重要事項説明書 建物状況・災害・性能|67

重要事項説明書の『書類の保存状況』はどう書く?各欄を解説【簡単診断】

重要事項説明書の『書類の保存の状況』は、各欄に何を書けばよいですか?

この表には、新築時の確認申請書や検査済証、調査・点検の報告書、耐震関係の証明書などが並んでいます。『該当する・該当しない』と『有・無』は何が違い、資料がないときはどう記載するのでしょうか。書類の意味、確認相手、選択方法、備考の書き方を、表の各行に沿って説明します。

この表は、条件に該当するかと、各書類が保存されているかを記載する欄です

最初の2行は新築時の書類です。その下は、増改築・調査・評価・定期報告・建築時期の該当条件を確かめ、該当する場合に、各書類の保存の有無を記載します。エレベーターの報告書だけを選ぶための表ではありません。

第8項の表全体。新築時の確認申請関係書類と検査済証、増改築、建物状況調査、既存住宅性能評価、4種類の定期報告、耐震関係書類が上から順に並んでいる
出典:全日本不動産協会『17-1 一般仲介用/区分所有建物(敷地権)』2026年1月版・第8項のWord表示。以下の見出しは、この表と同じ順番です。

第8項の表全体を大きく開く。全体画像は欄の位置を見つけるためのものです。各行の説明と記入例は、このページの本文にあります。

説明対象の書類:宅建業法35条1項6号の2ロ施行規則16条の2の3

設計図書・点検記録の保存状況の簡単診断

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

第8項にある書類の保存状況
確認1その書類は、どこまで保存されていますか?
  • 確認2その書類を保管しているのは誰ですか?
    • 結論保存『有』・引継ぎ方法を確認
    • 結論保存『有』・保管者も記載
  • 結論欠けている書類名を補記
  • 結論紛失・未交付・対象外を説明
  • 結論売主・必要に応じ管理会社へ照会
  1. 確認1その書類は、どこまで保存されていますか?
    結論欠けている書類名を補記
    結論紛失・未交付・対象外を説明
    結論売主・必要に応じ管理会社へ照会
  2. 確認2その書類を保管しているのは誰ですか?
    結論保存『有』・引継ぎ方法を確認
    結論保存『有』・保管者も記載
  • 保存『有』・引継ぎ方法を確認

    対象建物・書類名を確認し、買主に渡せる資料と時期を売主へ質問します。保存『有』だけで建物の安全性を保証するものではありません。

  • 保存『有』・保管者も記載

    管理組合や住宅履歴情報サービス機関等の名称を備考に記載します。誰の保管か、閲覧・写しの提供方法も確認します。

  • 欠けている書類名を補記

    確認済証はあるが申請書・添付図書がない場合などです。書類一式が揃っているように記載せず、不足の内訳を明記します。

  • 紛失・未交付・対象外を説明

    紛失なら保存『無』とし、作成不要・未交付の場合も理由を補足します。『無』や斜線の扱いは使用書式の注記に従います。

  • 売主・必要に応じ管理会社へ照会

    照会前に『無』で済ませません。必要な問い合わせ後も不明なら、不明であることと問い合わせ経過を記載します。

書類ごとに使う診断です。増改築の有無や定期報告の対象条件は先に確認します。対象か分からないときは管理会社・所管行政庁へ質問し、対象外と決めつけません。

宅建業法施行規則16条の2の3、国交省の解釈・運用とQ&Aに基づき当事務所作成。

表の読み方:『該当』と『有・無』、不明の場合の扱い

この記事は中古の戸建て・マンション等の住宅売買を対象にしています。表の注記の『※』は、既存建物のうち住宅のみを対象にする項目の印です。土地だけの売買や店舗・事務所の売買に、住宅と同じ条件をそのまま当てはめないでください。

この表の欄何を記載するか
該当する・該当しない直前の文章に書かれた条件です。例えば、建物状況調査を実施したか、既存住宅の性能評価を受けたか、定期報告の対象かを確認します。書類を持っているかを答える欄ではありません。
保存の状況:有・無その行の書類が保存されているかを記載します。売主以外に管理組合等が保管している場合もあります。その場合は保管者を備考に記載します。
表の下の空欄・備考一部欠落、紛失、不明の理由、保管者、資料の日付、照会した相手と回答日などを補足します。『その他』の括弧は耐震関係の書類名を書く欄なので、一般的な備考とは違います。

