重要事項説明書「区分所有建物の表示」の書き方|一棟の建物と専有部分
マンション名と部屋番号が分かれば、区分所有建物の表示を書けますか?
販売図面にはマンション名、502号室、専有面積70.25㎡とあります。重要事項説明書の『一棟の建物』と『専有部分』には、この三つをそのまま書けばよいのでしょうか。
一棟の建物と専有部分を、二つの表示として記載します
いいえ。区分所有建物の表示は、マンション全体を示す一棟の建物の表示と、今回売買する住戸を示す専有部分の建物の表示を分けて記載します。マンション名・部屋番号・販売面積だけでは、登記上の売買対象を特定できません。
区分所有法は、一棟の建物のうち構造上区分され、独立して住居・店舗・事務所等に使える部分をそれぞれ所有権の目的にできると定めています。売買対象になる一室が専有部分で、廊下・階段室等は原則として共用部分です。
不動産登記規則115条では、通常の建物の床面積は壁等の中心線、区分建物は壁等の内側線で囲まれた水平投影面積により算定します。そのため、販売資料の壁芯面積は登記床面積より大きいことが一般的です。どちらかへ合わせるのではなく、書式の欄と根拠を分けます。
区分所有建物の表示で最初に分ける8項目
- 区分建物として登記されているか外観がマンションでも、売買対象が一棟全体なのか、区分登記された一室なのかで書式が違います。最新の建物登記で表題部の構成を確認します。
- 一棟の建物の所在・名称・構造・床面積マンション全体を示す表題部から確認します。各階の床面積が記録されている場合、重説の延床面積欄へ使う合計の計算過程を保存します。
- 専有部分の家屋番号・建物名称今回売買する一室の表題部から確認します。家屋番号、登記上の建物名称、販売上の部屋番号が同じとは限りません。
- 専有部分の種類・構造・床面積専有部分の種類は居宅等、構造は一棟全体とは別の表示、床面積は所在階と内法面積を登記から読みます。
- 登記面積と壁芯面積の出所登記面積は内法、販売面積等は壁芯で示されることがあります。書式に両欄があれば、それぞれ最新登記と分譲時資料等から記載し、数値差を誤記と決めつけません。
- 附属建物があるか専用の物置等が附属建物として登記されている場合があります。単なる使用区画や専用使用権と、登記された附属建物を区別します。
- 専有部分と共用部分の境界バルコニー、共用廊下、配管、玄関扉、窓枠等の扱いは、登記面積だけで判断せず、管理規約・使用細則を確認します。表示欄と管理・使用の説明欄を分けます。
- 敷地権は次の欄で確認する一棟・専有部分を確認して終わりではありません。敷地権の目的となる土地、権利の種類、割合は後続欄で登記と対応させます。
区分建物の登記を二層に分けて読む順番
- 販売資料から対象住戸の候補を確認する
マンション名、棟名、階、部屋番号、売主資料の家屋番号を整理します。販売名や部屋番号だけで登記対象を確定しません。
- 家屋番号を確認して専有部分の最新登記情報を取得する
登記識別情報通知、固定資産税課税明細書等で家屋番号を確認し、通常調査では登記情報提供サービスで全部事項を取得します。住居表示や部屋番号だけでは請求できません。
- 一棟の建物の表示を先に抜き出す
一棟全体の所在、建物名称、構造、各階床面積を専用の調査欄へ写します。専有部分の家屋番号や床面積を同じ欄へ混ぜません。
- 専有部分の建物の表示を別に抜き出す
家屋番号、建物名称、種類、構造、所在階と床面積、新築日、附属建物を写します。一棟の階数を専有部分の構造へ流用しません。
- 販売上の名称・部屋番号・壁芯面積を照合する
分譲時パンフレット、売買契約書案、管理会社資料等から、現在使用している名称、部屋番号、壁芯面積の根拠を確認します。登記の内法面積とは別列で記録します。
- 附属建物・共用部分・専用使用権を切り分ける
登記された附属建物、規約共用部分、法定共用部分、バルコニーや駐車場等の専用使用権を、登記と管理規約・重要事項調査報告書で対応させます。
- 重説・契約書・管理資料を住戸単位で再照合する
棟、階、号室、家屋番号、専有面積、附属建物、敷地権が同じ住戸を示すか確認します。似た部屋番号の別住戸や別棟を取り違えないよう、登記PDFと調査表を保存します。
一棟・専有部分・販売表示を混ぜない記載例
次の数値と名称は、欄の使い分けを示す当サイト独自の架空例です。実際には最新登記と利用する書式の記載要領を優先してください。
| 確認する資料 | 記載例と注意点 | |
|---|---|---|
| 一棟の所在 | 区分建物登記・一棟の建物の表示 | 東京都例示区南町一丁目20番地。住居表示を流用せず登記どおり記載 |
| 一棟の構造 | 区分建物登記・一棟の建物の表示 | 鉄筋コンクリート造陸屋根10階建。専有部分の構造とは別 |
| 一棟の延床面積 | 一棟の各階床面積 | 各階の登記床面積を合計し、計算表を保存。建築確認や管理資料の別定義の延べ面積を置き換えない |
| 専有部分の家屋番号 | 区分建物登記・専有部分の表示 | 南町一丁目20番の502。部屋番号『502号室』だけで代用しない |
| 専有部分の名称 | 区分建物登記・専有部分の表示 | 502。登記に名称が記録されているときはその表示を確認 |
| 専有部分の種類・構造 | 区分建物登記・専有部分の表示 | 種類:居宅/構造:鉄筋コンクリート造1階建。一棟の『10階建』を転記しない |
| 登記床面積 | 区分建物登記・専有部分の表示 | 5階部分67.80㎡(内法)。所在階と一緒に記載 |
| 壁芯面積 | 分譲時資料・売買契約書案等 | 70.25㎡(壁芯)。登記面積とは別欄・別根拠で記載 |
数値が違うこと自体は直ちに誤りではありません。登記床面積は内側線、販売面積は壁の中心線で算定されるためです。『登記簿:5階部分67.80㎡』『壁芯:70.25㎡』のように、面積基準と出所が分かるように記載します。
