重要事項説明書 取引条件|80

ローン特約による解除|融資のあっせんと審査前の重説記載【簡単診断】

本審査前の重説には、融資の予定を書けばよい?

住宅ローンを使う売買では、融資の本承認前に重要事項説明や契約を行うことがあります。重説の『金銭の貸借のあっせん』は何を指し、銀行名や金利は予定でよいのでしょうか。買主が自分で申し込む場合は、重説に何を書くのでしょうか。

合意した融資予定を具体的に書き、本承認前と分かるようにする

本審査前なら、売主・買主が合意した申込予定先・借入額・借入条件を具体的に記載し、現在の審査状況も示します。予定を記載することと、融資が確定したと説明することは別です。銀行の資料と買主の資金計画で申込条件を確認します。本審査の回答がまだなら『本承認前』、金利が未確定なら『概算』と明記します。

その際、あっせんの有無と、ローン特約の有無を分けて確認します。融資のあっせんは、不動産会社が銀行を紹介したり、申込みや条件確認の調整をしたりすることです。銀行が融資を承認した、という意味ではありません。

ローン特約は、合意した融資を受けられない場合に、売買契約を解除する条件等を定めるものです。住宅ローンを使う売買では、借りられなかった場合の扱いを、契約前に決めておきます。ただし、ローンを使うというだけで、自動的に特約が付くわけではありません。

解除の種類の比較は契約解除の全体像、手付の放棄・倍返しによる解除は手付解除の記事で説明しています。

あっせん・解除条件の根拠:不動産売買の手引・8頁、67頁宅建業法35条1項8号・12号

ローン特約と融資条件の簡単診断

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重説に書く融資条件を確認する
確認1ローン特約の対象融資は決まっている?
  • 確認2その銀行を仲介会社が紹介・調整する?
    • 確認3対象融資の本審査の回答は?
      • 結論予定条件と審査状況を記載
      • 結論承認条件と期限を再確認
      • 結論審査回答と解除条項を照合
    • 結論自己申込の条件と特約を記載
    • 結論銀行紹介等の実態を確認
  • 結論申込先・条件を当事者へ確認
  1. 確認1ローン特約の対象融資は決まっている?
    結論申込先・条件を当事者へ確認
  2. 確認2その銀行を仲介会社が紹介・調整する?
    結論自己申込の条件と特約を記載
    結論銀行紹介等の実態を確認
  3. 確認3対象融資の本審査の回答は?
    結論予定条件と審査状況を記載
    結論承認条件と期限を再確認
    結論審査回答と解除条項を照合
  • 申込先・条件を当事者へ確認

    どの融資を特約の対象とするか、売主・買主の合意を確認します。銀行名や金額が未定なら、申込予定先と希望額を当事者に確認します。

  • 自己申込の条件と特約を記載

    あっせん無でも、その融資を対象とするローン特約は合意できます。対象銀行・金額・審査状況・期限と、自己申込を含む条項かを確認します。

  • 銀行紹介等の実態を確認

    買主が申込書を提出する場合でも、仲介会社による銀行紹介があれば、あっせんに含まれる場合があります。誰が提出するかだけで決めません。

  • 予定条件と審査状況を記載

    合意した申込予定の銀行・金額等と、本承認前であることを記載します。事前審査の承認を本承認や融資実行の保証と説明しないでください。

  • 承認条件と期限を再確認

    金額のほか、保証人等の条件と有効期限を確認します。本承認があっても、契約どおりに融資を実行できるか、決済までの確認が必要です。

  • 審査回答と解除条項を照合

    否認・減額の理由、対象融資、申込義務、期限、通知方法を確認します。否認されたという理由だけで、自動的に解除済みとは扱いません。

どの結果でも契約書と重説を照合します。買主の自己申込でも本審査の段階を確認してください。この図は解除できるかを判定するものではありません。

宅建業法35条、不動産適正取引推進機構の手引・住宅ローン特約Q&Aに基づき、当事務所作成。

融資のあっせんとは?提携ローンだけを指す?

提携ローンに限りません。不動産会社が金融機関を紹介する場合も含まれます。不動産適正取引推進機構の手引では、不動産会社の紹介後、買主自身が銀行への申込手続を行う場合も、あっせんに含まれると説明されています。『申込書を出すのは買主だから、あっせん無』とは決められません。

融資の進め方あっせん欄の考え方ローン特約の確認
仲介会社が銀行を紹介し、申込を調整あっせん有として、紹介・調整する融資の内容を確認します。対象銀行・借入額・期限等が、契約書と一致しているか照合します。
仲介会社が銀行を紹介し、買主が直接申込直接申込でも、会社の紹介による融資はあっせんに含まれます。買主の直接申込でも、この融資を特約の対象とするか、契約書で確認します。
買主が独自に選んだ銀行へ自己申込仲介会社の紹介・調整がなければ、非あっせんの融資として扱います。あっせん無でも、当該融資を対象とする特約は合意できます。

あっせん無なら、融資欄は全部空欄でよい?