この書式の『無』には、紛失、保存の有無が不明、書類が発行されていない場合も含まれます。したがって『無』だけでは理由が伝わりません。確認できた理由も備考に記載します。

確認結果この表での記載方法
条件に該当し、対象書類も保存されている上段は『該当する』、該当書類の下段は『有』。売主以外の保管なら、その名称を備考に記載します。
条件に該当するが、書類を紛失している上段は『該当する』、該当書類の下段は『無』。『実施済みだが報告書を紛失』など、確認できた理由を補足します。
条件に該当しないと確認できた上段は『該当しない』。対象にならない下段の有無は選択せず、必要なら対象外の理由を補足します。他の書式の斜線等の扱いとは区別します。
条件に該当するか自体が不明必要な照会を続けます。それでも不明なら、上段の選択を保留し、不明事項と確認経過を空欄・備考に記載します。分からないことを『該当しない』に置き換えません。

以下は、当事務所で作成した架空の記入例です。実際の書類名、日付、保管者、回答内容に合わせてください。書式発行者の記入基準がある場合はそれに従います。保存『有』とは書類があるという意味で、建物の安全性を証明するものではありません。

書類の保存状況は誰に聞く?

最初は売主へ、購入時・建築時・増改築時に受け取った資料を照会します。マンションの共用部分の資料は、管理組合・管理会社にも問い合わせます。管理会社の照会手続と売主の承諾の要否を確認し、対象棟・住戸を特定して依頼してください。

国交省Q&Aでは、売主と必要に応じ管理組合・管理会社に問い合わせることで調査義務を果たし、実物を見て確認する必要まではないとしています。ただし、書類名が曖昧、一部しかない、回答に矛盾がある場合は、追加照会や写しの照合をお勧めします。未照会のまま『無』にするという意味ではありません。

照会・保管者・不明や未交付の説明:国交省Q&A・6-2〜6-10国交省・解釈運用28頁全日・対象書式の案内

新築時と増改築時の4行は、どの書類を確認して記入する?

確認の申請書および添付図書並びに確認済証(新築時のもの)

この行は、建築確認を申請したときの申請書、設計図面等の添付図書、確認を受けたことを示す確認済証の保存状況です。確認済証1枚だけを尋ねている行ではありません。販売パンフレットの間取り図や完成後の竣工図を、確認申請の添付図書と同じものとして扱わないでください。

確認相手

戸建ては売主。マンションでは売主に加え管理組合・管理会社へ、建物一棟・対象棟の資料を照会します。

質問例

『新築時の確認申請書、その添付図面、確認済証は、それぞれ保存されていますか。確認済証だけでなく、申請書と図面もあるか教えてください。誰が保管していますか。』

回答・確認結果選択と備考の例
申請書・添付図書・確認済証が揃っている『有』。管理組合保管なら、『新築時の確認申請書・添付図書・確認済証は○○管理組合が保管。令和8年10月○日、管理会社○○に確認。』
確認済証だけあり、申請書・添付図書は紛失この行は複数の書類をまとめて尋ねているため、残っている書類名も記載します。記入例は『有(確認済証のみ)』とし、備考に『確認済証は売主保管。確認申請書・添付図書は紛失しており保存されていません。』と内訳を記載します。具体的な選択方法は使用書式の記入基準にも従います。
売主・管理組合等への照会後も保存の有無が不明この書式の注記に従い『無』とし、『売主および管理会社○○へ照会したが、確認申請関係書類の保存の有無は不明です。』と補足します。
新築時の1行目は確認申請書・添付図書・確認済証、2行目は検査済証の保存状況を尋ねている
出典:全日本不動産協会・上記書式第8項の新築時書類欄を抜粋。下の説明は当事務所作成です。

検査済証(新築時のもの)

