国土利用計画法と公拡法はどう違う?届出要否の調べ方と重説の書き方
市街化区域内の1,800㎡なら、どちらの届出も不要ですか?
市街化区域内にある1,800㎡の土地を売買します。国土利用計画法は2,000㎡以上と覚えているので、届出は不要だと思っています。重要事項説明書に並んでいる公拡法も、同じ面積基準で判断してよいのでしょうか。
国土法は買主が契約後、公拡法は売主が契約前に届け出ます
国土利用計画法の通常の届出は、一定面積以上となる土地について、権利を取得した買主が契約後に行う事後届出です。公拡法4条の届出は、一定の土地を有償で譲渡しようとする売主が契約前に行います。国土法は区域区分と買主が取得する一団の土地の面積、公拡法は対象区域と譲渡する土地の面積を使って届出要否を決めます。
市街化区域内の1,800㎡は、通常の国土法事後届出では対象面積未満です。ただし、その土地の全部または一部が都市計画施設等の区域内にあり、譲渡する土地が原則200㎡以上であれば、公拡法の届出対象となる場合があります。国土法が対象外でも、公拡法の届出要否は別に決めます。
市街化区域、市街化調整区域、区域区分のない都市計画区域の確認方法は、都市計画区域・区域区分の記事で説明しています。公拡法では、区域区分に加えて都市計画施設、道路区域、公園予定区域、河川予定地、生産緑地地区等への該当も確認します。
国土利用計画法・公拡法の届出が必要かの診断フローチャート
当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。
- 確認2売主が譲渡する土地は、公拡法の基準面積以上ですか?
- 結論売主の公拡法届出と買主の国土法届出
- 結論国土法の事後届出(買主・契約後)
- 確認3売主が譲渡する土地は、公拡法の基準面積以上ですか?
- 結論公拡法4条の届出(売主・契約前)
- 結論届出の要否を市区町村へ照会
- 確認1買主が取得する一団の土地は、国土法の基準面積以上ですか?
- 確認2売主が譲渡する土地は、公拡法の基準面積以上ですか?結論売主の公拡法届出と買主の国土法届出結論国土法の事後届出(買主・契約後)
- 確認3売主が譲渡する土地は、公拡法の基準面積以上ですか?結論公拡法4条の届出(売主・契約前)結論届出の要否を市区町村へ照会
- 売主の公拡法届出と買主の国土法届出
売主が契約前に公拡法4条の届出をし、買取希望なしの通知を受けた後か、譲渡制限の期間が終了した後に契約します。契約後は買主が国土法の届出をし、その期限は契約締結日を含めて2週間以内です。
- 国土法の事後届出(買主・契約後)
買主が、契約後に土地所在地の市区町村へ届け出ます。期限は、契約締結日を含めて2週間以内です。
- 公拡法4条の届出(売主・契約前)
売主が、契約前に土地所在地の市区町村へ届け出ます。契約日は、買取希望なしの通知を受けた後か、譲渡制限の期間が終了した後にします。
- 届出の要否を市区町村へ照会
土地所在地の市区町村へ、届出が要るかと、公拡法の基準面積を条例・規則で引き下げていないかを照会します。届出不要と回答されたら、照会日・担当課と合わせて重説に書きます。
国土法の基準面積は、市街化区域が2,000㎡、その他の都市計画区域が5,000㎡、都市計画区域外が10,000㎡です。公拡法の基準面積は、都市計画施設等の区域にかかる土地が原則200㎡、市街化区域が5,000㎡、その他の都市計画区域が10,000㎡で、条例・規則で基準が異なる自治体があります。注視区域・監視区域・規制区域内の土地では、事前届出や許可が要るかも確認します。
国土法と公拡法では、届出をする人と時期が逆です
| 国土利用計画法の通常の事後届出 | 公拡法4条の届出 | |
|---|---|---|
| 届出する人 | 土地に関する権利を取得する買主・譲受人 | 土地を有償で譲渡しようとする売主・譲渡人 |
| 届出の時期 | 買主が契約締結日を含めて2週間以内に届出 | 売主が契約前に届出。自治体は、契約予定日の3週間前までの提出を案内 |
| 市街化区域の一般基準 | 2,000㎡以上 | 5,000㎡以上 |
| 都市計画施設等の区域 | 都市計画施設の区域に関する200㎡基準はありません。区域区分に応じた2,000㎡・5,000㎡・10,000㎡の基準を使用 | 原則200㎡以上。自治体の条例・規則による引下げの有無を確認 |