自己申込の融資にローン特約を付けるなら、その融資を特定する情報が必要です。『あっせん無』としたうえで、書式の融資欄や特約欄に、対象銀行・借入額・期限・融資を受けられない場合の扱いを明記します。書式が『あっせんした融資』だけを対象にしていないかも確認してください。

宅建業法35条1項12号は、金銭の貸借のあっせん内容と、不成立の場合の措置を説明する規定です。一方、同項8号は契約解除に関する事項の説明を定めています。非あっせんだからといって、合意したローン特約の説明まで不要になるわけではありません。

重説のどの欄を見ればよい?

書式上の欄主に記載・確認すること
金銭の貸借のあっせんあっせんの有無、金融機関名、融資金額、金利、借入期間、返済方法、保証料・ローン事務手数料等。名称や配置は書式によって異なります。
契約の解除に関する事項・融資利用の特約対象融資、全部又は一部の不承認、承認取得期日、解除期日、申込・協力義務、通知、既払金の返還、適用しない場合等。
売買契約書・特約重説の融資欄・解除欄と、売買契約書の対象銀行・金額・期限・解除条件を照合します。

あっせんの範囲と説明事項:不動産売買の手引・8頁宅建業法35条・37条大阪府・融資あっせん欄の記載不備

本審査前の融資予定をどう書く?

次は、売主・買主とも個人で、宅建業者ではない中古戸建て売買の架空例です。仲介会社が銀行を紹介し、買主が直接申し込みます。売買代金に充てる3,500万円をローン特約の対象とし、諸費用は自己資金とする合意です。銀行・金利・日付はすべて説明用で、実在商品の見積りではありません。

記載項目記載例・確認内容
あっせんの有無有。仲介会社がA銀行を紹介。申込書類は買主が銀行へ提出する。
金融機関等・金額A銀行 住宅ローン(架空)/申込予定額3,500万円。売買代金に充当。
金利・借入期間・返済方法変動金利・年1.00%(概算)/35年/元利均等返済。実行時の適用金利等は金融機関の条件による。
保証料・ローン事務手数料銀行保証料0円/銀行ローン事務手数料77万円(税込・借入額の2.2%)を融資実行時に支払う予定。いずれも架空の見積条件。
資料確認日・審査状況令和8年11月10日付の資金計画・銀行資料に基づく予定条件。本審査未承認。事前審査結果がある場合は、その回答日・金額・条件を別に記録する。
融資申込期限令和8年11月13日。必要書類の提出時期と合わせて合意。
融資承認取得期日令和8年11月27日。対象額の全部又は一部について承認を得られない場合の扱いを、契約条項で確認。
解除期日令和8年12月2日。以下の例では、この日までに解除の意思表示が相手方に到達する条件。
決済・融資実行予定日令和8年12月18日。解除期日とは別の日付として確認。

予定として書く場合も、申込先・借入額等は具体的に決めます。金利等の未確定部分と審査状況は、申込条件と併せて記載します。銀行名・借入額がまだ決まっていないなら、契約前に当事者へ確認し、どの融資を特約の対象とするか合意してもらいます。

解除条件の説明例

上記の架空取引で、買主が解除の意思表示をする『解除権留保型』を合意した場合の説明例です。対象融資、承認取得期日と解除期日、通知、返還条件を説明しています。実際の記載では、申込・協力義務や適用除外も含め、合意した契約書の条項に合わせます。

説明用の架空例

対象融資はA銀行の住宅ローン3,500万円です。買主が期限までに申込み、必要な審査資料の提出等に協力したにもかかわらず、令和8年11月27日までに全部又は一部の承認を得られない場合、買主は同年12月2日までに売主へ解除の意思表示を到達させることにより解除できる合意です。解除時は、売主が受領済みの手付金等を解除後7日以内に無利息で返還する条件としています。申込義務を果たさない場合等の適用除外は、契約書の条項を併せて説明します。

同じ銀行へ買主が独自に申し込む取引なら、『あっせん無』とし、その自己申込融資も上記特約の対象であることを合意・明記します。既存の文言が『仲介会社があっせんする融資』に限られているなら、あっせん欄を無に変えるだけでは足りません。

どの資料で確認する?

