重要事項説明書 A 不動産の表示|12

重要事項説明書「建物の表示」の書き方|所在・家屋番号・種類・構造・床面積

登記と現地の建物が違うとき、建物の表示はどちらを書きますか?

登記には木造2階建、1階80.00㎡・2階40.00㎡とありますが、現地には増築したように見える部分があります。重要事項説明書の建物の表示は、現況に合わせて面積や構造を書き換えてよいのでしょうか。

登記欄は表題部どおりに記載し、現況相違は別に説明します

建物の表示は、最新の建物登記の表題部から所在・家屋番号・種類・構造・各階の床面積を転記するのが出発点です。現地が違って見えても、登記欄を現況へ合わせて上書きせず、登記上の表示と現況の相違を分けて調査・記載します。

建物登記の表題部から重要事項説明書へ所在・家屋番号・種類・構造・各階床面積を転記し、現況相違を別に記録する図
登記上の表示を写す作業と、現地・建築資料との相違を説明する作業を分けます。図の所在地・家屋番号・面積は架空です。

不動産登記法44条は、建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積、名称、附属建物等を建物の表示に関する登記事項としています。不動産登記規則は、種類を主な用途、構造を主な構成材料・屋根・階数で区分し、床面積を各階ごとに定めています。

一方、未登記増築、取り壊した附属建物、用途変更等が疑われるときは、現地写真、建物図面・各階平面図、建築確認関係資料、固定資産関係資料、売主への聴取を追加します。登記にない事実を表題部からの転記のように見せないことが重要です。

建物の表示に何を書くかの診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

土地建物売買の重説で建物の表示を書く
確認1登記の表題部と現地の建物に、違いはありますか?
  • 結論表題部どおりに記載
  • 確認2登記と現地は、どこが違いますか?
    • 結論床面積は登記どおり、増築は別記
    • 結論取り壊した時期と滅失登記を確認
    • 結論種類は登記どおり、現況の用途も記載
    • 結論図面と建築確認の資料で確認
  1. 確認1登記の表題部と現地の建物に、違いはありますか?
    結論表題部どおりに記載
  2. 確認2登記と現地は、どこが違いますか?
    結論床面積は登記どおり、増築は別記
    結論取り壊した時期と滅失登記を確認
    結論種類は登記どおり、現況の用途も記載
    結論図面と建築確認の資料で確認
  • 表題部どおりに記載

    最新の登記の表題部にある所在・家屋番号・種類・構造・各階の床面積を、そのまま書きます。住居表示は住居表示実施証明など、建築時期は表題部の新築日と確認済証・検査済証で確認して書きます。

  • 床面積は登記どおり、増築は別記

    床面積は表題部どおりに書き、増築や未登記の車庫・物置は「増築とみられる部分あり。確認中」のように、確認できたことと未確認のことを分けて書きます。建てた時期、面積、課税されているか、登記が必要かは、売主と土地家屋調査士に確認します。

  • 取り壊した時期と滅失登記を確認

    いつ取り壊したか、滅失登記が必要かを売主に確認します。現地にない附属建物が、契約書案の売買対象に残っていないかも見ます。

  • 種類は登記どおり、現況の用途も記載

    種類の欄は登記どおりに書き、現況の用途が違うことを書き添えます。用途を変えた経緯、建築基準法と消防の手続、登記の変更が必要かを確認します。

  • 図面と建築確認の資料で確認

    構造の欄は登記どおりに書きます。建物図面・各階平面図、建築確認の資料、増改築の履歴を見て、実際に違うのかを確認します。

マンションの一室は、区分所有建物の表示の欄に書きます。

建物の表示欄の書き方の判断です。不動産登記法44条・51条と不動産登記規則111条から115条に基づき当事務所作成。

建物の表示を転記する前に確認する8点

  • 土地建物用の欄かこの記事は戸建て、一棟アパート、一棟ビル等の土地建物売買を中心に扱います。マンションの一室等は、一棟の建物と専有部分を分ける区分所有建物用の欄で確認します。
  • 売買対象となる建物が全部そろっているか主たる建物だけでなく、車庫、物置、離れ等の附属建物が登記または現地にないかを確認します。土地上の建物と売買契約書案の対象を一棟ずつ対応させます。
  • 家屋番号を住居表示から推測していないか家屋番号は登記上の建物を特定する番号で、郵便に使う住居表示とは別です。法務省のFAQも、住居表示では登記事項証明書を請求する建物を特定できないと案内しています。
  • 表題部の現在効力がある表示か変更前の種類・構造・床面積に抹消線がある場合は、現在の表示を読み取ります。閉鎖登記や古い固定資産資料だけで転記しません。
  • 床面積を各階ごとに拾ったか登記の床面積は各階ごとです。1階、2階、地階等をそのまま対応させ、合計欄がある書式では計算過程も残します。建築確認上の延べ面積や販売資料の面積を混ぜません。
  • 建築時期の根拠は何か表題部の原因及びその日付欄に新築日が記録されているか確認します。登記の日付、建築確認日、完成日を同じ日付として扱わず、確認済証・検査済証等とも照合します。
  • 現況との相違がないか増築、減築、用途変更、屋根変更、附属建物の新築・取り壊し等を現地で確認します。外観だけで床面積や登記要否を確定せず、図面と専門家確認へつなげます。
  • 未登記の建物・増築部分がないか登記情報にない建物が課税明細書や現地に現れる場合があります。売買対象、所有者、面積、建築時期、表題変更・表題登記の予定、融資・決済への影響を確認します。

