不動産会社の資金計画

宅建業の開業資金はいくら必要?初期費用と運転資金の考え方

免許取得までの費用を払えれば、開業資金は足りますか?

会社設立、事務所、免許申請、保証協会に必要な金額は計算しました。この合計を用意できれば開業できますか。営業を始めてから売上が入るまでのお金も、別に残した方がよいでしょうか。

開業資金は、営業開始までの支払いと、その後に残す運転資金を合わせて考えます

標準モデルでは、営業開始までの支払いが約355.5万円、毎月の固定費が約65.5万円です。固定費6か月分と、予定日に売上が入金されない場合の予備資金も含め、開業資金として約748.5万円を用意します。

宅建業では、免許を受けた日に仲介手数料が入るわけではありません。広告、問い合わせ対応、案内、査定、契約を行い、売買では決済後に仲介手数料を受け取ることがあります。それまでにも家賃、役員報酬、通信費、広告費を毎月支払います。

資本金の決め方は不動産開業の資本金はいくら?で扱いました。今回は資本金の額ではなく、資本金・役員借入金・融資などを合わせて、会社の口座にいくら用意しておくかを考えます。

宅建業の運転資金を業務別に見積もる診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

宅建業の開業資金を計算する
確認1開業して最初に中心にする業務は、どれですか?
  • 結論決済までの固定費を確保
  • 結論成約件数と広告費から月の収支を計算
  • 確認2開業時に引き継ぐ管理物件はありますか?
    • 結論引継ぎの開始月と戸数を確認
    • 結論管理戸数が増えるまでの固定費を用意
  • 結論仲介の開業資金と分け、案件ごとに計画
  1. 確認1開業して最初に中心にする業務は、どれですか?
    結論決済までの固定費を確保
    結論成約件数と広告費から月の収支を計算
    結論仲介の開業資金と分け、案件ごとに計画
  2. 確認2開業時に引き継ぐ管理物件はありますか?
    結論引継ぎの開始月と戸数を確認
    結論管理戸数が増えるまでの固定費を用意
  • 決済までの固定費を確保

    媒介取得から決済まで時間がかかります。入金のない月の固定費を支払える現金を確保し、仲介手数料を契約時と決済時のどちらで受け取るかも確認します。

  • 成約件数と広告費から月の収支を計算

    1件あたりの売上、成約件数、ポータルサイト等の広告費から毎月の収支を計算します。年間の計画は、繁忙期だけでなく、それ以外の月の売上も入れて立てます。

  • 引継ぎの開始月と戸数を確認

    引き継ぐ予定の管理物件について、管理を始める月と戸数を確認します。管理料を受け取り始める月までの固定費を、運転資金として計算します。

  • 管理戸数が増えるまでの固定費を用意

    開業時点で管理戸数がなければ、管理戸数が増えるまでの家賃、役員報酬、広告費などの固定費を運転資金として用意します。

  • 仲介の開業資金と分け、案件ごとに計画

    仕入れ代金を支払った後、販売して決済するまで入金がありません。仲介中心の開業資金とは分け、物件取得費・工事費・金利・保有期間を案件ごとに計画します。

どの業務でも、営業開始までの支払いに、最初の売上を受け取るまでの固定費と予備資金を加えて計算します。

宅建業の開業資金を計算する場合の判断です。日本政策金融公庫「不動産業(宅地建物取引業)の創業ポイント」と当サイトのシミュレーターに基づき当事務所作成。

支払日と、最初の売上が入る予定日を確認します

  • 営業開始前に支払うもの会社設立、事務所契約、免許申請、保証協会、看板・机・パソコンなどです。敷金は経費と性質が違いますが、契約時に現金で支払います。
  • 営業開始後、毎月支払うもの家賃、役員報酬または生活費、人件費、広告費、通信費、車両費、システム利用料、協会会費などです。売上がゼロの月にも支払う額を合計します。
  • 最初の売上が入る時期売買仲介、賃貸仲介、管理受託では、契約までの期間と入金の仕方が違います。見込み客・紹介先・受託予定から、最初の入金時期を見積もります。

必要額は、初期費用と毎月の固定費から計算します

  • 営業開始までの支払いを合計する

    会社形態、事務所、保証協会、設備を選び、開業費用シミュレーターで初期費用を計算します。

  • 毎月の固定費を出す

    売上がない月にも必要な固定費を合計します。法人は役員報酬と会社負担の社会保険料、個人事業主は生活費を資金繰りに含めます。

  • 最初の入金までの月数を決める

    売買中心なら媒介取得から決済まで、賃貸中心なら募集開始から成約までの想定期間を確認します。営業経験や見込み客がない場合は、予定日に入金されない場合も含めます。

  • 入金予定がずれた場合の予備資金を加える

    成約の延期、決済日の変更、広告の追加、設備の故障などに備えます。税金の納付資金も、運転資金と混ぜずに別に管理します。

売買・賃貸・管理で、必要な運転資金は変わります

売上が入るまで必要額に反映する内容
売買仲介媒介取得、販売活動、契約、決済まで時間がかかります1件の売上は大きくても、入金のない月の固定費を支払える現金を確保します。契約時と決済時のどちらで受領するかも確認します。
賃貸仲介売買より短い期間で成約することがあります1件あたりの売上、成約件数、ポータルサイト等の広告費から毎月の収支を計算します。年間の計画には繁忙期以外の売上も入れます。
賃貸管理受託後は毎月の管理料が入ります開業時点で管理戸数がなければ、管理戸数が増えるまでの固定費が必要です。引継ぎ予定の管理物件は、開始月と戸数を確認します。
買取再販仕入れ代金を支払った後、販売して決済するまで入金がありません仲介中心の開業資金とは分け、物件取得費・工事費・金利・保有期間を案件ごとに計画します。

