東京湾沿いの物件は津波災害警戒区域?重説の調べ方・書き方【簡単診断】
東京湾沿いの物件は、津波災害警戒区域に入るのですか?
海に面したマンションや土地なら、津波災害警戒区域に指定されていそうですが、東京湾沿いの物件はどうなのでしょうか。区域外なら津波の心配はないのか、重説では何を調べればよいのかも気になります。
東京23区の湾岸も、現在は未指定です
確認した公表資料では、東京23区の湾岸も津波災害警戒区域には指定されていません。港区・品川区の公式案内、大田区のFAQにも未指定と記載されています。海に面しているだけで、区域内になるわけではないのです。
では、津波の心配をしなくてよいのでしょうか。未指定だから津波の危険がない、という意味ではありません。港区は津波ハザードマップで、津波による浸水が予測される範囲を示しています。
重説では、指定がないと確認できれば区域の欄は『外』です。ただし、その物件に津波の浸水が予測されているかは、ハザードマップで調べます。予測範囲に含まれる場合は、該当する部分と浸水深も確認して説明します。
東京湾沿いの指定状況と津波地図:港区・指定なし、津波地図あり品川区・津波地図の案内大田区・Q11国交省・指定状況(令和8年3月31日)
津波の区域指定と重説記載の簡単診断
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- 確認2津波災害特別警戒区域にも含まれますか?
- 結論両区域を区域内と記載し、制限も説明
- 結論警戒区域のみ区域内と記載
- 結論都県に指定状況と範囲を照会
- 確認3自治体の津波予測図で、敷地に浸水が予測されていますか?
- 結論区域外と記載し、浸水予測も説明
- 結論区域外と記載・予測図は追加確認
- 結論都県に指定状況と範囲を照会
- 確認1津波災害警戒区域の指定状況はどうなっていますか?結論都県に指定状況と範囲を照会
- 確認2津波災害特別警戒区域にも含まれますか?結論両区域を区域内と記載し、制限も説明結論警戒区域のみ区域内と記載結論都県に指定状況と範囲を照会
- 確認3自治体の津波予測図で、敷地に浸水が予測されていますか?結論区域外と記載し、浸水予測も説明結論区域外と記載・予測図は追加確認
- 警戒区域のみ区域内と記載
特別警戒区域は区域外と記載します。公示図書で範囲・告示・基準水位等を調べます。警戒区域だけの指定で直ちに建築禁止になるわけではありません。
- 両区域を区域内と記載し、制限も説明
特別警戒区域は警戒区域の一部です。指定範囲と開発・建築等の制限を調べ、買主の計画を所管と建築士へ確認します。
- 区域外と記載し、浸水予測も説明
浸水予測図だけで区域内にはしません。資料名・版・想定条件・敷地の該当部分と浸水深の凡例を確認して説明します。
- 区域外と記載・予測図は追加確認
地図に表示がなくても、安全とは判断できません。予測範囲外なのか、地図の対象外・未作成なのかを確かめます。洪水・内水・高潮の調査も必要です。
- 都県に指定状況と範囲を照会
地番・公図・配置図を示して照会します。資料が見つからないだけで、区域外とは記載しません。
区域内外の記載と補足調査を考えるための診断です。個別の安全性を判定するものではありません。未指定と確認できても、津波以外の水害調査は省略できません。
区域外なら、東京湾に津波が来る心配はないのでしょうか?
津波が来るかどうかは、警戒区域の指定だけでは分かりません。例えば港区では、元禄関東地震を想定した津波ハザードマップを作成し、浸水が予測される場所を示しています。東京湾沿いの物件では、所在地の区が公表する津波地図で、敷地の位置と浸水の予測を確認します。
港区の津波地図は、防潮堤や水門の状態でも予測が違います
港区は、防潮堤・水門・護岸が機能する場合の地図Aと、すべて機能しなくなる場合の地図Bを用意しています。地震による地盤沈下や液状化も考慮しています。同じ敷地でも、どの条件の地図を見るかによって浸水の予測が違うことがあります。
買主には『この物件は区域外です』だけで終えず、予測図に敷地の位置を示し、浸水が予測されているか、どのような条件での予測かを説明します。海沿いのマンションなら、住戸の階数だけでなく、出入口や共用設備がどの高さにあるかも確認します。
では、津波災害警戒区域は何のためにあるのですか?