  • 買主の資金計画・申込予定資料必要な融資額、自己資金、費用も借りるか、別の借入れと合算するかを確認します。仲介会社が銀行へ照会する場合は、買主の同意を得てください。
  • 銀行の説明資料・見積書・審査回答商品名、金利区分、借入期間、返済方法、保証料・銀行手数料を確認します。資料の日付を残し、事前審査と本審査の回答を区別します。
  • 紹介・申込の記録と契約書案仲介会社がどこまで関与するか、誰がいつ申し込むか、対象融資、承認取得期日、解除期日を確認します。銀行へ提出した控えと回答も保存します。

買主・銀行への質問例

  • 買主へ『どの銀行へ、何万円を申し込む予定ですか。諸費用も借りますか。別の銀行は候補ですか、それとも両方から借りますか。事前審査と本審査は、どこまで進んでいますか。』
  • 銀行へ(買主の同意を得て)『この回答は事前審査ですか、本審査ですか。承認額と保証人等の条件は何ですか。必要書類がそろった後の審査期間の目安と、決済までに必要な手続を教えてください。』
  • 売主・買主の双方へ『この銀行のこの金額を特約の対象にしますか。減額の場合はどうしますか。承認取得期日と解除期日はいつにし、審査が終わらない場合はどう扱いますか。』

記載項目と審査の区別:大阪府・具体的な金融機関名等の記載住宅ローン特約Q&Aりそな銀行・事前審査と正式審査

ローンが通らなければ、自動的に解除になる?

自動的に契約が終了する『解除条件型』と、買主が期限内に解除を申し出る『解除権留保型』があります。解除条件型は定めた条件が成立すると契約が終了します。解除権留保型は、買主による期限内の意思表示が必要です。契約書の条項で、どちらの内容かを確認します。

承認期限と解除期限は何が違う?

期限・予定日架空例での意味
融資申込期限:11月13日買主が申込義務を果たす期限です。申込書だけで足りるか、必要資料の提出まで求めるかも確認します。
承認取得期日:11月27日合意した融資について、承認を得られたかを確認する基準日です。この例では、未承認の場合に買主が解除を申し出られるかを、契約条項に従って確認します。
解除期日:12月2日上記の解除権留保型の例では、売主へ解除の意思表示を到達させる期限です。仲介会社への連絡だけで足りるかは、通知先・受領権限等によります。
決済予定日:12月18日代金支払・引渡し・融資実行等を予定する日です。この例で解除の意思表示をする期限は、決済日ではなく12月2日です。

上記の日数は一例です。実際には、銀行の審査に必要な期間、書類準備、通知に必要な日数を踏まえて合意します。重説と契約書で日付が違うと、『まだ解除できるはずだった』という争いになりかねません。承認取得期日と解除期日を、両方の書面で照合します。

減額・審査中・銀行変更ではどうする?

起きたこと仲介会社が確認すること
3,500万円の申込みに対し3,200万円の承認不足は300万円です。特約が一部の不承認も対象とするか、別条件の融資を受ける義務等があるかを確認します。買主へ当然に300万円の追加負担を求めず、減額だけで自動解除とも決めません。
承認取得期日が近いが、まだ審査中銀行へ回答見込みを確認し、早めに当事者へ伝えます。審査中をどう扱う条項かを確認し、延期するなら原則として期限前に承認取得期日・解除期日等の変更合意を書面に残します。銀行の遅れだけで期限が自動延長するわけではありません。
買主が別のネット銀行へ変えたい変更先も特約の対象とするか、申込・承認・解除の日付をどうするか、売主と合意します。買主が銀行を変えれば、元の特約が当然にその銀行へ適用されるわけではありません。
複数の銀行名が並んでいる代替候補なのか、両行からの合算借入れなのかを明確にします。契約上、両方への申込みが必要な内容なら、一方へ申し込まないまま解除できるとは限りません。
保証人や団信等の条件が付いた条件と買主が対応できるかを確認します。条件付承認を『無条件で借りられる』と説明せず、特約がどの条件を想定しているか照合します。

事前審査に通っていても、本審査では資料等を含めて判断され、否認や条件変更が生じる場合があります。本承認後も、保証人等の条件の変更や新たな借入れ等により、融資が実行されない場合があります。『事前審査済みだからローン特約は不要』と、仲介会社だけで決めないでください。

解除の型・対象銀行・減額:不動産適正取引推進機構・住宅ローン特約Q&Aりそな銀行・正式審査に関するFAQ

ローン特約で解除すると、手付金はどうなる?