| 制度の目的 | 大規模な土地取引を把握し、土地の利用目的を審査する | 公共目的に必要となる土地について、地方公共団体等へ先に買取協議の機会を設ける |
市街化区域2,000㎡、その他の都市計画区域5,000㎡、都市計画区域外10,000㎡という数字は、国土法の通常の事後届出の基準です。公拡法には、都市計画施設等の区域に関する200㎡を原則とする別の基準があります。
- 売買対象となる土地・持分・利用権の範囲全筆の地番と地積、共有持分、地上権・賃借権等の取引対象を契約案と登記資料で確定します。土地付建物の売買でも、土地に関する権利の移転部分を調べます。
- 都市計画区域と区域区分対象地の各筆について、市街化区域、市街化区域を除く都市計画区域、都市計画区域外のどの区分にあるかを確認します。
- 都市計画施設等への該当都市計画施設、道路区域、公園予定区域、河川予定地、生産緑地地区等への該当を公式地図と所管窓口で確認します。
- 同じ買主が取得する周辺土地国土法は、個々の契約が基準未満でも、同じ利用計画で取得する一団の土地が基準以上なら届出対象となり得ます。取得予定全体を買主へ確認します。
- 所在地自治体の公拡法基準都市計画施設等の区域に関する面積基準、5条申出の基準、提出方法は自治体ごとに確認します。東京23区では、土地所在地の区が公開する現行の案内を使用します。
届出要否を決めるまでの調査順
- 売買対象の全筆と契約内容を一覧にする
登記事項証明書、公図、測量図、契約案を照合し、地番、地目、地積、持分、取得する権利、売主・買主、契約予定日を整理します。
- 都市計画区域と区域区分を確認する
所在地の公式都市計画地図で現在の表示を確認し、市街化区域、市街化区域を除く都市計画区域、都市計画区域外のどの区分にあるかを調べます。境界付近は市区町村へ照会します。
- 都市計画施設等への該当を確認する
道路、公園、河川等の計画線や区域、生産緑地地区等を確認します。公拡法の対象区域に含まれる部分の面積と、譲渡する土地全体の面積を図面に示し、届出要否の判定に用いる面積を担当窓口へ尋ねます。
- 買主の一団の土地を確認する
同じ買主が周辺で締結済み・交渉中・取得予定の土地がないか、利用計画と配置図を確認します。一団の土地に該当するときは、買主が取得する予定の全体面積を国土法の基準と比較します。
- 国土法と公拡法を別々に照会する
国土法と公拡法で担当課が異なるかを自治体の案内で確認します。案内図、公図、地積一覧、契約案、取得予定全体図を提示したうえで、担当窓口から届出要否、届出者、期限、様式、提出方法の回答を受けます。
- 公拡法の手続を契約日程へ反映する
対象なら売主が契約前に届出をします。買取希望なしの通知、または買取協議を行う団体の通知と譲渡制限期間を確認してから、契約日を決めます。
- 国土法の事後届出を買主へ案内する
対象なら、買主が契約締結日を含めて2週間以内に届出できるよう、契約書、土地の位置・形状、利用目的等の必要資料と提出先を契約前に確認します。
- 重説と調査記録へ反映する
対象法令、根拠となる区域・面積、届出者、期限、譲渡制限、手続状況を記載します。届出書、受付記録、通知、地図、窓口回答を保存します。
『地番○○番○ほか○筆、合計○㎡を売買します。市街化区域等の区分と、都市計画施設・道路区域・公園予定区域・河川予定地・生産緑地地区への該当を確認したいです。国土法23条と公拡法4条の届出対象になりますか。公拡法の面積基準、契約前の提出期限、譲渡制限期間、電子・郵送提出の可否も教えてください』と質問します。一団の土地がある場合は、取得予定全体図も提示します。
重説には対象法令・面積・届出状況を記載します
国土利用計画法の通常の事後届出
| 届出対象となる面積 | 確認すること | |
|---|---|---|
| 市街化区域 | 2,000㎡以上 | 一団の土地を含む取得予定面積、取得する権利、契約日、利用目的 |
| 市街化区域を除く都市計画区域 | 5,000㎡以上 | 市街化調整区域と区域区分のない都市計画区域を含む。区域境界を確認 |
| 都市計画区域外 | 10,000㎡以上 | 都市計画区域外であることと、取得予定全体の面積を確認 |
