重要事項説明書 建築物の調査|50

建築確認・中間検査・完了検査はどう調べる?概要書・台帳記載事項証明との違い

建築計画概要書を取れば、確認・検査の調査は終わりですか?

確認済証や検査済証が見つからない中古住宅を調べています。建築計画概要書、処分等の概要書、建築台帳記載事項証明書という資料がありますが、何が違うのでしょうか。戸建てと分譲マンションでは、資料を保管する役所も違うのでしょうか。

建築確認・中間検査・完了検査は、それぞれ意味が違います

建築確認で工事前の計画を審査し、対象となる建物には工事途中の中間検査が行われます。工事が完了した後に行われるのが完了検査です。重説調査では、確認済証・中間検査合格証・検査済証の有無、番号、年月日、交付機関を一つずつ調べます。

建築計画概要書には、建築主・用途・構造・面積・配置図など、建築計画の概要が記載されています。建築台帳記載事項証明書は、確認済証や検査済証の番号・年月日など、行政台帳に残る内容を証明する書類です。いずれも確認済証や検査済証の再発行ではありません。また、現在の建物が申請時の図面どおりであるかは、現地と図面を照らし合わせて判断します。

確認済証・検査済証の重説の書き方の診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

中古建物の確認済証・検査済証を調べる
確認1建築台帳記載事項証明書や概要書で、交付の記録があったのはどれですか?
  • 確認2概要書の階数・面積・配置は、現況や登記と合っていますか?
    • 確認3中間検査合格証の記録はありますか?
      • 結論確認・中間検査・完了検査の記録を記載
      • 結論中間検査は対象外と記載
      • 結論中間検査の対象だったかを窓口に確認
    • 結論現況と合わない部分を記載
  • 結論検査済証の交付記録なしと記載
  • 結論建築の時期と規模を調べ直す
  1. 確認1建築台帳記載事項証明書や概要書で、交付の記録があったのはどれですか?
    結論検査済証の交付記録なしと記載
    結論建築の時期と規模を調べ直す
  2. 確認2概要書の階数・面積・配置は、現況や登記と合っていますか?
    結論現況と合わない部分を記載
  3. 確認3中間検査合格証の記録はありますか?
    結論確認・中間検査・完了検査の記録を記載
    結論中間検査は対象外と記載
    結論中間検査の対象だったかを窓口に確認
  • 確認・中間検査・完了検査の記録を記載

    確認済証、中間検査合格証、検査済証の番号と年月日を書きます。番号と年月日は、売主の保管資料、建築計画概要書、台帳の記録で照らし合わせておきます。

  • 中間検査は対象外と記載

    確認済証と検査済証の番号と年月日を書きます。中間検査は、建築当時は対象外だったと建築担当窓口に確認したことを書きます。

  • 中間検査の対象だったかを窓口に確認

    建築当時に中間検査の対象外だったと分かれば、そのことを重説に書きます。対象だったのに記録が残っていないときは、中間検査の記録を確認できなかったと書きます。

  • 現況と合わない部分を記載

    増改築や計画変更の資料があるかを売主に確認し、建築士に相談します。資料を確認できないときは、重説に、概要書と現況が合わない部分があることと、その部分の適法性は確認できていないことを書きます。

  • 検査済証の交付記録なしと記載

    確認済証の交付記録は確認できたが、検査済証の交付記録は確認できなかったと書きます。このあとの調べ方は、検査済証がない建物・増築がある戸建ての調べ方で説明しています。

  • 建築の時期と規模を調べ直す

    売主の資料、登記、固定資産税の資料、現況から、建築の時期と規模を調べます。指定確認検査機関が扱った建物なら、その機関にも問い合わせます。重説には、確認できた範囲と確認できなかった範囲を書きます。

売主が確認済証や検査済証を紛失していても、台帳に交付の記録が残っていることがあります。

台帳と概要書で確認できた記録ごとに、重説に書くことの判断です。建築基準法6条・7条・7条の3・93条の2と国土交通省「建築工事と手続の流れ」に基づき当事務所作成。