津波による人的な被害を防ぐため、避難場所や避難経路などの警戒避難体制を特に整備する区域です。津波防災地域づくり法53条に基づき、都道府県知事が指定します。『海に近い土地』という地理的な呼び方ではなく、法律に基づく指定区域の名称です。
津波浸水想定は、想定した津波で『どこまで、どのくらいの深さで浸水するか』を示します。その想定を踏まえて、知事が警戒区域を指定します。国交省の概要では、法8条の浸水想定は設定が義務で、警戒区域の指定は任意とされています。浸水が予測される場所でも、警戒区域に指定されていないことがあります。
特別警戒区域もあるのですか?
警戒区域のうち、津波で建物が損壊したり浸水したりして、人の生命・身体に著しい危害が生じるおそれがある場所では、知事が津波災害特別警戒区域を指定できます。一定の開発・建築等の制限があるため、指定されていれば重説では制限の内容も調べます。特別警戒区域は警戒区域の一部なので、特別警戒区域内なら警戒区域も『内』です。
津波の予測と二つの区域の意味:港区・津波予測AとBの条件国交省・区域指定と重説のQ&A国交省・制度概要8頁
津波災害警戒区域は、どこで何を調べればよいですか?
- 地番と敷地・建物の位置を特定する
登記情報、公図、配置図、案内図で売買対象を特定します。住所検索のマークだけでなく、敷地全体を照合します。マンションでも住戸の階数だけで調査対象から外しません。
- 都県の指定状況と最新の公示を調べる
国交省の全国一覧で概況を調べ、所在地の都県・区の公式案内で確認します。国の集計日と閲覧日は違うため、新しい指定・変更がないかも確かめます。指定があれば公示図書の区域図と対象地を照合します。
- 警戒区域と特別警戒区域をそれぞれ確認する
警戒区域内なら、特別警戒区域にも含まれるかを調べます。区域名、告示年月日・番号、敷地の該当部分、基準水位等を確認します。特別警戒区域なら、建築・開発等の制限と買主の計画も所管へ照会します。
- 未指定でも、所在地の津波予測図を調べる
区の防災ページから津波ハザードマップを探します。地図の作成年月、想定地震、防潮施設の条件、浸水深の凡例、建物と敷地の位置を確認します。地図に浸水の表示がなければ、予測範囲外なのか、そもそも地図の対象外なのかを確かめます。
- 調査資料を保存し、指定と予測を分けて記載する
指定資料・公式FAQ、位置を示した予測図、凡例と条件を保存します。資料名・公表時点・URL・閲覧日、電話照会をした場合は日時・部署・回答内容を残します。以前の重説や売主の説明だけを根拠に転記しません。
津波の高さ・浸水深・基準水位は同じ数値ですか?
| 資料の用語 | 数値を見るときの注意 |
|---|---|
| 津波水位・津波の高さ | 海面や標高の基準から測った値など、資料ごとに定義を確認します。T.P.は標高の基準です。T.P.+○mを、その土地の地面からの浸水深として転記しません。 |
| 浸水深 | その場所の地面から水面までの深さです。地図の凡例が0.5m未満、0.5〜1mなどの区分なら、勝手に一点の数値へ置き換えません。 |
| 基準水位 | 津波浸水想定の浸水深に、建物等に衝突して水がせき上がる分を加えた水位です。避難場所等の検討に使われます。公表されているだけで、警戒区域指定済みとは限りません。 |
『○区○町○番○の土地と建物について、重要事項説明書作成のため確認します。添付の公図・配置図の範囲に、法53条の津波災害警戒区域、法72条の特別警戒区域の指定はありますか。最新の告示や公示図書、地図に未反映の指定・変更はありますか。未指定の場合、そのことを確認できる公式資料と、今後の指定に関する公表情報を教えてください。』
『この地番と建物配置は、どの津波予測図で調べればよいですか。図の想定地震と防潮施設の条件、該当する浸水深の凡例を確認したいです。色がない部分は予測範囲外ですか、それとも計算や表示の対象外ですか。避難先・経路と、洪水・内水・高潮の別の地図も教えてください。』
未指定なら重説にはどう書く?区域の内・外と補足の記載例
重説の災害関係の区画にある『津波災害警戒区域内か否か』の欄を確認します。特別警戒区域の欄がある書式では、そちらも確認します。特別警戒区域の行為制限は、法令上の制限欄・備考等でも説明が必要です。書式の版や物件種別で項目番号が変わるため、欄名で探してください。
次は、記載方法を示す架空例です。契約前に指定状況と敷地の位置を調べ、実際に保存した資料・確認日・回答に合わせて書き換えます。照会していないのに『東京都へ確認済み』とは記載しません。
| 調査結果・前提 | 記載例と注意 |
