重要事項説明書 建物状況・災害・性能|69

造成宅地防災区域とは?埼玉・東京の指定状況と重説の書き方【簡単診断】

造成宅地防災区域とは?埼玉県や東京23区にも指定されていますか?

重要事項説明書に『造成宅地防災区域』の内・外を記載する欄があります。最近始まった盛土規制法の区域でしょうか。埼玉県や東京23区ではどこを調べ、区域内・区域外をどのように記載すればよいのでしょうか。

既存の造成宅地の災害を防ぐための指定で、埼玉県・東京都の案内では現在指定がありません

造成宅地防災区域は、造成に伴う災害で多くの居住者等に危害を及ぼすおそれが大きい、一団の造成宅地を指定する制度です。平成18年の法改正で設けられました。現在の根拠は、宅地造成及び特定盛土等規制法45条です。

2026年10月21日の確認では、埼玉県と東京都は造成宅地防災区域を指定していないと公表しています。ただし、さいたま市・川越市・川口市・越谷市は県とは別の所管なので、市の資料も確認します。対象地に適用される公表資料を保存し、その指定状況に基づいて『外』と記載します。

令和5年の改正法施行後、各自治体が指定した宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域とは別です。『宅地造成等工事規制区域は内、造成宅地防災区域は外』という記載は両立します。

さいたま市の例。法令上の制限欄では宅地造成等工事規制区域の内、造成宅地防災区域の欄では外と記載する。区域名と記載欄は異なる
当事務所作成の照合図。さいたま市の全域指定と造成宅地防災区域の指定なしという公表を例にしています。実際の書式そのものではありません。

指定状況と根拠法令:埼玉県・8 造成宅地防災区域東京都・8 造成宅地防災区域盛土規制法45条宅建業法施行規則16条の4の3

造成宅地防災区域の重説記載の簡単診断

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売買物件の造成宅地防災区域を調べる
確認1所管の公式資料では、指定状況はどうなっていますか?
  • 結論指定なしの根拠を保存し『外』
  • 確認2指定図・告示で、対象地は区域内ですか?
    • 結論『内』と指定・措置の内容を記載
    • 結論指定図との照合結果を保存し『外』
    • 結論所管へ指定状況・区域境界を照会
  • 結論所管へ指定状況・区域境界を照会
  1. 確認1所管の公式資料では、指定状況はどうなっていますか?
    結論指定なしの根拠を保存し『外』
    結論所管へ指定状況・区域境界を照会
  2. 確認2指定図・告示で、対象地は区域内ですか?
    結論『内』と指定・措置の内容を記載
    結論指定図との照合結果を保存し『外』
    結論所管へ指定状況・区域境界を照会
  • 指定なしの根拠を保存し『外』

    対象地を所管する自治体の公表が適用されることを確かめ、資料名・確認日とともに『外』と記載します。ほかの規制区域や擁壁の安全性は別に調べます。

  • 『内』と指定・措置の内容を記載

    指定名・告示・対象範囲と、勧告や改善命令の有無・対応状況を確認します。必要な対策や未確認事項を補足します。

  • 指定図との照合結果を保存し『外』

    対象地の全体が区域外と分かる指定図や告示を保存し、『外』と記載します。区域境界に近い場合は所管へ照会します。

  • 所管へ指定状況・区域境界を照会

    不明のまま『外』とは記載しません。地番・公図・案内図を示して照会し、回答と資料を記録します。

2026年10月21日現在、埼玉県・東京都等の案内では指定がありません。今後指定された場合には、告示・区域図で対象地の内・外を確認します。個別物件の安全性や建築の可否は、この診断では判断できません。

盛土規制法45〜48条、宅建業法施行規則16条の4の3第1号と自治体の指定状況に基づき当事務所作成。

最近の盛土規制法改正で、何が変わったのでしょうか?