証書と行政資料は役割が違います

資料・手続分かること分からないこと・注意点
確認済証申請された建築計画について、建築基準関係規定への適合が認められたことと、番号・年月日・交付機関が分かります。完成した建物が計画どおりか、後の増改築が適法かまでは分かりません。紛失しても原則として再発行されません。
中間検査合格証対象となる特定工程について、工事途中の検査に合格したことが分かります。すべての建物が中間検査の対象になるわけではありません。完成時の適合や、その後の変更までは示しません。
検査済証工事完了時に、建築物と敷地が建築基準関係規定に適合すると検査されたことが分かります。交付後の増築・改築・用途変更や現在の状態まで保証するものではありません。
建築計画概要書建築主、場所、用途、構造、階数、高さ、面積、確認・検査の記録、付近見取図・配置図等が記載されています。平面図などの詳細図面は通常含まれません。原本証書ではありません。現在の建物との一致は現地と図面で調べます。電子閲覧では図面や個人情報の一部が除かれる場合があります。
処分等の概要書確認・中間検査・完了検査など、建築主事や指定確認検査機関が行った処分等の概要が記載されています。自治体・年代によって取得対象と取得方法が異なります。確認申請図書一式を取得できる書類ではありません。
建築台帳記載事項証明書確認済証・検査済証等の番号や年月日など、行政台帳に残る内容を行政が証明します。確認済証・検査済証の再発行ではありません。古い建物では台帳が現存しない場合や、検査記録がない場合もあります。
  • 窓口へ持参する建物情報現在の住居表示だけでなく、建築当時の地名地番、建築主名、建築年月、用途、構造、階数、延べ面積、確認番号を用意します。区分マンションでは専有部分の部屋番号に加えて、一棟全体の名称・所在地・規模も必要です。
  • 確認を行った機関を特定する行政庁が直接扱った場合と、指定確認検査機関が扱った場合があります。指定確認検査機関による処分も行政庁へ報告されますが、図書の保存先や残存状況は個別に問い合わせます。
  • 確認後の変更を調べる計画変更確認、増改築、用途変更、別棟、減築、住戸内や共用部の工事を調べます。当初の確認番号だけでは、その後の工事まで把握できないことがあります。
建築計画概要書は、現時点では廃止されていません

2026年9月27日現在、建築計画概要書は確認申請時の提出書類です。概要書等を閲覧できる制度も続いているため、中古物件の調査では所管窓口や電子閲覧システムを利用します。

国土交通省は、別紙の概要書を廃止し、台帳から必要事項を表示・提供する方式を2028年4月から実施する目標を示しています。詳細は検討中であり、まだ施行された制度ではありません。

2010年に確認申請への添付が不要となった『構造計算概要書』は、構造計算に関する別の書類です。建築物の概要や配置を公開する建築計画概要書とは異なります。

制度改正の確認資料:e-Gov法令検索|現行の建築基準法施行規則国土交通省|建築手続DXの制度改正(2028年4月施行目標)国土交通省|構造計算概要書の添付廃止に関する質疑

証書の記載内容と現在の建物が一致するかを調べます

  • 売主・管理会社に保管資料を尋ねる

    確認済証、検査済証、中間検査合格証、確認申請書副本、計画変更図書、竣工図、増改築資料が残っていないか尋ねます。分譲マンションでは、管理組合・管理会社が一棟の竣工図書等を保管していることがあります。

  • 窓口で建物を特定できる情報をそろえる

    建物登記の新築日・構造・床面積、旧地名地番、家屋番号、建物名称を控えます。確認年月日、新築日、登記日はそれぞれ異なるため、混同しないようにします。

  • 所管行政庁を特定する

    建物の所在地だけでなく、建築当時の年代・規模・行政所管を確認します。現在の窓口が過去のすべての記録を保管しているとは限りません。

  • 概要書・処分等概要書・台帳証明を取得する

    概要書では計画内容と配置を調べます。処分等概要書や台帳では、確認・検査の番号と年月日を調べます。行政台帳の内容を証明書として保存したい場合は、台帳記載事項証明書を申請します。

  • 各証書の番号と年月日を確かめる

    当初の確認と計画変更確認について、番号・年月日・交付機関を確かめます。中間検査合格証と検査済証も同様に調べます。中間検査の記載がないときは、当時の制度上対象外だったのか、記録を取得できないのかを区別します。