|---|---|
| 所在地で警戒・特別警戒とも未指定と確認 | 両区域の欄:外。『令和○年○月○日、○○公表の指定状況及び○区の公式案内により、本物件所在地に津波災害警戒区域及び津波災害特別警戒区域の指定がないことを確認しています。確認資料は別添のとおりです。今後の指定により取扱いが変わる可能性があります。』確認した時点の記載であり、将来も区域外とは限りません。 |
| 未指定だが、区の津波予測範囲に該当 | 指定欄は外のまま、予測を補足します。『本物件所在地は上記区域に未指定ですが、○区の「○○津波ハザードマップ」(令和○年○月版・想定条件○○)では、敷地の○側部分に○〜○mの浸水が予測されています。敷地の位置、凡例及び想定条件は別添資料のとおりです。』同じ敷地で複数の深さになる場合は、部分ごとの凡例を示します。 |
| 警戒区域内・特別警戒区域外と確認 | 警戒区域:内/特別警戒区域:外。『敷地の○○部分は、○○告示第○号(令和○年○月○日)により指定された津波災害警戒区域内です。同部分に津波災害特別警戒区域の指定はありません。指定範囲及び基準水位は別添公示図書のとおりです。』敷地全体の指定なら、そのように記載します。 |
| 特別警戒区域にも含まれる | 警戒区域:内/特別警戒区域:内。告示・該当部分を示し、『該当部分では、津波防災地域づくり法に基づく一定の開発・建築等の制限があります。適用される制限及び本件計画についての確認内容は、法令上の制限欄・別添資料のとおりです。』などと記載します。別添資料には、対象用途・必要な許可・構造等の条件を具体的に記載します。 |
| 地図がない・地番の位置や指定状況が不明 | 未確認の状態で区域外・浸水なしとは記載しません。都県や区へ資料を示して照会し、確認できた指定状況と、入手できる予測資料の範囲を記録します。地図が未作成であることと、津波が起こらないことは違います。 |
区域外なら、津波についての説明は一切不要ですか?
国交省のQ&Aでは、取引時に未指定なら、警戒区域内である旨の説明義務はないと整理しています。一方、未指定の場合も、将来指定される可能性等を必要に応じて補足することが、トラブル防止の観点から望ましいとしています。Q&Aにある『施行後間もない』は制度導入当時の状況です。現在の重説には、調査した時点の指定状況と確認資料を記載します。
これは、把握した浸水予測や被害履歴まで説明しなくてよい、という意味ではありません。区域外の欄を見た買主に『この物件に津波の心配はない』と受け取らせないよう、該当する予測資料があれば、その内容と条件を示して説明します。
重説記載の根拠:国交省Q3・未指定の補足、Q4・特別警戒区域
埼玉県・東京23区の調査先と、関東の指定例
埼玉県は、指定状況と河川の水害資料を確認します
国交省の指定一覧・全国図によると、埼玉県は津波浸水想定の設定対象外であり、令和8年3月31日現在、警戒区域の指定もありません。ただし、海に面していないことや、津波浸水想定の設定対象外であることから、洪水や河川遡上の被害まで否定することはできません。
県の平成24・25年度地震被害想定調査には、津波の河川遡上についての検討が含まれています。過去の調査なので、現在の物件の浸水判定には、所在地の最新資料が必要です。河川付近の物件は、所在地の市町村の防災担当に、利用すべき最新の被害想定とハザードマップを確認します。
県の地震被害想定資料の案内窓口は、危機管理防災部危機管理課・普及啓発担当(048-830-8148)です。区域指定の最新状況を照会する場合は、担当部署も確認してください。洪水・内水は各市町村の水害ハザードマップで調べます。
東京23区は、都の指定と、所在地の区の津波予測を調べます
| 確認先 | 調べる内容・問い合わせ |
|---|---|
| 東京都 | 法8条に基づく津波浸水想定の案内の窓口は、総務局総合防災部防災計画課(03-5320-7892)。指定状況や公示資料の確認先が分からない場合は、担当部署を確認します。都がここで公表する法8条の想定は島しょ地域が対象で、23区の物件では区の津波地図なども調べます。 |
| 港区 | 不動産業者向けの指定一覧と津波地図で、未指定と予測を確認。津波地図の照会は、防災課地域防災支援係(03-3578-2510)。A・Bで異なる施設条件を確認します。 |
| 大田区 | 防災FAQのQ11で両区域の未指定と指定見込みの説明を確認。防災危機管理課普及担当(03-5744-1611)。予測資料は同項の『津波対策』リンクから探します。 |