時期制度の変更
平成18年の改正地震による造成宅地の被害等を受け、既存の造成宅地について造成宅地防災区域を指定し、勧告や改善命令を行う制度が設けられました。旧法では20条が指定の根拠でした。
令和5年5月26日令和4年の改正法が施行され、法律名が『宅地造成及び特定盛土等規制法』になりました。宅地だけでなく農地・森林等も含む盛土等の工事規制が強化されました。造成宅地防災区域の現行の指定根拠は45条です。
各自治体での規制区域指定東京や埼玉では、新法に基づく宅地造成等工事規制区域等の指定により規制が始まりました。その指定日と、造成宅地防災区域の指定とは別です。

改正の経緯:国交省・平成18年改正の説明(旧法)国交省・盛土規制法の施行と概要

名前が似ている区域・地図との違い

名称確認する内容
造成宅地防災区域災害発生のおそれが大きい一団の造成宅地の法的な指定です。重説の『造成宅地防災区域内か否か』に記載します。
宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域一定規模の盛土・切土・土石の堆積等について許可や届出等が必要になる区域です。法令上の制限の欄で説明します。区域内というだけで、その土地に危険な盛土があるという意味ではありません。
大規模盛土造成地マップ・既存盛土等分布マップ調査で把握した造成地や盛土等の位置を示す資料です。図に表示されていることと、造成宅地防災区域に指定されていることは同じではありません。危険性の評価についても、各資料の説明を確認します。
土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域土砂災害防止法に基づく別の指定です。重説の土砂災害関係の欄で確認します。造成宅地防災区域とは指定の根拠も対象範囲も異なります。

盛土規制法45条は、造成宅地防災区域の対象から『宅地造成等工事規制区域内の土地』を除いています。ただし、『特定盛土等規制区域』まで一律に対象外と読むことはできません。区域名を省略せず確認します。

重説では、区域の内・外と、必要な補足を記載します

参考にした令和8年1月版の全日書式では、土地建物用は第9項、区分所有建物(敷地権)用は第10項に、この欄があります。区分所有建物では、その住戸の部屋番号だけでなく建物・敷地の所在地を確認します。欄の番号は使用書式の版によって変わります。

根拠は宅建業法35条1項14号と施行規則16条の4の3第1号です。区域内の場合はその旨を説明します。区域内で適用される勧告・改善命令等や、売主が受けている具体的な指導も調べ、必要な補足をします。

造成宅地防災区域は、どこで何を調べればよいですか?

  • 土地と所管を特定する

    所在地、地番、公図、案内図、建物・敷地の範囲を用意します。県の資料を使う場合は、指定都市・中核市を含む情報か、県所管だけの情報かを確かめます。

  • 公式の指定状況を確認する

    自治体の盛土規制法の案内で、『造成宅地防災区域』という名称の指定有無を確認します。指定なしの公表は、ページ名・URL・確認日が分かる状態で保存します。盛土の分布図だけで判定しません。

  • 指定がある場合は告示・指定図と照合する

    指定名、告示番号・年月日、区域図の対象範囲と敷地全体を照合します。敷地の一部が区域内の場合は、その部分を特定して説明します。境界が読み取れなければ所管へ照会します。

  • 勧告・改善命令や工事の経過を確認する

    売主へ行政からの文書、擁壁等の調査・工事・完了資料を尋ねます。所管には勧告・命令の有無、履行状況、残る対応、指定解除の有無と根拠資料を質問します。工事が終わったことだけで指定解除とは扱いません。

  • 確認できた結果と根拠を重説へ記載する

    内・外の選択と、その判断に使った資料を記載します。資料間の矛盾や不明事項があれば追加照会し、確認できないまま区域外と記載しません。別途調べるべき擁壁・地盤の問題も説明します。