対象となるのは、対価を伴う土地に関する権利の移転・設定です。売買、交換、共有持分の譲渡、地上権・賃借権の設定等が含まれます。贈与や相続は、対価を伴う土地売買等の契約ではないため、通常の事後届出の対象となりません。ほかの取引類型は、法23条2項、施行令、所在地自治体の案内から適用除外を確認します。
公拡法4条の届出と5条の申出
| 制度 | 対象と面積 | 手続 |
|---|---|---|
| 4条の届出 | 都市計画施設等の区域は原則200㎡以上。市街化区域は5,000㎡以上、その他の都市計画区域は10,000㎡以上。自治体の条例・規則による基準差を確認 | 土地を有償譲渡しようとする売主が契約前に届出 |
| 5条の申出 | 所有者が地方公共団体等による買取りを希望する土地。対象区域と面積は所在地自治体の案内を確認 | 所有者が任意に申し出ます。土地を有償譲渡するときに必要となる4条届出とは別の制度です。 |
公拡法4条の届出または5条の申出を受けた市区町村は、買取協議を行う地方公共団体等がある場合、その団体を土地所有者へ通知します。買取希望がない場合も、その旨を土地所有者へ通知します。協議を行う団体の通知を受けた所有者は、正当な理由がなければ協議を拒めません。ただし、売買契約の成立まで強制される制度ではありません。買取希望なしの通知を受けた時、または買取協議に伴う譲渡制限が終了した時から、第三者へ譲渡できます。
自治体は4条届出を契約予定日の3週間前までに提出するよう案内しています。市区町村は届出受理後3週間以内に買取希望の有無を通知します。買取協議を行う団体が決まった場合は、その通知を受けた日から起算して3週間を経過する日、または協議不成立が明らかになった時まで譲渡が制限されます。法定期間の終了近くに買取協議を行う団体の通知を受けた場合は、その通知日からさらに最長3週間の譲渡制限が続きます。
確認結果別の記載例
| 前提 | 重説への記載例 |
|---|---|
| 市街化区域1,500㎡・都市計画施設等に該当しない | 『対象土地は市街化区域内にあり、売買対象面積は1,500㎡です。国土利用計画法23条1項の事後届出は対象面積未満です。○年○月○日、○○区○○課へ照会し、公拡法4条1項の届出対象となる区域・土地に該当せず、市街化区域における面積基準5,000㎡未満であるため、同条の届出は不要との回答を確認しています。』 |
| 市街化区域2,500㎡・国土法のみ対象 | 『本契約は国土利用計画法23条1項の事後届出の対象です。買主は契約締結日を含めて2週間以内に、土地所在地の市区町村窓口へ届出を行います。○年○月○日、○○市○○課へ照会し、公拡法4条1項の届出対象となる区域・土地に該当せず、市街化区域における面積基準5,000㎡未満であるため、同条の届出は不要との回答を確認しています。』 |
| 都市計画道路の区域内にある300㎡・公拡法対象 | 『対象土地の一部は、都市計画施設である都市計画道路○○線の区域内にあり、売買対象面積は300㎡です。売主は公拡法4条1項に基づく届出を○年○月○日に行い、○年○月○日付で買取希望なしの通知を受けています。』 |
| 両方の届出対象 | 『売主は契約前に公拡法4条1項の届出を行い、譲渡制限が終了したことを確認します。契約締結後は、買主が国土利用計画法23条1項に基づく届出を契約締結日を含めて2週間以内に行います。各届出の対象、届出者、時期は異なります。』 |
提出先は土地所在地の区・市町村です
東京23区
国土法の届出は、土地所在地の区の担当窓口へ提出します。公拡法も所在地の区が窓口となりますが、担当課、面積基準、必要部数、電子申請・郵送の可否は区ごとに異なります。たとえば新宿区は、公拡法について電子申請・持参・郵送を案内しています。ほかの区では、その区の公式案内を確認します。
埼玉県内の市町村(さいたま市を除く)
国土法・公拡法とも、土地所在地の市町村窓口へ提出します。国土法の届出は市町村を経由して埼玉県へ送付されます。電子、メール、郵送、持参の対応状況は市町村ごとに確認します。
さいたま市
国土法はさいたま市の担当課へ直接提出します。公拡法は、市の案内で電子申請、郵送、窓口提出が示されています。市の公式案内では、市内全域で200㎡以上の土地について、その全部または一部が都市計画施設の区域等の指定項目に該当するときは4条届出の対象としています。5条の買取希望申出は100㎡以上です。
東京23区・埼玉県の公式確認先:東京都|国土利用計画法に基づく届出新宿区|公拡法に基づく届出・申出埼玉県|国土利用計画法に基づく届出埼玉県|公拡法の届出・申出さいたま市|公拡法の届出・申出
