不動産会社を設立する方へ

宅建業で会社を作るとき、資本金はいくら?株式会社・合同会社と開業資金

不動産会社なら、株式会社と合同会社のどちらがよいでしょうか

宅建業を始めるために会社を作ります。株式会社と合同会社のどちらがよいでしょうか。資本金は1円でも設立できると聞きましたが、免許申請や開業後の支払いまで考えると、いくら用意すればよいのか分かりません。

集客する不動産会社なら株式会社。資本金は開業後の支払いから決めます

お客様を集めて宅建業を広げるなら株式会社、保有物件の管理が中心なら合同会社が向いています。どちらを選んでも宅建業免許に一律の最低資本金額はありません。資本金や役員借入金など、会社が使える資金で事務所、免許申請、保証協会と開業後の運転資金を賄えるように計画します。

株式会社か合同会社かは、設立費用だけで決める話ではありません。初めて会うお客様に会社を知ってもらい、媒介や管理を任せてもらう場面では、会社形態を説明することがあります。

後述する賃貸事務所のモデルなら、資本金500万円前後が最初の検討額です。ただし、これは必要な現金455.5万円を資本金だけで用意する場合の話。自宅開業なら下がり、採用や広告に先行投資するなら上がります。

賃貸事務所を借りるモデルでは、当サイトの開業費用シミュレーターの初期設定で開業時の支払いが355.5万円、別に運転資金100万円を置くと合計455.5万円です。資本金を考えるための、具体的な費用モデルの一例としてご覧ください。

株式会社か合同会社か、資本金はいくらかの診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

宅建業を始めるために会社を作る
確認1会社は、外のお客様を集めますか?
  • 確認2事務所は自宅ですか、借りますか?
    • 結論株式会社で、資本金は500万円前後
    • 結論株式会社で、自宅なら500万円より少なめ
  • 結論最初から株式会社
  • 結論合同会社で、資本金は支払う額に合わせる
  1. 確認1会社は、外のお客様を集めますか?
    結論最初から株式会社
    結論合同会社で、資本金は支払う額に合わせる
  2. 確認2事務所は自宅ですか、借りますか?
    結論株式会社で、資本金は500万円前後
    結論株式会社で、自宅なら500万円より少なめ
  • 株式会社で、資本金は500万円前後

    賃貸事務所を借りる試算では、開業時の支払いと運転資金を合わせて455.5万円が必要です。全額を資本金で用意するなら500万円前後で、採用や広告を予定するならその支出も加えて計算します。

  • 株式会社で、自宅なら500万円より少なめ

    賃貸事務所を借りる試算では455.5万円が必要で、自宅で始めるとこれより下がります。開業費用シミュレーターで事務所の種類を選び直して計算し、資本金を決めます。

  • 最初から株式会社

    将来、外部のお客様を広く集める予定があるなら、最初から株式会社にしておくと、あとで会社の種類を変える手続の費用と手間を避けられます。資本金は、事務所の費用と開業後に残す現金から決めます。

  • 合同会社で、資本金は支払う額に合わせる

    お客様に合同会社とは何かを説明する場面が少なく、設立費用も株式会社より抑えられます。資本金や役員借入金で、事務所、免許申請、保証協会の支払いと運転資金を賄えるようにします。

宅建業免許に最低資本金の要件はありません。設立時の資本金を1,000万円以上にするときは、消費税の扱いを税理士と確認してください。

宅建業で会社を作る場合の判断です。当事務所の考えと、当サイトの開業費用シミュレーターの初期設定による試算に基づき当事務所作成。

免許要件・設立費用・会社に残るお金は別です

  • 宅建業免許の要件株式会社と合同会社で免許要件は変わりません。宅建業免許には一律の最低資本金額もありません。事務所、専任宅建士、欠格事由などは別に確認します。
  • 会社を作るための費用資本金300万円・電子定款の例では、株式会社が202,000円、合同会社が60,000円です。設立費用は会社設立時に別途支払う費用で、資本金とは別に考えます。
  • 設立後に会社が使える資本金資本金は設立登記を終えた後、事務所、保証協会、設備など会社の支払いに使えます。設立費用と資本金を同じ金額として数えないことが大切です。

お客様を集める宅建業なら株式会社

合同会社を選ぶ方もいますが、住まいを探しているお客様や売却を考えている方まで、株式会社と合同会社の違いを知っているとは限りません。株式会社のほうが、会社形態の説明を短くできる場面があります。