建物を特定して重要事項説明書へ記載する順番

  • 契約資料から売買対象建物の候補を出す

    売買契約書案、登記識別情報、固定資産税課税明細書、販売資料から、主たる建物と車庫・物置等を一覧にします。土地上にある建物が当然すべて売買対象とは限りません。

  • 家屋番号を確認して最新の登記情報を取得する

    権利証・登記識別情報通知や課税明細書等から家屋番号を確認し、通常調査では登記情報提供サービスで全部事項を確認します。証明書そのものが必要な場合は法務局窓口等を使い分けます。

  • 表題部を一項目ずつ調査表へ写す

    所在、家屋番号、種類、構造、各階床面積、原因及びその日付、附属建物を転記します。過去の表示と現在の表示、登記日と新築日を分けて記録します。

  • 住居表示と建築時期を別資料で補う

    住居表示は住居表示実施証明等、建築時期は登記の新築日と確認済証・検査済証・建築計画概要書等から確認します。どの資料を根拠にした値かを案件記録へ残します。

  • 建物図面・各階平面図と現地を照合する

    建物の配置・形状、各階の範囲、附属建物を図面と現地で見比べます。現況相違が疑われる箇所は写真と位置を残し、売主へ増改築履歴を照会します。

  • 相違・未登記部分の扱いを確定する

    土地家屋調査士等へ登記要否と表示内容を確認し、売買対象に含めるか、誰がいつまでに登記するか、現況のまま引き渡すかを契約条件と整合させます。

  • 重説・契約書・添付資料を再照合する

    建物の表示、売買対象、所有者、附属建物、未登記部分の説明が資料間で一致するか確認します。登記上の表示と現況表示を同じ欄へ混在させません。

建物の各欄は、根拠資料を分けて記載します

次の例は、ユーザー提供の売買用重要事項説明書にある項目を基に、当サイトが独自に整理したものです。所在地・番号・面積は架空です。

主な確認資料記載と注意点
所在最新の建物登記・表題部登記どおりに記載。住居表示や土地の地番を推測で流用しない
家屋番号最新の建物登記・登記識別情報通知登記上の番号を記載。住居番号や部屋番号とは別物として扱う
住居表示住居表示実施証明、自治体資料、現地表示郵便上の住所を記載。登記の所在・家屋番号の代用にしない
種類最新の建物登記・表題部居宅、店舗・居宅、共同住宅等を登記どおりに記載。現況用途との相違は別記
構造最新の建物登記・表題部構成材料・屋根・階数を一続きで転記。『木造2階建』のような省略で内容を落とさない
床面積最新の建物登記・表題部1階80.00㎡、2階40.00㎡のように各階別で記載し、合計120.00㎡は計算根拠を保存
附属建物表題部(附属建物の表示)・現地符号、種類、構造、床面積を確認。未登記の車庫・物置は登記済みの附属建物のように転記しない
建築時期表題部の原因日付、確認済証・検査済証等『令和2年5月1日新築』等、根拠に対応させる。登記日や確認日と混同しない
登記と現況が一致する戸建ての記載例

所在:さいたま市浦和区例示町一丁目100番地/家屋番号:100番/住居表示:さいたま市浦和区例示町一丁目1番1号/種類:居宅/構造:木造スレートぶき2階建/床面積:1階80.00㎡・2階40.00㎡、合計120.00㎡。

未登記増築が疑われる場合

登記上の床面積は表題部どおりに記載したうえで、『南側1階部分に増築とみられる現況あり。売主聴取・建築資料・固定資産関係資料により確認中』等、確認済み事実と未確認事項を分けます。面積を外観から推定して確定値のように書きません。

東京23区・埼玉県で使う登記と固定資産資料の窓口

建物の種類・構造・床面積の登記ルールは全国共通です。東京23区と埼玉県で違うのは、家屋番号の照会や登記手続の管轄、未登記建物等を確認するための固定資産関係資料の窓口です。

通常調査は登記情報提供サービスを第一選択にします

重説作成のための内容確認は登記情報提供サービスを基本にします。オンラインで登記事項証明書を交付請求することもできますが、操作に不慣れな方へ積極的にはおすすめしていません。証明書そのものが必要なら、目的と習熟度に応じて法務局窓口またはオンライン請求を選びます。