  • 現況と申請時資料を照合する

    用途、階数、構造、面積、配置、敷地範囲、増築部分を現地・登記・図面で照合します。不一致があれば、資料の誤差と決めつけず、計画変更・増改築・用途変更の履歴を確認します。

  • 重説には判明した事実を具体的に書く

    証書の有無と行政台帳の内容を記載し、現況との不一致や、資料を取得できなかった理由も明らかにします。検査済証がない場合は、建築士による現況調査や法適合状況調査が必要かを検討します。

窓口での質問例

『建築当時の地名地番○○、現在の所在地○○、建築主○○、用途○○、地上○階、延べ面積約○㎡の建物です。確認・計画変更確認・中間検査・完了検査の各記録と番号・年月日・交付機関を確認したいです。建築計画概要書、処分等の概要書、台帳記載事項証明書のうち何を取得できますか。配置図を含む原本はどこで閲覧できますか。指定確認検査機関が扱った記録や、増改築・用途変更の後続記録もありますか』と、登記・案内図・旧地名地番・分かる範囲の確認番号を示します。

物件の規模と種類によって相談窓口が変わります

物件最初の確認先調査上の注意
戸建てまず売主の保管資料を見せてもらい、所在地の区市町村または県の建築担当窓口へ問い合わせます。小規模建築物の事務が市町村へ移されている地域があります。旧地名地番のほか、増築、車庫・物置の有無も調べます。
一般的な分譲マンション売主と管理組合・管理会社に保管資料を尋ね、一棟を所管する行政窓口へ問い合わせます。建築計画概要書は原則として一棟単位です。住戸内の改修履歴と、一棟全体の確認・検査の記録は区別して調べます。
東京23区の大規模・タワーマンション建築当時の規模と年度を基に、東京都と所在区のどちらが所管するかを調べます。原則として延べ面積が1万㎡を超える建物は、東京都が相談窓口です。都は、平成11年度については5,000㎡超かつ昇降機付きの建物を保管対象として案内しています。指定確認検査機関が扱った建物も、都が保管する記録の対象かを問い合わせます。
複数棟・一団地各棟の記録に加え、全体の認定や敷地関係を扱う窓口にも問い合わせます。棟ごとの確認番号、共用施設、増築、別棟の有無を調べます。一つの証明書だけでは全体を判断できません。

建築計画概要書の保管場所は、建物の規模、建築時期、所在地を基に判断します。東京23区では規模と年代を調べ、埼玉県では特定行政庁・限定特定行政庁・県建築安全センターの事務分担を調べます。

東京23区と埼玉県の具体的な調査先

東京23区・1万㎡以下の建物

原則として所在地の区の建築担当窓口へ問い合わせます。区ごとに概要書閲覧、写し、台帳記載事項証明の名称・料金・オンライン対応が異なります。杉並区は区の受付台帳で確認できる物件について建築確認台帳記載事項証明書を発行し、電話等では個別物件の内容に回答しないと案内しています。

東京23区・1万㎡超の建物

東京都都市整備局市街地建築部が相談窓口です。都の案内では平成12年度以降は延べ面積1万㎡超、平成11年度は延べ面積5,000㎡超で昇降機付きの建物を都の台帳対象としています。平成10年度以前の概要書については、保存年限が経過したため保管していないと案内されています。

東京都の電子閲覧と都庁原本

電子閲覧では概要書本文を無料でダウンロードできますが、付近見取図・配置図等は除かれます。これらの図面は都庁窓口で原本を閲覧し、メモ等へ書き写すことはできますが、コピー・写真撮影はできません。大規模マンションの配置図を調べる場合は、都庁で原本を閲覧します。

さいたま市

市内全域の概要書等は、北部・南部建築指導課に設置された窓口自動交付機で確認します。市の案内では2026年3月16日から北部・南部のどちらでも市内全域を扱います。平成11年5月1日以降の確認処分は処分等の概要書、以前の一部は台帳記載事項証明書という分け方にも注意します。