契約の定めるローン特約が適用される場合は、手付金等の既払金を返還する条件を確認します。手付金を放棄する手付解除とは異なります。上の架空例は、手付金等を解除後7日以内に無利息で返す合意ですが、実際の期限・返還方法は契約書に従います。

売主が受領した手付金等と、銀行へ払った手数料、仲介会社へ払った報酬は、支払先も根拠も違います。『ローン特約なら全部のお金が戻る』とは説明せず、それぞれの契約・規定を確認します。銀行のローン事務手数料と、仲介会社の融資あっせんに関する費用も区別してください。

売買代金以外の金銭は、精算金・手付金・費用の説明記事も併せて確認できます。

買主側の事情なら、特約を使えない?

申込みをしない、必要資料を提出しない、故意に審査が通らないようにするなど、契約上の義務に反した場合は、特約が適用されないことがあります。ただし、転職や団信の否認があれば一律に使えない、とは決められません。原因、時期、申告内容と、適用除外の条項を確認します。

全日本不動産協会が紹介する東京地裁令和3年8月10日の事例では、保証人を付ける条件で本承認を得た後、買主側の事情で保証人を外すよう求め、承認が取り消されました。この契約の適用除外条項等から、ローン特約による手付金返還は認められませんでした。銀行の否認通知があっても、そこに至る事情と契約の文言が問われる例です。

既払金と適用除外:住宅ローン特約Q&A・返金の扱い全日本不動産協会・ローン特約の裁判例

埼玉県・東京23区では、どこへ確認する?

融資の条件と審査状況は、まず買主・取扱金融機関に確認します。ローン特約の対象や期限を決めるのは、売主・買主の合意です。物件所在地の役所で、住宅ローンの承認や特約の適用可否を判定してもらう手続ではありません。

宅建業法上の重要事項説明や業者対応についての相談は、埼玉県では建築安全課の宅建相談・指導担当、東京都では住宅政策本部の不動産業課指導相談担当が案内されています。個別の解除が成立したか、返還請求をどう進めるかという紛争は、弁護士等へ相談します。

宅建業法上の相談窓口:埼玉県・不動産取引に関する相談窓口東京都住宅政策本部・不動産取引相談窓口

あっせん無なら、ローン特約もない?

  • 銀行名を『都市銀行等』だけにしない対象となる融資を特定できず、『別の銀行にも申し込む必要があった』という争いにつながる場合があります。具体名と複数銀行の関係を確認します。
  • 審査前の予定を、承認済みと説明しない売主が融資確定と受け止めてしまうおそれがあります。資料確認日、審査段階、未確定条件を記録し、結果が届いたら当事者へ伝えます。
  • 審査結果を待つ間に期限を過ぎない承認取得期日と解除期日を管理します。解除の通知が必要な契約では、銀行へ問い合わせ続けるだけでは解除の手続になりません。
埼玉県全域・東京都23区の売買物件

融資欄の確認から、重要事項説明書の作成まで

  • 融資予定資料と契約書案を確認し、対象融資・期限・解除条件を照合
  • 現地・役所・法務局等の物件調査から重要事項説明書ドラフトを作成

融資の承認は金融機関の審査によります。解除の成立や返金を巡って争いがある場合は、弁護士等への相談をご案内します。

『あっせん有・無のどちらか分からない』『審査前の条件をどう書くか迷う』という段階でもご相談ください。資料を見ながら、必要な確認を一緒に進めます。

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼する標準的な1物件88,000円(税込)/公的資料取得実費別
現金で買う場合も、ローン特約を付ける?

融資を利用しない合意なら、通常は融資利用特約を使う前提がありません。後から買主が借入れを希望したからといって、自動的に特約が追加されるわけではありません。資金計画を確認し、変更するなら売主と合意します。

事前審査で承認済みなら、本審査の結果も同じ?

同じとは限りません。本審査では提出書類等も含めて判断され、否認や条件変更が生じる場合があります。事前審査の承認額・条件・回答日と、本審査の結果を分けて確認します。

諸費用も借りる場合、融資額はどう書く?

売買代金に充てる融資額と、費用に充てる借入額の内訳を確認します。合計額だけを記載して特約の対象が曖昧にならないよう、どの融資を対象にするか、売主・買主で合意して明記します。

融資が通らなければ、いつでも白紙解除できる?

いつでもではありません。対象融資、申込・協力義務、審査結果、適用除外、期限、通知の定めを確認します。解除権を行使する型では、必要な意思表示が期限までに相手方へ到達しているかも問題になります。

2026年11月3日に現行法令・公式資料を確認しました。銀行名・金額・金利・日付・記載例は説明用の架空例であり、実際の商品条件や完成した契約条項ではありません。診断は確認事項の案内で、解除の可否やあっせん該当性を確定するものではありません。個別の解除・返金の紛争は弁護士等へご相談ください。