東京都23区の登記

物件所在区を管轄する東京法務局本局・出張所を確認します。家屋番号が不明なときは、物件を管轄する法務局へ照会します。23区すべてを本局が直接担当するわけではありません。

埼玉県の登記

物件所在市町村を管轄するさいたま地方法務局本局・支局・出張所を確認します。さいたま市・戸田市・蕨市は本局、その他は管轄一覧から確認します。

東京都23区の固定資産資料

評価証明・物件証明等は23区内の都税事務所、固定資産課税台帳・土地家屋名寄帳等の閲覧は固定資産が所在する区の都税事務所が窓口です。請求権限と必要書類を先に確認します。

埼玉県の固定資産資料

固定資産税は市町村税なので、原則として物件所在市町村の資産税担当課が窓口です。名称、請求できる人、委任状、証明・閲覧の種類は市町村ごとに公式案内を確認します。

確認した公式資料:宅地建物取引業法35条(e-Gov)不動産登記法44条・51条(e-Gov)不動産登記規則111条から115条(e-Gov)建物登記事項証明書の見本(法務省)登記情報提供サービス家屋番号と住居表示に関するFAQ(法務省)東京法務局の不動産登記管轄さいたま地方法務局の不動産登記管轄固定資産に関する証明等・23区内市町村税の種類(埼玉県)

登記を写した後に、現地との差を探します

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

建物の表示は、登記をきれいに転記できたところが調査の終わりではありません。登記と現地が一致しているかを確認して、初めて売買対象の輪郭が見えてきます。

見つかった状況次に確認すること
登記にない増築部分建築時期・面積・施工資料・課税状況・表題変更登記の要否・融資への影響
登記にある附属建物が現地にない取り壊し時期・滅失登記の要否・契約時点の売買対象からの整理
種類と現況用途が違う用途変更の経緯・建築基準法上の手続・消防・登記変更の要否
構造・階数が違って見える建物図面・各階平面図・建築確認資料・増改築履歴を確認し、外観だけで断定しない

固定資産資料に家屋が載っていることは重要な手掛かりですが、それだけで建物登記があること、登記上の所有者、正確な床面積まで確定するものではありません。登記・課税・建築・現況は、役割の違う資料として照合します。

マンションの一室等は、同じ建物でも欄の階層と床面積の読み方が変わります。続きは、区分所有建物の表示で確認してください。

登記と現況の違いを含む建物調査が必要なときは

物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します

  • 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
  • 取引資料の確認、現地・役所・法務局等の調査、重要事項説明書ドラフト作成

標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。

主たる建物・附属建物・未登記部分を拾い出し、登記・現地・建築資料・契約書案が対応する重要事項説明書ドラフトを作成します。

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。

建物の表示でよくある質問

家屋番号と住所は同じですか?

同じとは限りません。家屋番号は不動産登記上の建物を特定する番号、住居表示は住所を分かりやすく示すための番号です。建物登記は家屋番号で特定し、重説では欄を分けて記載します。

登記の『所在』には住居表示を書きますか?

書きません。登記上の所在欄には、建物登記の表題部に記録された所在を転記します。住居表示は、重説に専用欄がある場合に別資料から記載します。

床面積は1階と2階を合計した数字だけでよいですか?

利用書式に各階欄があるなら、登記どおり各階別に記載し、合計欄へ合計値を記載します。合計だけでは、登記との突合や未登記増築の階を確認しづらくなります。

固定資産税課税明細書の面積を建物の表示へ書いてよいですか?

登記欄は最新登記の表題部を基準にします。課税明細書は未登記建物・現況相違を見つける補助資料として照合し、数字が違う場合にどちらかへ無条件で合わせません。

物置や車庫も重要事項説明書へ書きますか?

売買対象で、建物登記の附属建物として記録されているなら附属建物欄で確認します。現地にあるが未登記の場合も省略せず、売買対象、所有者、登記予定等を別途調べて説明します。

登記にない増築部分の面積は現地で測って記載できますか?

概測値を登記面積のように記載しません。増築範囲、建築資料、課税資料を集め、必要に応じて土地家屋調査士等へ面積・登記要否を確認します。確認済み事実、概測、未確認事項を区別して記録します。

建物の新築日は登記した日ですか?

同じとは限りません。表題部の『原因及びその日付』に記録された新築日と、登記の日付を分けて読み、確認済証・検査済証等にある別の日付とも混同しないようにします。

この記事は2026年9月4日時点の宅地建物取引業法、不動産登記法・同規則、法務省・法務局、東京都・埼玉県の公開資料と、ユーザー提供の売買用重要事項説明書書式を確認して作成しています。公開中の図と記載例は、対象欄の関係を当サイトが独自に抽象化した架空例です。個別案件では、最新登記、現地、建築関係資料、固定資産関係資料、売買契約書案を照合してください。