工事完了後の完了検査に合格して交付される検査済証です。前の行の確認済証とは違います。戸建ては売主、マンションは管理組合・管理会社にも『新築時の検査済証は保存されていますか』と質問します。

回答・確認結果選択と備考の例
新築時の検査済証が売主又は管理組合にある『有』。『新築時の検査済証は○○管理組合が保管しています。』など、売主以外なら保管者を記載します。
検査済証は紛失、台帳記載事項証明書はある検査済証の保存は『無』。『検査済証は紛失。売主保管の令和8年○月○日発行の台帳記載事項証明書に、完了検査の記録があります。』証明書の内容を確認した例です。
検査済証の交付を受けていないと確認『無』に加え、『新築時の検査済証は交付を受けていない旨、売主に確認しています。』など、未交付と分かるように記載します。紛失とは区別し、受検状況や建物の適法性も必要に応じ別途調査します。

建築計画概要書や台帳記載事項証明書があることだけで、検査済証も保存されているとは書けません。書類の保存がないことと、完了検査を受けていないことも別です。

増改築等を行った建物である場合

この上段では増改築等の履歴を確認します。売主に工事の内容・時期・施工者・確認申請の有無を尋ねます。『リフォームした』という言葉だけでは工事内容が分からないため、設備交換や内装工事なのか、増築・改築や建築確認に関係する工事なのかを確かめます。

質問例

『新築後に床面積を増やしたり、建物を建て替えたり、大きな修繕・模様替えをしたことはありますか。工事の時期と内容、確認申請・検査の資料を教えてください。』マンションでは住戸内だけでなく、対象棟の工事履歴も管理会社に確認します。

確認結果上段と下段の記載
該当する増改築等があると確認上段は『該当する』。下の『確認申請関係書類(増改築時)』『検査済証(増改築時)』をそれぞれ確認します。
該当する増改築等がないと確認上段は『該当しない』。その下の増改築時の保存の有無は選択しません。
工事はあるが、この条件に該当するか不明上段は判断を保留し、工事内容と確認経過を備考に記載します。施工者・建築士等へ資料を照会し、必要に応じ行政にも確認します。増改築の申告がないだけで『該当しない』とはしません。

確認の申請書および添付図書並びに確認済証(増改築等のときのもの)

下の2行は、その増改築等についての書類です。新築時の資料があるからといって、ここも『有』にはなりません。工事が複数回ある場合は、工事ごとの時期と書類を照合します。増築の登記がされているだけで、建築確認・完了検査の資料まであるとは判断できません。

質問例

売主・管理会社へ『平成○年の増築に関する確認申請書、添付図書、確認済証は、それぞれ保存されていますか。新築時の資料とは分けて教えてください』と照会します。一部だけなら、保存されている書類と欠けた書類を備考に記載します。

確認結果記載例
増築時の確認申請関係書類と検査済証がある上段『該当する』、下段2行とも『有』。『平成○年○月の増築時の確認申請書・添付図書・確認済証・検査済証は売主が保管しています。』
増築時の確認申請関係書類はあるが、検査済証は紛失上段『該当する』、確認申請関係書類『有』、検査済証『無』。『増築時の確認申請関係書類は売主保管。増築時の検査済証は紛失。』
書類が作成されていない理由が不明有無だけで説明を終えず、工事内容・当時の確認申請の要否を確認します。『増築はあったが資料がない』ことから『申請不要だった』とは推測しません。

検査済証(増改築等のときのもの)

その増改築等の完了検査についての検査済証を確認します。売主・管理会社へ『増築工事の検査済証は保存されていますか。新築時の検査済証ではなく、今回確認している工事のものを教えてください』と質問します。

保存が確認できれば『有』、紛失なら『無』とし、工事の時期と紛失した書類を備考に記載します。未交付ならその旨を補足し、書類がないだけで完了検査も未実施だったとは断定しません。新築時の検査済証が有、増築時の検査済証が無、という記載もあります。