登記上の一棟の名称、専有部分の名称、現在の販売・管理上の名称を並べて照合します。ブランド変更や棟名の付け方が違う場合、どの名称がどの資料の表示かを示し、同じ建物・住戸である根拠を残します。
東京23区・埼玉県でも、登記の二層構造は同じです
一棟の建物と専有部分の分け方、区分建物の登記床面積を内法で測るルールは全国共通です。地域で変わるのは、家屋番号照会や登記内容の問い合わせをする法務局の管轄です。管理規約・使用細則・重要事項調査報告書は、地域ではなくマンションごとに内容が違います。
同じマンション内には多数の専有部分があります。通常調査では登記情報提供サービスを使いますが、検索前に家屋番号を売主資料等で確認します。オンラインの登記事項証明書請求は、操作に不慣れな方へ積極的にはおすすめしていません。証明書が必要なら法務局窓口等と使い分けます。
東京都23区
物件所在区を管轄する東京法務局本局・出張所を確認します。家屋番号が分からない場合は、対象不動産を管轄する法務局へ照会します。
埼玉県
物件所在市町村を管轄するさいたま地方法務局本局・支局・出張所を確認します。さいたま市・戸田市・蕨市は本局、その他は管轄一覧から確認します。
管理関係資料
管理規約、使用細則、重要事項調査報告書、分譲時図面は管理組合・管理会社・売主等から取得します。同じ区・市のマンションでも共用部分、専用使用権、面積表示は同じとは限りません。
確認した公式資料:宅地建物取引業法35条(e-Gov)不動産登記法2条・44条・48条(e-Gov)不動産登記規則115条から118条(e-Gov)建物の区分所有等に関する法律(e-Gov)区分建物登記事項証明書の見本(法務省)分譲マンションの不動産表示例(法務省)登記情報提供サービス家屋番号と住居表示に関するFAQ(法務省)マンション総合調査の用語解説(国土交通省)東京法務局の不動産登記管轄さいたま地方法務局の不動産登記管轄
部屋番号が合っていても、家屋番号まで確認します

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
マンションでは『502号室だからこの登記だろう』という確認が一番危険です。一棟と専有部分を分け、最後は家屋番号で売買対象を固定します。
| よく混ざる表示 | 分け方 |
|---|---|
| マンション全体と一室 | 一棟の所在・構造・各階床面積と、専有部分の家屋番号・種類・床面積を別表にする |
| 家屋番号と部屋番号 | 登記上の家屋番号で対象を確定し、販売・管理上の号室表示と対応させる |
| 内法と壁芯 | 登記床面積と販売面積を別列にし、面積基準と資料名を残す |
| 附属建物と専用使用権 | 登記された物置等と、駐車場・バルコニー等の使用権を別の根拠で確認する |
| 専有部分と共用部分 | 専有面積だけで境界を推測せず、管理規約・使用細則で範囲と利用制限を確認する |
国土交通省のマンション総合調査の用語解説でも、マンションの専有面積は壁芯を基準にする集計が示されています。一方、区分建物の登記床面積は不動産登記規則により内側線です。数字だけを比較せず、定義と出所をセットで確認します。
区分建物では、この表示欄の次に土地とのつながりを確認します。次の記事では、敷地権の目的である土地を複数筆・土地の符号から読みます。
物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します
- 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
- 取引資料の確認、現地・役所・法務局等の調査、重要事項説明書ドラフト作成
標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。
一棟の建物、専有部分、敷地権、管理規約・重要事項調査報告書を住戸単位で照合し、重要事項説明書ドラフトを作成します。
物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。区分所有建物の表示でよくある質問
一棟の建物の表示と専有部分の表示は何が違いますか?
一棟の建物はマンション全体、専有部分は今回売買する一室を示します。一棟では所在・名称・構造・各階床面積、専有部分では家屋番号・名称・種類・構造・所在階と床面積等を分けて確認します。
専有部分の構造は『鉄筋コンクリート造10階建』ですか?
一棟の建物が10階建でも、専有部分の登記上の構造は『鉄筋コンクリート造1階建』等と記録されることがあります。一棟の構造を流用せず、専有部分の表題部をそのまま確認します。
登記面積と販売図面の専有面積が違うのは誤りですか?
直ちに誤りとは限りません。区分建物の登記床面積は内法、販売面積は壁芯で示されることが多いためです。面積基準と出所を確認して、それぞれ対応する欄へ記載します。
バルコニーは専有部分の床面積に含まれますか?
通常、販売資料でも専有面積とは別に示され、管理上は共用部分を専用使用する形が多いですが、個別物件の扱いは管理規約・使用細則で確認します。登記床面積へ当然に加算しません。
トランクルームがある場合は附属建物『有』ですか?
名称だけでは判断できません。専有部分の登記に附属建物として記録されているのか、別の専有部分なのか、共用部分の専用使用区画なのかを登記と管理規約で区別します。
マンション名が変わっていたら、どの名称を書きますか?
登記欄は登記上の建物名称を確認し、現在の販売・管理上の名称は別に対応関係を示します。単に新しい名称へ置き換えず、同じ一棟・専有部分であることを家屋番号等から確認します。
敷地権の土地もこの記事の欄へ書きますか?
一棟・専有部分の表示とは分けます。敷地権の目的である土地の所在・地番・地目・地積、敷地権の種類・割合は後続欄で確認し、専有部分の登記と対応させます。