都市計画施設の区域では、200㎡から公拡法を確認します
| 確認漏れ | 取引への影響 |
|---|---|
| 国土法の一団の土地を見落とす | 買主が契約後の届出をせず、6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となる可能性があります。一団の土地では、買主が取得する予定の全体面積を用います。 |
| 公拡法を国土法と同じ面積で判断する | 都市計画施設等の区域内にある200㎡以上の土地について、契約前の届出が必要であることを見落とす可能性があります。 |
| 公拡法の通知前・制限期間内に譲渡する | 無届・虚偽届出と同様に、50万円以下の過料の対象となる可能性があります。譲渡制限が契約予定日まで続く場合は、契約日程の変更が必要です。 |
| 区・市の面積基準と提出方法を確認しない | 届出対象であることを見落としたり、提出資料が不足して受理日が遅れたりすると、予定した契約日に譲渡できない可能性があります。 |
保存する資料は、登記事項証明書、公図、測量図、都市計画図、都市計画施設等の照会回答、面積計算、一団の土地の取得予定全体図、届出書と受付記録、買取協議の通知または買取希望なし通知です。窓口照会は、照会日、部署、担当者、提示資料、回答を記録します。
注視区域・監視区域内でそれぞれの対象面積以上となる土地取引は、国土法の事前届出を確認します。規制区域内の土地取引は許可が必要です。国土交通省は、2026年9月29日の確認時点で注視区域の指定はないと案内しています。指定区域の有無は契約時点の公式資料で確認します。指定区域に該当する場合は、通常の事後届出とは届出者・時期・審査内容が異なります。
土地の区域・面積・届出時期を確認して重要事項説明書を作成します
- 売買対象全筆、地積、権利内容、一団の土地の確認
- 都市計画区域・区域区分・都市計画施設等の調査
- 国土法・公拡法の届出要否、届出者、提出期限の整理
- 届出・通知・窓口回答を反映した重要事項説明書ドラフトの作成
標準料金は1物件88,000円(税込)で、公的資料の取得実費は別途ご負担いただきます。届出書の提出代行、測量、許認可申請は料金に含みません。土地の規模、筆数、調査先によっては個別にお見積りします。
広い土地や都市計画施設の区域内にある土地について、契約前後の届出を整理したい方へ
物件調査・重要事項説明書の作成を依頼する埼玉県全域・東京都23区/売買物件国土利用計画法・公拡法についてよくある質問
一般的な戸建て用地でも届出が必要ですか?
通常の戸建て用地は、国土法の面積基準や、公拡法の市街化区域における5,000㎡基準より小さいことが多いです。ただし、土地の全部または一部が都市計画施設等の区域内にあり、譲渡する土地が原則200㎡以上であれば、公拡法の届出対象となる場合があります。対象区域と面積基準は、土地所在地の自治体が公開する現行資料によります。
建物付きの土地を売る場合も対象ですか?
土地と建物を一体で売買する場合も、土地に関する権利の移転部分について判定します。建物価格を含む契約でも、土地に関する権利が移転すれば、土地の区域と面積に応じて届出要否が決まります。
国土法の届出を忘れると、売買契約は無効ですか?
通常の事後届出については、無届だけで売買契約が直ちに無効になる制度ではありません。ただし、無届・虚偽届出は6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。規制区域の許可制とは扱いが異なります。
公拡法の届出をすると、自治体へ売らなければなりませんか?
買取協議を行う団体の通知を受けた場合、所有者は正当な理由がなければ協議を拒めません。ただし、売買契約の成立まで強制される制度ではありません。買取希望なしの通知、協議不成立、譲渡制限期間の経過を確認した後は、第三者へ譲渡できます。
公拡法の届出後、3週間たてば必ず契約できますか?
買取希望なしの通知を受けた場合は、その通知後に譲渡できます。買取協議を行う団体の通知を受けた場合は、通知を受けた日から起算して3週間を経過する日、または協議不成立が明らかになった時まで譲渡できません。届出受理から3週間目に通知を受けた場合は、そこから最長3週間の譲渡制限が続きます。