私なら選ぶ会社理由
売買・賃貸・管理でお客様を集める株式会社初めて会うお客様にも伝わりやすく、採用や取引先への説明も短くできます。
自分や家族の保有物件を管理する合同会社外部のお客様へ会社形態を説明する場面が少なく、設立費用も抑えられます。
まず小さく始め、将来は広く集客する株式会社将来、外部のお客様を広く集める予定があるなら、最初から株式会社を選ぶ方が変更手続の費用と手間を避けられます。

資本金を入力すると、定款認証と登録免許税の差を株式会社・合同会社比較ツールで計算できます。資本金300万円・電子定款の例では、設立の法定費用の差は142,000円です。

海外企業の日本法人が合同会社でも、創業直後の不動産会社とは条件が違います

Apple Japan、アマゾンジャパン、グーグルの日本法人は合同会社です。これらの企業は、会社形態より先にブランド名がお客様へ伝わります。創業直後の不動産会社では、商号そのものがお客様への第一印象になります。

営業中の宅建業者は、どの資本金帯に多い?

不動産適正取引推進機構の令和7年度末統計から、株式会社だけを抜き出しました。全国で宅建業を営む株式会社11万9,632社のうち、資本金500万円未満が4万5,276社で37.8%。500万円以上1,000万円未満は17.0%、1,000万円以上2,000万円未満は27.1%です。

データで見る全国の資本金帯別構成
500万円未満 45,276社・37.8%500万~1,000万円未満 20,359社・17.0%1,000万~2,000万円未満 32,376社・27.1%2,000万~5,000万円未満 13,035社・10.9%5,000万円~10億円未満 7,948社・6.6%10億円以上 638社・0.5%
37.8%45,276社

営業中の株式会社 119,632社

不動産適正取引推進機構『令和7年度末宅建業者統計概要』別表1-6をもとに作成。営業中の株式会社の資本金であり、創業時の額ではありません。

この統計は、今営業している会社の資本金をまとめたものです。設立後に増資した会社も含まれます。開業時の金額を決める際は、業界全体の規模感を知る参考資料として見てください。

埼玉県は1,000万円未満が57.9%。東京都は50.5%

同じ株式会社で比較すると、1,000万円未満は全国54.9%、埼玉県57.9%、東京都50.5%です。地域ごとの事業規模をつかむ参考にしながら、ご自身の資本金は事務所費用と開業後に残す現金を基準に考えましょう。

データで見る1,000万円未満の割合を地域で比較
同じ統計の別表1-6から当サイトで計算。母数は全国119,632社、埼玉県5,683社、東京都25,378社。四捨五入により合計が100%にならない場合があります。

1円・100万円・300万円・500万円。違いは見栄えより手元資金です

資本金は登記に載ります。私自身、不動産会社の資本金が1円なら、営業開始までの支払いをどう賄うかを確認したくなります。ただし、登記上の資本金は現在の預金残高を表しません。資本金だけで信用を判断せず、事務所、経験、事業計画、実際の資金繰りも見るべきです。

開業時の見方確認したい点
1円~100万円未満会社は設立可能設立後の支払いを賄う別財源と、営業開始後の現金を明確にしておきたい額です。
100万円~300万円未満小さく始める選択肢自宅・低家賃の事務所など、初期支出を抑える条件があるか確認します。
300万円~500万円未満事務所や協会の費用次第賃貸事務所を借りる場合は、資本金以外の資金も必要になることがあります。
500万円以上一つの検討ライン資本金を多く入れても固定費が高ければ余裕はありません。1,000万円以上は税務も確認します。

金額帯ごとの見方は、家賃と開業後の固定費を見積もるための目安です。例えば、自宅で始める人と、従業員を雇って店舗を借りる人とでは、必要な現金が大きく違います。

賃貸事務所で始める場合、開業前後にいくら要る?

次の図は、株式会社・賃貸事務所(月額賃料15万円+共益費1万円)・開業まで3か月・保証協会加入・専任宅建士の登録済み・手続きを自分で行う条件です。開業時の支払い355.5万円に、運転資金100万円を加えると、必要な現金は合計455.5万円です。資本金をいくらにするかは、この現金をどう用意するかを決めてから考えます。