窓口での質問例

『○○市○○町○番○の土地について、売買の重要事項説明書作成のため確認します。盛土規制法45条の造成宅地防災区域に、全部または一部が指定されていますか。管内に指定がない場合は、根拠として保存できる公表ページや回答資料を教えてください。指定がある場合は、告示・区域図、勧告や改善命令の有無、履行状況、指定解除の有無も確認したいです。宅地造成等工事規制区域や土砂災害警戒区域の照会先が別であれば、それぞれ教えてください。』

照会日、部署、回答者、提示した地番・図面、質問と回答、根拠資料を記録します。電話で番地だけを読み上げると敷地範囲を特定できない場合があるため、図面を送る方法や窓口での確認方法を担当課に尋ねます。

造成宅地防災区域の内・外は、重説にどう記載しますか?

以下は架空の記載例です。実際に確認した自治体、日付、地番、告示、回答内容に合わせてください。公表ページを見た場合はその資料名を、窓口に照会した場合は照会先・回答日・回答内容を記載します。

確認結果選択と補足の例
さいたま市の指定なしを公表で確認選択:外。『令和○年○月○日、さいたま市公式FAQ「宅地造成等工事規制区域、造成宅地防災区域について教えてください。」により、市内に造成宅地防災区域の指定がない旨を確認しています。なお、本物件は宅地造成等工事規制区域内です。』後半の規制内容は法令上の制限の欄でも説明します。
今後、区域内と確認された場合選択:内。『○○告示第○号(令和○年○月○日)による○○地区造成宅地防災区域に、別添区域図のとおり本物件の○○部分が含まれます。勧告・改善命令の有無、対応状況は○○課への令和○年○月○日付照会回答および別添資料に記載のとおりです。』将来指定された地域で同じ欄を記入する場合の架空例です。
指定状況・境界が分からない場合調査メモ:『令和○年○月○日、○○課へ地番・公図・案内図を示して照会中。造成宅地防災区域の指定状況(または対象地への該当範囲)は未確定。』この段階では、重説の内・外は未確定です。照会回答後に選択と補足内容を確定します。分からないことを理由に『外』を選びません。

区域内なら、対策や命令の内容まで確認が必要です

区域内の所有者・管理者・占有者には、災害防止のため必要な措置を講ずるよう努めることが求められます(46条1項・努力義務)。知事等は必要な措置を勧告でき、47条の条件を満たす場合には、擁壁等の設置・改造や地形・盛土の改良工事を命ずることもできます。

売主が文書を受けている場合は、文書名、対象、名宛人、期限、実施した対策と残る対応を確認します。売買後の対応や費用負担は、行政への照会と、当事者・専門家による契約条件の検討が必要です。必要な対策を説明しないと、買主が工事費用を見込まないまま購入するおそれがあります。

埼玉県・東京23区の指定状況と確認先

指定状況は2026年10月21日現在の公表に基づきます。契約時点の変更や個別地番の扱いは、物件を所管する部署で確認します。

埼玉県の窓口は、県と指定都市・中核市に分かれます

対象地指定状況・確認先
県所管の市町村県の現行案内の第8項は、造成宅地防災区域を指定していないと説明しています。制度・指定状況の相談は県都市計画課盛土規制担当(048-830-5336)。個別地の窓口は同じページの所管表で確認します。埼玉県の案内
さいたま市市のFAQに造成宅地防災区域の指定なしと明記されています。市全域は令和7年5月26日から宅地造成等工事規制区域です。確認先は開発・盛土調整課(048-829-1427)。さいたま市のFAQ
川越市市の案内では、市全域が令和7年5月26日から宅地造成等工事規制区域です。45条がその区域内を造成宅地防災区域の対象から除いていることも踏まえて確認します。照会先は市の開発指導課。川越市の区域指定
川口市市の現行案内では、市内全域を令和7年5月26日に宅地造成等工事規制区域に指定しています。45条との関係を確認し、個別地の照会は市の盛土規制法担当へ行います。川口市の現行案内
越谷市市の案内では、令和7年5月26日に市全域を宅地造成等工事規制区域として公示しています。45条との関係を確認し、個別地の照会は開発指導課へ行います。越谷市の現行案内

