登記記録の調査順|取得時点・再調査・重説への反映
重要事項説明書を作るとき、登記はいつ、どの順番で見ますか?
媒介を受けたときに登記情報を取りました。重要事項説明書の作成時は、そのPDFを表題部から順に転記すればよいでしょうか。契約前や決済前に、もう一度取る必要もありますか。
物件を特定してから表題部・甲区・乙区を読み、契約前と決済前に再調査します
最初に売買対象となる土地・建物・私道持分等を地番・家屋番号で一覧化します。その後、各物件について表題部→甲区→乙区→共同担保目録の順に読みます。媒介受託時の取得だけで終わらせず、重要事項説明・契約の直前と決済直前にも最新状態を確認します。
不動産登記法上、登記記録は一筆の土地または一個の建物ごとに作成されます。住居表示の建物だけを一件取って終わるのではなく、宅地、建物、私道、通路、ごみ置場等、契約の対象となる全物件をそろえることが出発点です。
登記を再取得すべき一律の日数が法令で決められているわけではありません。だからこそ、社内基準として取得時点を固定し、PDF名・案件台帳・重説に調査日を残します。差押えや担保権設定などは、最初の調査後にも入り得ます。
登記を取得する前に確定する7項目
- 住居表示と地番・家屋番号登記は住所だけでは特定できません。固定資産税課税明細、権利証、地番検索等から土地の地番と建物の家屋番号を確認します。
- 売買対象となる全物件主たる宅地・建物に加え、私道持分、通路、ごみ置場、集会所持分、複数筆の敷地を契約資料から拾います。
- 土地・建物・区分建物の別一般建物と区分建物では表題部の構造が違います。区分建物は一棟、専有部分、敷地権の目的土地、敷地権の表示を分けます。
- 全部事項を確認するか現在事項だけでは権利の成立経緯や抹消履歴が不足する場合があります。調査目的に応じて全部事項を基本に、閉鎖事項も検討します。
- 共同担保目録の要否抵当権等に共同担保目録の記号・番号がある場合、対象物件だけでなく共同担保に入る他物件を確認します。
- 取得日時と再取得の担当誰が、いつ、どのサービスで取得し、契約前・決済前の誰が再取得するかを案件台帳へ入れます。
- 登記外で確認する資料現況、境界、占有、賃貸借、未登記増築、管理規約等は登記だけでは足りません。現地・契約・役所・管理資料の調査を並行します。
登記記録を読み、重要事項説明書へ反映する順番
- 対象物件台帳を先に作る
物件種別、所在、地番・家屋番号、持分、売買対象かどうかを一行ずつ整理します。登記PDFを取った件数と台帳の件数を照合します。
- 通常調査は登記情報をPDF保存する
証明書の提出が不要で内容確認が目的なら、登記情報提供サービスが実務的です。登記情報は閲覧相当で、証明文・公印のある登記事項証明書とは異なります。
- 表題部で同じ不動産か確認する
不動産番号、所在、地番・家屋番号、地目・種類、地積・床面積を台帳と照合します。違う物件を読んだまま甲区へ進まないようにします。
- 甲区を順位番号と付記で読む
所有権保存・移転、共有持分、住所氏名変更、仮登記、差押え等を時系列で読み、売主と現在の登記名義を照合します。
- 乙区と共同担保目録を読む
抵当権・根抵当権、地上権、賃借権等について、設定、変更、移転、抹消を一組として確認します。
- 重説・契約書へ事実と予定を分けて書く
現存する登記は現状として記載し、決済で抹消する事項は将来の契約条件として分けます。『抹消予定』で現状を消さないようにします。
- 契約前・決済前に同じ物件を再取得する
不動産番号と物件台帳で同一性を確認してから前回PDFと差分を見ます。新規登記、受付中事件、差押え等があれば工程を止めて確認します。
HTMLの登記例で、読む順番を確認します
同じ土地について、表題部で物件を特定し、甲区で所有権、乙区で所有権以外の権利を確認する架空例です。
表題部(土地の表示)
| 所在 | 地番 | 地目 | 地積 | 原因及びその日付 |
|---|---|---|---|---|
| さいたま市浦和区高砂一丁目 | 101番1 | 宅地 | 165.28㎡ | 101番から分筆/令和5年4月3日 |
権利部(甲区)|所有権に関する事項
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
|---|---|---|---|
| 1 | 所有権保存 | 平成12年6月1日 第1234号 | 所有者 A |
| 2 | 所有権移転 | 令和2年8月20日 第5678号 | 原因 令和2年8月20日売買/所有者 B |
権利部(乙区)|所有権以外の権利に関する事項
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付年月日・受付番号 | 権利者その他の事項 |
|---|---|---|---|
| 1 | 抵当権設定 | 令和2年8月20日 第5679号 | 債権額3,000万円/債務者B/抵当権者C銀行 |
| 主な用途 | 使う資料 | 注意点 | |
|---|---|---|---|
| 日常の物件調査 | 登記内容の確認・PDF保存 | 登記情報提供サービス | 証明文・公印はなく、証明書ではありません。 |
| 提出・証明が必要 | 官公署・金融機関等への提出 | 登記事項証明書 | オンライン請求でも証明書は郵送または窓口受取です。 |
| 過去の経緯を追う | 移記前・合筆前・古い権利関係 | 閉鎖事項証明書・旧資料 | 現行の全部事項だけで足りるかを案件ごとに判断します。 |
東京23区・埼玉県も読み方は共通、管轄は所在地で確認します
表題部・甲区・乙区の読み方は全国共通です。東京23区では東京法務局の本局・各出張所、埼玉県ではさいたま地方法務局の本局・支局・出張所の管轄一覧で所在地を確認します。ただし、オンラインで登記情報を見る通常調査では、窓口へ行くこと自体が目的ではありません。
前回PDFとの差分を見る前に、同じ不動産かを確認します
toukiプロジェクトでも、表題部・甲区・乙区を別レイヤーで保持し、前後の登記情報は不動産番号の一致を確認してから比較する設計にしています。人の作業でも、取得日時、対象物件、各部の差分という順序を固定すると見落としを減らせます。
物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します
- 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
- 対象全物件の整理、現地・役所・法務局等の調査、重要事項説明書ドラフト作成
標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。
対象土地・建物・付属物件を一覧化し、取得時点を管理した登記調査を重説ドラフトへ反映します。
物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。登記調査でよくある質問
媒介受託時に取った登記は、何日まで使えますか?
法令上の一律の有効日数で判断するのではなく、重要事項説明・契約の直前に最新状態を再確認します。社内で取得時点を決め、取得日時を記録してください。
登記情報と登記事項証明書は同じですか?
内容確認の範囲は近いですが同じ書面ではありません。登記情報は閲覧相当で証明文・公印がなく、提出先から証明書を求められる場合の代わりにはなりません。
乙区がない土地は、負担が何もないと断定できますか?
登記された所有権以外の権利は見当たらないと整理できますが、未登記賃貸借、占有、契約上の制約、法令制限まで不存在とは断定できません。