検査済証がない場合や工事の適法性調査は、検査済証がない建物・増改築がある建物でも説明しています。

新築時・増改築時・一部欠落・台帳の扱い:国交省・解釈運用28頁(1)国交省Q&A・6-1、6-8〜6-10

調査報告書・性能評価・定期報告・耐震書類の各欄の書き方

建物状況調査を実施した住宅である場合/建物状況調査報告書

ここは、法定の建物状況調査を実施した住宅か、実施した結果の報告書が保存されているかを尋ねています。前の第7項にある『結果の概要』とは別の欄です。大規模修繕の調査や設備の保守点検の資料を、そのまま建物状況調査報告書として扱わないでください。

確認相手と質問例

売主と、マンションでは管理組合・管理会社へ『法定の建物状況調査を受けたことはありますか。いつ、誰に依頼し、対象範囲はどこでしたか。調査報告書は誰が保存していますか』と照会します。名称が曖昧なら、依頼先や報告書の表紙を確認します。

確認結果選択と備考の例
実施済みで、報告書も保管上段『該当する』、下段『有』。『令和○年○月実施の建物状況調査報告書は売主が保管しています。』
実施済みだが、報告書は紛失上段『該当する』、下段『無』。『建物状況調査は実施済みですが、報告書は紛失しています。』実施したことまで『無』にしません。必要な結果資料は調査者にも照会します。
実施していないと確認上段『該当しない』。下段の報告書保存の有無は選択しません。実施が不明なら、実施していないと断定せず、不明事項を備考に記載します。

前の『結果の概要』欄には原則1年、一部のRC・SRC造共同住宅等は2年という対象期間がありますが、この書類保存の欄に同じ年数制限はありません。古い報告書しかなくても、保存されていることを説明します。『前の欄は期間外だから、この欄も該当しない』とはしません。

既存住宅性能評価(建設)を受けた住宅である場合/既存住宅性能評価書

既存住宅について現況検査等を受け、登録住宅性能評価機関から交付された建設住宅性能評価書です。書式には『現況検査・評価書』と記載されています。新築時の設計住宅性能評価書や新築時の建設住宅性能評価書があるだけで、この条件に該当するとは判断できません。

確認相手と質問例

売主・管理会社へ『新築時の評価ではなく、中古住宅になってから既存住宅の建設住宅性能評価を受けていますか。現況検査・評価書の発行機関、日付、保管者を教えてください』と尋ねます。必要に応じ、売主を通じて発行機関にも確認します。

確認結果選択と備考の例
既存住宅として評価済みで、評価書も保存上段『該当する』、下段『有』。『○○機関が令和○年○月○日に交付した既存住宅の現況検査・評価書を売主が保管しています。』
評価を受けたことは確認できたが、評価書は紛失上段『該当する』、下段『無』。評価済みであることと、評価書を紛失したことを備考に記載します。
新築時の評価書しかなく、既存住宅としての評価は未実施上段『該当しない』。『新築時の住宅性能評価書は保管されていますが、既存住宅の建設住宅性能評価は受けていない旨を確認しています。』など、資料の違いが分かるように補足します。

この行で『有』になることと、その建物が新耐震基準等に適合することは別です。例えば耐震等級0の評価書も、この行では保存『有』になり得ますが、表の一番下の『新耐震基準等に適合する書類』としては扱えません。

建物状況調査と性能評価書の保存:国交省・解釈運用29頁(2)(3)(5)施行規則16条の2の3第3・4・6号

建築基準法第12条の規定による定期調査報告の対象である住宅の場合

ここで尋ねているのは、建物や設備が法定の定期報告の対象かどうかです。エレベーターがあるかだけを尋ねる欄ではありません。建物自体は対象外でも昇降機等だけが対象になる場合があり、逆に建物・建築設備・防火設備も対象になる場合があります。

管理会社への質問例

『この棟は、建物・昇降機等・建築設備・防火設備のそれぞれについて、建築基準法12条の定期報告対象ですか。直近の報告書の保存状況、報告日、保管者を種類ごとに教えてください。対象外のものは、その理由もお願いします。』対象条件が不明なら、建物の階数・各階用途・面積等を整理し、後述の所管行政庁へ確認します。

対象に該当するなら上段は『該当する』、下の4行は報告書ごとの保存状況です。建物自体が対象外で昇降機等のみ対象なら、その内訳を備考に記載します。対象条件自体が不明なら、上段の選択を保留し、不明事項と照会経過を明記します。

