の金額を、そのまま返済額にしません
toukiプロジェクトでも、乙区はラベルごとの値と変更・移転・抹消を保持し、現在の担保権者や残高を機械で断定しません。重説では登記上の事実を正確に示し、決済実務は別の確認資料へつなげます。
物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します
- 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
- 乙区・共同担保目録・原契約・現況を確認し、重要事項説明書ドラフトへ反映
標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。
抵当権・根抵当権・用益権を設定から抹消まで整理し、現状と決済条件を分けて記載します。
物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。乙区でよくある質問
抵当権が抹消予定なら、重説に書かなくてよいですか?
説明時点で登記が残っているなら現状として示し、決済同時抹消の予定・条件を別に記載します。予定を理由に現存登記を省略しません。
乙区に何もなければ、借地権もありませんか?
いいえ。未登記の土地賃借権があり、借地借家法上の対抗力を建物登記で備えている場合もあります。土地・建物登記と借地契約を確認します。
共同担保目録には何が載りますか?
同じ担保権の目的となる複数の土地・建物が一覧化されます。売買対象外の他物件が含まれる場合もあり、担保解除条件の確認に必要です。