埼玉県内では、県所管区域に造成宅地防災区域の指定はなく、4市の全域も、その指定対象から除かれる宅地造成等工事規制区域です。契約時は対象地を所管する県または市の案内で再確認します。さいたま市は、大規模盛土造成地の調査結果でも、造成宅地防災区域の指定が必要な地区はないと説明しています。

東京都は指定なしと公表しています

東京都の盛土規制法の案内の第8項には、造成宅地防災区域を指定しておらず、今後の指定予定もないと記載されています。制度・指定状況の相談先は、都市整備局市街地整備部区画整理課盛土対策担当(03-5320-5132)です。重説の根拠資料として東京都の指定状況を保存し、指定状況・指定予定は契約前に最新の案内で確かめます。

造成宅地防災区域が『外』でも、擁壁や崖の調査は必要です

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

区域外と分かっても、擁壁にひびがあったり、補修の指導を受けていたりしないかは調べておきたいところです。

  • 区域指定と現地の状態未指定は、土地が安全だという証明ではありません。擁壁のひび・傾き・水抜き穴、排水状況、隣地との高低差、売主が受けた指導や補修歴を調べ、気になる点は建築士等へ確認します。仲介担当者の目視だけで安全と断定しません。
  • ほかの法令上の制限盛土規制法の工事規制、土砂災害の区域、建築条例の崖に関する制限等も確認します。ほかの制限の確認先はその他の法令上の制限チェックリスト、許可履歴等の調べ方は盛土規制法の記事で説明しています。
  • 費用と工事計画への影響追加調査、擁壁の補修や造り直し等が必要な場合は、費用や工期が購入後の計画に影響します。区域外でも、補修の要否や再建築時の制限は個別の確認が必要です。判明した事実と未確認の事項を具体的に伝えます。

区域内の措置と命令:盛土規制法46〜48条

埼玉県全域・東京都23区の売買物件

区域指定・行政資料の調査から、重要事項説明書の作成まで対応します

  • 造成宅地防災区域・盛土規制法の区域等を、それぞれの公表資料で確認
  • 現地・役所・法務局等の調査結果と未確認事項を整理し、重要事項説明書ドラフトを作成

擁壁や地盤の安全性を診断するサービスではありません。技術的な調査・設計・改修方法は、建築士等への確認が必要です。

似た名称の区域指定や、対象地の行政資料の確認でお困りの方へ。

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼する標準的な1物件88,000円(税込)/公的資料取得実費別
大規模盛土造成地マップに色が付いていたら、区域内ですか?

その表示だけでは判断できません。盛土造成地の調査・分布資料と、法律に基づく造成宅地防災区域の指定資料は違います。指定の告示や自治体の指定状況を確認します。

分譲マンションでも、造成宅地防災区域を調べますか?

建物の売買も説明対象です。住戸の階数だけで対象外とせず、建物・敷地の所在地を調べます。一団の敷地や複数筆では、その範囲を図面で特定して確認します。

擁壁を補修したら、自動的に区域外になりますか?

なりません。45条2項・3項による指定解除とその公示を確認します。工事完了や、売主から補修済みと聞いたことだけで、重説の選択を『外』へ変更しません。

区域外なら、売主から聞いた擁壁の不具合は書かなくてよいですか?

区域外という回答は、擁壁の不具合や行政指導がないことを意味しません。把握した不具合や指導について資料・現況・対応状況を確認し、取引判断に関わる内容を説明します。

2026年10月21日に国・埼玉県・東京都・各市区の公式資料を確認しました。指定状況は更新されるため、契約時点で再確認してください。図は当事務所による独自の照合図で、公式書式やオンライン入力画面の画像ではありません。記載例は架空例です。個別の擁壁・地盤の安全性や改修方法は、所管行政庁・建築士等による確認が必要です。