データで見る開業時に必要な現金の内訳
開業時の支払い+運転資金455.5万円事務所 150万円
事務所150万円保証協会135万円運転資金 100万円設備・備品 45万円
当サイトの開業費用シミュレーター初期設定による試算(2026年8月取得データ)。保証協会の入会諸費用、敷金、事務所の家賃、設備は条件により変動します。敷金は支出時に現金が必要ですが、費用とは性質が異なります。
金額試算の条件
会社設立217,000円電子定款・株式会社
免許申請・証明書38,000円知事免許・書類取得
保証協会1,350,000円分担金と入会諸費用
事務所1,500,000円契約費用と開業までの家賃
設備・備品450,000円初期設定で選択されたもの
運転資金1,000,000円営業開始後に残す設定額
データで見る資本金と必要な現金の関係
資本金を選ぶ500万円
このモデルで用意する現金455.5万円
必要額 455.5万円

開業費用と運転資金100万円を確保した後、さらに44.5万円が残る試算です。

比較のため、資本金300万円設定の支出を固定し、全額を資本金で用意する場合の模式図です。資本金を変えると定款認証手数料等も変わる場合があります。実際には資本金以外の資金調達も可能です。

このモデルで資本金を300万円にするなら、差額155.5万円を役員借入金などで用意するか、事務所や設備の条件を調整します。500万円なら、予定した運転資金100万円を確保したうえで、さらに44.5万円が残る計算です。採用や広告を予定する場合は、その支出も加えて試算しておきましょう。

ご自身の事務所と保証協会を選んで、開業費用シミュレーターで内訳を確認すると数字が変わります。売上・固定費・手元資金は経営計画シミュレーターで別に試算してください。

資本金1,000万円は、消費税の扱いも確認してください

設立時の資本金が1,000万円以上の新設法人は、基準期間がない事業年度でも、原則として消費税の免税事業者にはなれません。1,000万円未満の場合も、インボイス登録や特定期間の売上・給与などで変わります。詳しくは国税庁の新設法人の案内をご確認ください。

1,000万円を『見栄えのよい数字』だけで選ばず、取引先との関係や消費税の見込みを税理士と確認してから決めてください。資本金が1,000万円未満であっても、開業に必要な資金まで少なくしてよいわけではありません。

会社形態を決め、家賃と保証協会の支払いから資本金を考えます

執筆・監修者の小野田敦士

小野田 敦士

  • 司法書士
  • 行政書士
  • 宅地建物取引士

お客様を集める宅建業なら株式会社、自分の物件を管理する会社なら合同会社を勧めます。資本金は、会社を作る費用とは分けて、営業開始後まで使える金額を考えます。

司法書士として設立登記を、行政書士として免許申請を扱い、自身でも宅建業を営んでいます。設立時の十数万円だけで会社形態を決めず、お客様への伝わり方、事務所を借りる時期、保証協会への支払日まで確認して資本金を決めます。

自分の条件で試算する

開業費用を計算して、資本金の額を考えましょう

  • 株式会社と合同会社の設立費用を比較できます
  • 会社形態と事務所の種類、家賃を選べます
  • 保証協会の費用と営業開始後に残したい運転資金を確認できます

事務所の家賃や保証協会を選ぶと、必要な現金の内訳が変わります。

開業費用をシミュレーションする無料で試算できます。資本金を決める前の目安づくりにお使いください。

資本金についてよくある質問

宅建業は合同会社でも開業できますか?

合同会社でも宅建業免許を申請できます。免許要件は株式会社と同じです。外部のお客様を集める会社なら株式会社、保有物件の管理が中心なら合同会社を選ぶのが私の考えです。

宅建業免許に必要な最低資本金はありますか?

宅建業免許に、資本金を何百万円以上とする一律の基準はありません。ただし、事務所や専任宅建士などの免許要件、営業開始前の保証協会への加入または営業保証金の供託は別に必要です。

資本金100万円でも開業できますか?

会社の設立はできます。宅建業の営業開始までに必要な現金は、事務所・保証協会・設備によって変わります。資本金100万円で不足する分をどう用意するか、開業後の運転資金が残るかを確認してください。

資本金は、開業費用として使ってはいけませんか?

設立後、会社の事業のための費用に使えます。資本金は預金口座に置き続ける義務のあるお金ではありません。使った後の残高と、その後の支払い予定を分けて見てください。

資本金1,000万円にすれば信用されますか?

登記上の資本金は一つの情報ですが、それだけで信用が決まるものではありません。設立時に1,000万円以上とする場合は消費税の扱いも変わるため、事業計画と税務の両面から検討してください。

宅建業者の資本金分布は2026年3月31日現在の営業中の株式会社を集計したものです。開業時の資本金の統計ではありません。費用モデルは当サイトの開業費用シミュレーターの初期設定(2026年8月取得の費用データ)による試算で、事務所・協会・設備等の条件で変わります。税務上の扱いは個別に税理士へ確認してください。