上段は定期報告対象か、下段の4行は特定建築物・昇降機等・建築設備・防火設備の各報告書の保存状況を記載する欄
出典:全日本不動産協会・上記書式第8項の定期報告書欄を抜粋。4種類をそれぞれ照会し、直近の報告書の保存状況を記載します。

① 定期調査報告書(特定建築物)

建物の敷地・構造・外壁・避難施設などについて、建築基準法12条に基づいて調査し報告した書類です。建物状況調査報告書や、大規模修繕工事の調査報告書とは別です。

確認相手・質問例

管理組合・管理会社へ『この棟は特定建築物の定期調査報告の対象ですか。直近の定期調査報告書は保存されていますか。報告日と保管者を教えてください』と照会します。

選択

対象で直近の報告書が保存されていれば①は『有』。紛失なら『無』とし、紛失と補足します。対象外ならその旨を備考に記載し、未実施・紛失と区別します。

備考の例

『特定建築物定期調査は対象。令和○年○月○日報告の書類は○○管理組合が保管しています。』

② 定期検査報告書(昇降機等)

エレベーター等の法定の定期検査報告書です。月々の保守点検やメンテナンスの作業報告書があるだけで、②も保存『有』とは判断できません。複数のエレベーターがある場合は、対象機器の番号と資料を照合します。

確認相手・質問例

管理会社へ『法定の昇降機等定期検査の、各号機の直近報告書は保存されていますか。月次の保守報告ではなく、行政への定期報告分について教えてください』と尋ねます。必要なら管理会社を通じて保守・検査会社へ照会します。

選択

対象となる昇降機等の報告書が保存されていれば②は『有』。検査を受けたが報告書を紛失したなら『無』です。エレベーターがない場合や報告対象外の機器は、その理由を補記します。

備考の例

『昇降機等定期検査報告書(1号機・2号機、令和○年○月○日報告)は○○管理組合が保管しています。』一部の号機の資料が不明なら、その号機も明記します。

③ 定期検査報告書(建築設備)

対象となる換気設備・排煙設備・非常用照明等についての法定検査の報告書です。住戸内の給湯器やエアコンの点検資料を記載する行ではありません。共同住宅の住戸内設備と共用部分の設備、自治体の指定条件を区別します。

確認相手・質問例

管理会社へ『建築設備の定期検査対象となる設備は何ですか。設備の種類と、直近の建築設備定期検査報告書の保存状況・保管者を教えてください』と照会します。対象が不明なら設備検査者や所管行政庁にも確認します。

選択

対象設備があり、その法定報告書が保存されていれば③は『有』。貯水槽清掃や排水管清掃の記録しかない場合、それだけで『有』にはしません。

備考の例

『対象設備は非常用照明・機械排煙設備。令和○年○月○日報告の建築設備定期検査報告書は○○管理組合が保管しています。』設備の内訳を確認できた架空例です。

④ 定期検査報告書(防火設備)

対象となる、随時閉鎖・作動する防火扉や防火シャッター等の法定検査の報告書です。消防法の消防設備点検とは別です。消火器や自動火災報知設備の点検記録があっても、それだけで④を『有』にはできません。

確認相手・質問例

管理会社へ『防火設備の定期検査対象となる扉・シャッター等はありますか。直近の防火設備定期検査報告書は保存されていますか。消防設備点検とは別に教えてください』と照会します。

選択

対象設備があり、その報告書が保存されていれば④は『有』。対象外なら理由を、対象だが紛失していれば紛失を、照会後も不明なら不明を補足します。

備考の例

『防火シャッター等は防火設備定期検査の対象。令和○年○月○日報告の報告書は○○管理組合が保管しています。』

令和7年7月の変更後の埼玉県の案内でも、常時閉鎖式防火扉は特定建築物の定期調査で確認し、防火設備の定期検査対象とはしません。一方、排煙機を有しない可動防煙壁も建築設備の定期検査対象に追加されています。防火扉があるから④、排煙機がないから③は対象外、と外観だけで決めないでください。