固定費を3か月・6か月・9か月分用意した場合の比較

次の図は、株式会社を設立し、月額16万円の賃貸事務所を借り、保証協会へ加入する標準モデルです。営業開始までに約355.5万円を支払い、従業員を雇わず、役員報酬を月30万円としたとき、会社負担の社会保険料を含む固定費は月約65.5万円です。

標準モデル売上入金まで何か月分を残すか
3か月分合計 552万円
6か月分合計 748.5万円
9か月分合計 945万円
必要額の考え方営業開始までの支払い + 月の固定費 × 売上入金までの月数 + 予備資金
当サイトの開業費用・経営計画シミュレーターの初期設定による試算です。売上、借入返済、変動費、税金、臨時支出は含めていません。
運転資金開業費用との合計
固定費3か月分196.5万円552万円
固定費6か月分393万円748.5万円
固定費9か月分589.5万円945万円

営業開始後、最初の売上を受け取る予定月までに必要な固定費と、契約や決済の日が変わった場合の予備資金を用意します。売上の見込みがすでにある場合と、開業後に集客を始める場合では、同じ事務所でも必要額が変わります。

日本政策金融公庫の創業融資を利用する場合も、会社設立費用と資本金は自己資金で用意します。会社設立前の準備と、設立登記後の申込時期は、宅建業の開業と日本政策金融公庫の融資で工程表にまとめました。

売買仲介・賃貸仲介・管理業で異なる資金計画は、日本政策金融公庫の不動産業(宅地建物取引業)の創業ポイントでも確認できます。

会社のお金、税金、生活費を分けて考えます

会社の運転資金

家賃、役員報酬、人件費、広告費など、営業を続けるために会社が支払うお金です。法人では役員報酬を毎月の固定費に含めます。

納税のために残すお金

預かった消費税や、決算後に納める法人税等は、運転資金とは別に管理します。納税用の口座を分ける方法もあります。具体的な納税額と時期は税理士へ確認します。

個人の生活費

個人事業主の生活費は会計上の経費ではありませんが、現金は減ります。法人でも、役員報酬から家計が成り立つかを会社の資金計画と一緒に確認します。

月ごとの売上、固定費、借入返済、生活費まで入れた推移は、宅建業の経営計画シミュレーターで確認できます。利益が出る計画でも、借入元金の返済日や売買代金の入金日によっては、支払いに使える預金が不足します。

開業費用を支払った後の預金残高も確認します

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

開業費用を払い終えた時点の預金残高から、何か月分の固定費を支払えるかを確認します。

会社設立登記、宅建業免許申請、自社の宅建業で必要になる支払いを踏まえて資金計画を確認します。会社設立から免許取得までの日程だけでなく、事務所・保証協会・広告の支払日と、最初の売上の受取予定日も確認してから、資本金と調達額を決めます。

標準モデルでは、固定費6か月分を含めて約748.5万円です。自宅開業では事務所家賃を計上せず、従業員を採用する場合は給与と社会保険料を含めます。事務所、採用人数、広告費を変えて計算すると、必要額を具体的に確認できます。

ご自身の条件で計算する

開業後12か月の手元資金を確認できます

  • 法人・個人事業主を選び、役員報酬または生活費を反映できます
  • 売買・賃貸・管理の売上と、毎月の固定費を分けて入力できます
  • 借入返済と売買仲介の入金時期を含め、月ごとの残高を表示します

開業費用シミュレーターに保存した金額を使い、開業後の資金繰りを試算できます。

経営計画をシミュレーションする無料で試算できます。数値はブラウザ内に保存でき、サーバーへ送信されません。

宅建業の開業資金についてよくある質問

宅建業の開業資金は最低いくら必要ですか?

事務所、会社形態、保証協会、採用の有無で変わります。当サイトの標準モデルでは営業開始まで約355.5万円、固定費6か月分を加えると約748.5万円です。自宅開業なら下がり、従業員を雇う場合は上がります。

運転資金は何か月分あればよいですか?

営業開始から最初の売上を受け取る予定月までの固定費を計算します。売上の見込みが固まっていない場合は、契約や決済の日が変わった場合の予備資金も加えます。

資本金と開業資金は同じですか?

同じではありません。資本金は会社に入れる自己資金の一部です。開業資金には、資本金のほか、役員借入金や融資など、営業開始前後の支払いに使える現金も含めます。

創業融資はいつ相談すればよいですか?

会社設立前に、相談用の資料と創業計画書の内容を確認します。法人は設立登記の完了後に、必要額、支払時期、設備資金と運転資金の内訳を示して申し込みます。詳しい手続は宅建業の開業と日本政策金融公庫の融資で確認できます。

開業費用シミュレーターとの違いは何ですか?

開業費用シミュレーターは、会社設立・事務所・免許申請・保証協会・設備など営業開始までの支払いを計算します。経営計画シミュレーターは、営業開始後の売上と固定費を月ごとに入力し、手元資金の推移を確認します。

金額例は、当サイトのシミュレーター初期設定(株式会社、賃貸事務所、保証協会加入、従業員なし、役員報酬月30万円)による2026年9月27日時点の試算です。家賃、採用、広告、保証協会、売上の入金時期により必要額は変わります。税金の納付額は含みません。融資の審査や実行を保証するものではありません。