| 品川区 | 品川区防災地図の津波に関する説明・地図を確認。未指定であることと、都の被害想定に基づいて津波地図を作成していることを明記しています。 |
| そのほかの区 | 所在地の区の防災・危機管理担当へ、津波予測図と水害地図の所在を確認します。隣の区が未指定であっても、それだけでは所在地の区の指定状況は確認できません。都の指定資料と、所在地の区の案内を保存します。 |
関東全体が未指定、というわけではありません
神奈川県の公表一覧には、藤沢市、茅ヶ崎市、小田原市、大磯町、二宮町、真鶴町、湯河原町の指定が掲載されています。同じ一覧でも横浜市・川崎市などは未指定です。指定のある市町でも全域が区域内とは限らないので、公示図書で対象地を調べます。
千葉県は基準水位の公表ページで、警戒区域は未指定と説明しています。浸水想定や基準水位が公表されていても、それだけでは警戒区域内と判断できません。関東の物件も、県名や海からの距離だけで判断せず、その土地の指定資料を確認します。
指定状況は、集計時点と最新の公表を確認:国交省・進捗状況の更新先神奈川県・指定市町と公示図書千葉県・未指定の注意書き
区域外という記載で、安全だと誤解させないようにします

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
重説では区域外でも、区の津波地図には浸水の予測がある。この二つを、資料を見せながら説明したいですね。
- 津波と高潮の資料を取り違えていないか海の浸水でも、津波と高潮は違います。津波予測図だけで、水防法に基づく洪水・雨水出水・高潮のハザードマップの説明を済ませないでください。所在地がどの地図に載るかをそれぞれ調べます。
- 上層階だから調査不要としていないか専有部分が浸水しにくい高さでも、敷地の指定は調べます。浸水時に出入口・地下設備・電源などに影響があると、住戸に水が入らなくても避難や生活に支障が生じ得ます。共用設備は管理会社の資料や防災計画も確認します。
- 予測の条件と数値を取り違えていないか条件の違う地図から都合のよい数値だけを選びません。浸水深、標高、津波水位を誤記すると、買主が建物の利用や避難を検討する際に誤解するおそれがあります。資料の版・凡例・条件を一緒に示します。
- 災害に関するほかの欄も調べたか津波の未指定は、土砂災害警戒区域や造成宅地防災区域の指定状況を示すものではありません。それぞれの資料で確認します。法令の調査全体は法令上の制限チェックリストで整理しています。
災害区域・行政資料の調査から、重要事項説明書の作成まで対応します
- 区域の指定状況と、所在地のハザードマップ・行政資料を確認
- 現地・役所・法務局等の調査結果をもとに、重要事項説明書ドラフトを作成
津波の発生や建物の安全性を予測・保証するサービスではありません。調査で確認できた指定・公表資料と、必要な追加確認を整理します。
災害関係の調査先や、調査結果の記載でお困りの方へ。
物件調査・重要事項説明書の作成を依頼する標準的な1物件88,000円(税込)/公的資料取得実費別津波災害警戒区域についてよくある質問
津波災害警戒区域に入ると、家を建てられなくなりますか?
警戒区域の指定だけで、直ちにすべての建築が禁止されるわけではありません。特別警戒区域では一定の開発・建築等の制限があるため、指定内容と買主の計画を所管や建築士に確認します。ほかの法律・条例による制限も調べます。
海から何メートル離れていれば、津波の調査は不要ですか?
海からの距離だけでは、区域内外も浸水の有無も判定できません。区域の内外は指定図と対象地を照合し、浸水予測は地形や河川、施設の条件を含む自治体の資料で確認します。
津波ハザードマップがなければ、重説はどうしますか?
まず未作成なのか、別名称の予測図があるのかを所在地の自治体に確認します。警戒区域の指定は都県の資料で調べ、入手できた予測資料と確認できなかった事項を記録します。地図がないことを、浸水しないという説明に置き換えません。
基準水位が公表されていれば、津波災害警戒区域内ですか?
基準水位の公表だけでは判定できません。千葉県は基準水位を公表するページで、警戒区域は未指定と説明しています。区域内かは、知事の指定・公示と対象地の位置で確認します。
東京湾岸は、なぜ津波災害警戒区域に指定されていないのですか?
未指定とする具体的な行政上の理由は、参照した公式資料では説明されていません。浸水想定があれば自動的に警戒区域になる制度ではなく、知事による指定が必要です。確認できた資料だけでは、未指定の理由を『湾内だから』『防潮堤があるから』とは断定できません。