対象だが初回の報告時期前なら、対象外とは書かず、『初回報告は令和○年○月予定。調査日時点では報告書未作成。』などと補足します。対象なのに未報告の疑いがある場合は、管理者・所管行政庁へ提出状況を確認します。書類紛失と未報告を同じ意味で説明しません。

4種類の報告書・直近報告・設備の区別:国交省・解釈運用29頁(4)埼玉県・定期報告制度と令和7年改正埼玉県Q&A・消防法の点検との違い東京都・対象と初回報告時期

昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手した建物である場合

表の一番下は、新耐震基準等への適合を確認できる書類です。最初に、この建物が上段の建築時期の条件に該当するかを調べます。古そうだから、建築年月が昭和56年だから、というだけでは選べません。

確認相手と資料

売主・管理組合等に確認済証・検査済証を照会し、確認済証交付年月日を確認します。国交省の解釈・運用に従い、この日付を基に、表にある建築時期の条件に該当するかを判断します。

確認済証・検査済証がないとき

国交省の代替的な判断方法では建物の表題登記を使い、住宅(区分所有建物を除く)は表題登記日が昭和56年12月31日以前、区分所有建物等は昭和58年5月31日以前のものを説明対象とします。家屋課税台帳に建築年月日がある場合も同様の扱いです。単に登記の『新築年月日』だけを読み替えず、使った資料と判断方法を残します。

上段の選択

該当すると判断した建物は『該当する』とし、下の耐震書類を確認します。該当しないと判断できれば『該当しない』。資料不足で判断できないなら、選択を保留して不明事項と照会経過を補足します。

耐震基準適合証明書

新耐震基準等への適合を確認するための証明書です。建物状況調査の報告書や、耐震補強工事の請求書があるだけで、この証明書もあるとは判断できません。売主・管理組合等へ『対象建物の耐震基準適合証明書は保存されていますか。発行者、発行日、保管者を教えてください』と照会します。

確認結果選択と備考の例
対象建物についての証明書を保管この行は『有』。『令和○年○月○日発行の耐震基準適合証明書は売主が保管しています。』
証明書の発行を受けていない、又は紛失この行は『無』とし、未発行・紛失のどちらか確認できた理由を記載します。この『無』だけで、耐震性がない建物と断定しません。

その他(書類名)

ここは、耐震基準適合証明書以外に、新耐震基準等への適合を確認できる書類の名称を書く欄です。管理規約、修繕履歴、消防設備点検記録などを何でも記入する『その他』ではありません。

確認する書類の例この欄で確認する内容
耐震診断結果報告書新耐震基準等への適合を確認できる内容かを確認します。建築士によるものは登録番号・記名等も確認し、診断しただけで不適合の報告書を適合資料として扱いません。
既存住宅の建設住宅性能評価書耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)で等級1・2・3の評価を受けたものを確認します。等級0の評価書は、上の性能評価書の保存欄では有になり得ても、ここでは適合を確認できる書類になりません。
既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書対象住宅について交付された付保証明書か、国交省の解釈・運用に照らして確認します。単なる保険の案内や見積書ではありません。
備考の例

『その他』の括弧に『耐震診断結果報告書』と記載し、適合を確認できる当該報告書が保存されていれば『有』。備考に『○○建築士作成、令和○年○月○日付。○○管理組合保管。新耐震基準等への適合を確認した資料として説明します。』と記載します。氏名・日付等は架空です。実際の記入には、報告書の保存と適合内容の確認が必要です。

適合していない診断結果や是正未了など、取引判断に重大な影響を与える事実を把握している場合は、保存の有無の選択だけで説明を終えません。診断内容が不明なら作成した建築士等へ照会し、担当者の推測で適合と記載しないでください。

耐震欄の対象時期・書類名・評価等級:国交省・解釈運用29〜30頁(5)施行規則16条の2の3第6号宅建業法47条

埼玉県・東京23区で、定期報告の対象や記録はどこに聞く?