さいたま市以外の埼玉県

市がすべてを所管する地域、県建築安全センターが所管する地域、小規模建築物だけ市町村が扱う地域があります。県の窓口一覧で建物規模まで照合し、川越・熊谷・越谷の各建築安全センターまたは市町村建築担当課へ確認します。

地域別の公式窓口:東京都|建築計画概要書の閲覧制度東京都|電子閲覧システム東京都|23区内の所管埼玉県|概要書・台帳証明の窓口さいたま市|概要書等の交付

検査済証が見つからないことと、違反建築であることは同じではありません

売主が検査済証を紛失していても、台帳に検査済証の交付記録が残ることがあります。一方、概要書に確認記録があっても、完了検査の記録がないこともあります。資料不足だけで違反と断定せず、確認できた事実を正確に説明します。

検査済証の交付記録がない場合や、申請図と現況が一致しない場合は、建築士へ相談します。増改築の履歴や行政台帳が十分に残っていない建物では、現況調査や国のガイドラインを利用した法適合状況調査が必要になることもあります。具体的な照合方法は、検査済証がない建物・増築がある戸建ての記事で説明しています。未確認のまま『問題なし』とは書きません。

確認結果独自の記載例
三つの証書の交付記録がある『確認済証は○年○月○日付第○号、中間検査合格証は○年○月○日付第○号、検査済証は○年○月○日付第○号です。各番号と年月日は、売主保管資料、建築計画概要書および行政台帳で照合しています。』
中間検査は対象外『確認済証および検査済証の交付記録を確認しました。本建物について、確認当時の制度・工程上、中間検査の対象外である旨を所管窓口に確認しています。』
検査済証の交付記録なし『確認済証の交付記録は確認できましたが、検査済証の交付記録は確認できませんでした。現況建物の法適合性を示すものではないため、増改築等の計画時には建築士および所管行政庁へ確認が必要です。』
資料と現況が不一致『概要書上は地上○階・延べ面積○㎡ですが、現況および登記と一致しない部分があります。増改築・計画変更の確認資料は未確認であり、当該部分の適法性は確認できていません。』
埼玉県・東京都23区の売買物件

建築記録と現況を照合して重要事項説明書を作成します

  • 確認済証・検査済証・概要書・台帳記録の収集と整理
  • 建築当時の地名地番、確認・検査番号、所管の調査
  • 登記・行政資料・現況の不一致と未確認事項の整理
  • 調査結果を反映した重要事項説明書ドラフトの作成

標準料金は1物件88,000円(税込)で、公的資料の取得実費は別途ご負担いただきます。物件規模・資料量・調査先によっては個別にお見積りします。

建築記録の所在や現況との不一致まで含めて整理したい方へ

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼する埼玉県全域・東京都23区/売買物件

建築確認・検査についてよくある質問

確認済証があれば、検査済証も必ずありますか?

いいえ。建築確認と完了検査は別手続です。確認済証の記録だけで検査済証の交付を推定せず、完了検査の記録を別に確認します。

中間検査の記録がなければ問題ですか?

建築当時、その建物と工事が中間検査の対象だったかを先に確認します。対象外と、対象だが記録を確認できない場合を分けて説明します。

台帳記載事項証明書は検査済証の代わりになりますか?

検査済証の交付年月日・番号が台帳に記録されていることを証明する資料として使えますが、検査済証そのものの再発行ではありません。提出先が何を求めるかも確認してください。

区分マンションは自分の部屋だけ調べればよいですか?

建築確認・完了検査は原則として一棟の建築物を単位に調べます。専有部分の改修履歴と、一棟全体の確認・検査記録を分けて確認します。

概要書がない古い建物はどうしますか?

売主資料、登記、固定資産資料、旧台帳、指定確認検査機関、現況を調べます。資料が残らないことだけで適法・違反を断定せず、確認できない範囲を重説へ明示します。

この記事は2026年9月27日時点の法令・国土交通省・東京都・埼玉県・さいたま市・杉並区の公式案内を確認して作成しています。保存状況、所管、取得方法は建築時期・規模・所在地等で変わります。記載例は架空例であり、既存建物の適法性は概要書や証明書だけで確定せず、現況・確認図書・増改築履歴を建築士および所管へ確認してください。