書類の保管先はまず売主・管理組合等へ、定期報告の対象と行政に提出された記録は所管行政庁へ問い合わせます。役所に報告概要書があることと、管理組合が報告書を保管していることは別です。

さいたま市の定期報告は、建築行政課へ

さいたま市の窓口は建築行政課(048-829-1534)です。市の対象一覧では、サービス付き高齢者向け住宅を除く共同住宅は『6階以上の階にあるもの』が建物の定期調査の対象で、報告間隔は3年です。売買する部屋が2階でも、建物全体で対象となるかを調べます。

例えば、6階以上に住宅があるマンションで『住戸は低層階だから昇降機だけ』とは判断できません。建築設備や防火設備の対象条件も市の一覧で確認します。5階建て以下でも、店舗等との複合用途や高齢者向け住宅などは条件が違うため、一般の共同住宅と同じ扱いにはできません。

さいたま市の窓口・対象表:さいたま市・定期報告制度対象建築物・設備と報告の間隔

埼玉県内では、市の担当課と県の建築安全センター等に分かれます

川口市・川越市など、特定行政庁である市は各市の担当課が窓口です。県が所管する地域では、特定建築物・建築設備・防火設備は管轄の建築安全センター、昇降機等は原則として県建築安全課建築指導担当(048-830-5511)に分かれます。限定特定行政庁の一部建物にある昇降機等は例外があるため、県の所管表で確かめます。

県所管の定期報告概要書の閲覧も、建築物・設備は各建築安全センター、昇降機等は県建築安全課というように分かれています。報告書の提出受付をする団体と、対象判定・概要書閲覧の担当窓口を取り違えないでください。

県内の所管・閲覧窓口:埼玉県・定期報告制度の所管表と概要書閲覧

東京23区は、敷地内の建物規模によって都と区に分かれます

東京都の定期報告の案内では、23区内で敷地内に延べ面積1万㎡を超える建築物がある場合は東京都、それ以外は各区が所管します。タワーマンションか戸建てかという呼び名や、売買住戸の専有面積では決まりません。複数棟の敷地では、ほかの棟に1万㎡を超える建物がないかも確認し、所管が不明なら都・区の定期報告担当へ問い合わせます。

都所管の場合、特定建築物・防火設備は都市整備局市街地建築部建築企画課の建築安全担当(03-5388-3344)、建築設備・昇降機等は同課の設備担当(03-5388-3349)が問い合わせ先です。区所管の場合は、都の案内にある所管特定行政庁連絡先一覧から、物件所在地の区へ問い合わせます。

都に報告された定期調査・検査の概要書は、電子閲覧システムでオンライン閲覧できる制度があります。無料ですが事前のアカウント登録が必要で、一部非開示情報や反映までの時間差があります。23区すべての報告をまとめて検索できる制度ではありません。区に報告された記録は区の窓口・閲覧方法を確認します。

東京都の一般共同住宅の対象表にも、用途と面積・階の条件があります。表の『F≧5階』は、単なる5階建て以上という意味ではなく、5階以上の階でその用途に供する部分の床面積合計が100㎡を超える条件です。さらに『A>1,000㎡』等の条件を読む必要があります。さいたま市の6階という基準を東京の物件へ流用しないでください。

東京都の所管・対象表・電子閲覧:東京都・対象と所管窓口東京都・用途コード40と注意1・2定期調査・検査報告概要書の電子閲覧

窓口での質問例

所在地○○、建物名○○、地上○階・地下○階、延べ面積○㎡の建物です。各階の用途と面積は添付資料のとおりです。売買の重要事項説明書作成のため、特定建築物・昇降機等・建築設備・防火設備のそれぞれについて、定期報告の対象か、初回・次回の報告時期、行政に提出された直近の報告概要書の閲覧先を教えてください。敷地内には別棟もあります。どの建物を含めて所管と対象を判断するかも確認したいです。

行政の記録を探す際は、建築計画概要書や台帳記載事項証明書も、建物の特定や確認・検査の履歴を調べる資料になります。ただし、それだけでは管理組合等が保存している書類一式の有無は分かりません。

書類が不足していると、改修や融資の際に追加調査が必要になることがあります

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

エレベーターの報告書があるなら、ほかの報告書はどうかも管理会社に聞いておきたいですね。

  • 一部欠落を、一式保存と説明しない確認済証だけ残り、申請図面がない場合などです。買主がリフォームや増築を検討するときに必要資料が足りず、追加調査や図面作成が必要になることがあります。足りない書類を具体的に伝えます。
  • 保存の有無だけで、建物の安全性を説明しない保存『有』でも、報告書に要是正の指摘がある可能性があります。把握した重大な不具合・未是正事項は内容を確認し、必要な説明をします。是正済みか不明なら、修繕記録や管理会社の回答を確認します。
  • 報告書がない理由を確認する紛失なら保管先や写しの有無を、不明なら照会先を確認します。初回報告前なら初回の時期を、対象外ならその理由を調べます。対象なのに未報告の疑いがある場合は、管理者・所管行政庁に確認し、『保存無』だけで説明を終えないでください。
  • 書類を買主が使えるかも確認する管理組合保管の原本を、売主が自由に買主へ渡せるわけではありません。閲覧できる場所、写しの申込み、費用や所要日数、引渡し時に渡す資料を確認します。融資や保険に必要な資料は金融機関・保険法人の条件も調べます。

保存する調査記録は、売主・管理会社への照会と回答、確認した書類の名称・対象棟・日付、保管者、欠落や不明の理由、必要な行政照会の回答です。写しを入手した場合は、重説の選択と内容が矛盾していないかも照合します。

書類の概要説明・重大な事実の扱い:国交省・解釈運用28頁宅建業法47条

埼玉県全域・東京都23区の売買物件

建物資料の確認から、重要事項説明書の作成まで対応します

  • 売主・管理会社の回答と行政資料を確認し、保存状況や不足資料を整理します
  • 現地・役所・法務局等の物件調査から、重要事項説明書ドラフト作成まで

建物・設備の定期調査や定期検査、耐震診断を実施するサービスではありません。技術的な判定や是正方法は建築士・検査者等に確認します。

資料の種類や保管先が分からず、重説の記載でお困りならご相談ください。

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼する標準的な1物件88,000円(税込)/公的資料取得実費別
戸建てにも、維持保全書類の保存状況の説明は必要ですか?

中古住宅の売買では、戸建ても対象です。ただし、マンションと同じ点検設備があるとは限りません。新築時・増改築時の確認関係書類などを売主に照会し、定期報告等は各対象条件を確認します。住宅内だけを昇降するホームエレベーターは、通常の共用エレベーターと報告対象の扱いが異なります。

古い建物状況調査の報告書も、保存状況を説明しますか?

説明します。前の『建物状況調査の結果の概要』欄は原則1年、一部のRC・SRC造共同住宅等は2年を経過していない調査が対象ですが、この書類保存の欄に同じ年数制限はありません。結果の概要の扱いは建物状況調査の記事を参照してください。

PDFで保管されていれば、保存『有』ですか?

対象書類に係る電磁的記録の保存も含みます。何の書類を、誰が、どの建物について保管しているかを確認します。管理会社のシステムにある場合は、買主が閲覧できる手続や引継ぎ方法も質問します。

確認済証や検査済証がない場合、建築計画概要書があれば代わりになりますか?

概要書があるだけで確認済証・検査済証の保存『有』にはできません。原本の保存状況と、別に確認できた行政資料を分けて説明します。資料の違いと取得方法は建築確認・中間検査・完了検査で説明しています。

保存『有』とした書類は、すべて買主に渡す義務がありますか?

この保存状況説明の制度だけから、すべての原本を一律に交付する義務が生じるものではありません。国交省Q&Aは、リフォーム等に役立つため買主に渡すことが望ましいとしています。売買契約での約束と、管理組合保管資料の閲覧・写しの提供条件も確認します。

2026年10月15日に公式資料を確認しました。表全体の画像は、全日本不動産協会2026年1月版・区分所有建物(敷地権)用書式のWord表示です。拡大図は同書式の必要な部分の抜粋と当事務所による解説です。オンライン入力画面ではありません。記入例はすべて架空で、実際の書式・資料・回答に合わせて使用してください。個別の対象判定と耐震性の判断は、所管行政庁・建築士等への確認が必要です。