法人の宅建業免許新規申請に必要な書類|新設法人と既存法人の違い
設立したばかりの会社と、既存会社では必要書類が違いますか?
法人で宅建業免許を新規申請する予定です。新しく会社を設立して申請する場合と、すでに別事業を営んでいる会社が宅建業を始める場合では、用意する書類が違うのでしょうか。必要書類の全体像と、どこで分かれるのかを知りたいです。
法人は原則19区分。財務書類は申告期限の到来前後で分かれます
埼玉県の必要書類一覧は法人・個人を合わせて21区分あり、法人申請では個人専用の住民票と資産調書を除く原則19区分を確認します。ただし、実際の枚数は役員等の人数と事務所数によって増えます。
新設法人と既存法人で大きく変わるのは、法人税の納税証明書と決算書類です。判断基準は会社の設立日だけではなく、申請時点で最初の事業年度の法人税申告期限が到来しているかです。申告期限前なら法人税の納税証明書は不要で、貸借対照表・損益計算書に代えて法人設立時の開始貸借対照表を提出します。申告期限後なら、申請直前1年分の法人税の納税証明書と、同じ決算期の決算書類が必要です。
会社設立から申請までの順番は、会社設立と宅建業免許申請を最短で進める方法、要件・費用・期間を含む全体像は、埼玉県の宅建業免許・新規申請完全ガイドで確認できます。
法人の申請で出す財務書類の診断フローチャート
当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。
- 結論開始貸借対照表を提出
- 結論財務書類は埼玉県の手引きで確認
- 確認2決算期を変更して、直近の事業年度が1年未満になっていますか?
- 結論納税証明書と、その決算期の決算書類
- 結論前事業年度分も出すかを手引きで確認
- 確認1申請する日に、最初の決算と法人税の申告期限は来ていますか?結論開始貸借対照表を提出結論財務書類は埼玉県の手引きで確認
- 確認2決算期を変更して、直近の事業年度が1年未満になっていますか?結論納税証明書と、その決算期の決算書類結論前事業年度分も出すかを手引きで確認
- 開始貸借対照表を提出
法人税の納税証明書は不要です。貸借対照表・損益計算書に代えて、法人設立時の開始貸借対照表を提出します。
- 財務書類は埼玉県の手引きで確認
決算日を過ぎていても、法人税の申告期限が来ていなければ、納税証明書は不要とされています。財務書類を開始貸借対照表にするか決算書類にするかは、定款の事業年度と申告の状況をそろえて、埼玉県の手引きで確認します。
- 納税証明書と、その決算期の決算書類
本店所在地を所管する税務署で、申請直前1年分の法人税の納税証明書(その1)を取得します。同じ決算期の貸借対照表・損益計算書・販売費及び一般管理費内訳と一緒に提出します。
- 前事業年度分も出すかを手引きで確認
直近の決算期の納税証明書と決算書類に加えて、前事業年度分も提出するのかを、埼玉県の手引きで確認します。
納税証明書と決算書類が必要かどうかは、設立からの月数ではなく、最初の事業年度の法人税の申告期限が来ているかで決まります。
書類を集める前に確認する5つの分岐
- 最初の法人税申告期限が到来しているか設立からの月数だけで判断しません。最初の事業年度、決算日、法人税の申告期限を確認し、開始貸借対照表か通常の決算書類かを決めます。
- 過去に宅建業免許を取得したことがあるか一度も免許を取得していない法人の新規申請では、宅地建物取引業経歴書の最初の免許欄に「新規」と記載し、事業実績は記入しません。過去に廃業・失効した免許があれば、その履歴を確認します。
- 証明書が必要な人物は誰か代表者、取締役、監査役、持分会社の社員、政令で定める使用人等を整理します。身分証明書等は、これらの対象者に加えて相談役・顧問も確認します。
- 5%以上の株主・出資者は誰か株式会社は5%以上の株主、その他の法人は出資者を確認します。役員一覧とは対象が異なるため、登記だけでなく株主名簿や出資関係資料から確定します。
- 事務所はいくつあり、誰が従事するか地図、平面図、写真、従事者名簿などは事務所ごとに準備します。専任宅建士と従事者の人数、宅建士証の有効期間も先に確認します。
法人の新規申請で確認する必要書類19区分
| 書類 | 法人申請での要点 |
|---|---|
| 1 免許申請書(第一面〜第五面) | 法人登記の商号、本店、目的、役員等と一致させます。 |
| 2 宅地建物取引業経歴書 | 一度も免許を受けていない新規申請は「新規」とし、事業実績は記入しません。 |
| 3 誓約書 | 申請者欄を免許申請書第一面と一致させます。 |
| 4 代表者等の連絡先に関する調書 | 代表者・役員・政令使用人等を記載し、個人携帯または自宅固定電話を記入します。 |
| 5 略歴書 | 代表者等の連絡先に関する調書へ記載した全員について作成します。 |
| 6 身分証明書 | 対象者と相談役・顧問について、本籍地の市区町村で取得します。発行後3か月以内の最新情報が必要です。 |
| 7 登記されていないことの証明書 | 対象者と相談役・顧問について、法務局本局等で取得します。発行後3か月以内の最新情報が必要です。 |
| 9 専任の宅地建物取引士設置証明書 | 事務所名、従事者数、専任宅建士を申請書・従事者名簿と一致させます。 |
| 11 相談役・顧問、5%以上の株主・出資者 | 該当者がいない場合も「該当なし」とし、株主・出資者は会社資料から確認します。 |
| 12 事務所を使用する権原に関する書面 | 所有・賃貸借・使用貸借・転貸借を区別し、所在地と用途を契約資料に合わせます。 |
| 13 専任宅建士等の略歴書 | 専任宅建士、相談役、顧問について作成します。役員等を兼務する専任宅建士は扱いが異なります。 |
| 14 宅地建物取引業に従事する者の名簿 | 事務所ごとに作成し、代表者・政令使用人・専任宅建士等の記載対象を確認します。 |
| 15 履歴事項全部証明書 | 本店、目的、役員等を確認します。会社法人等番号の記載により添付を省略できる場合があります。 |
| 16 法人税の納税証明書(その1) | 申請直前1年分。最初の事業年度の申告期限前は不要です。県税事務所ではなく税務署で取得します。 |
| 17 貸借対照表・損益計算書等 | 納税証明書と同じ決算期のもの。販売費及び一般管理費内訳を含めます。申告期限前は開始貸借対照表に替えます。 |
| 18 事務所付近の地図 | 最寄り駅等からの経路、目印、時間・距離を示し、事務所ごとに作成します。 |
| 19 事務所の平面図・間取図 | フロア全体、事務所区画、入口からの動線、写真撮影地点を示します。 |
| 20 事務所の写真 | 建物入口から事務所内まで、申請前3か月以内の状況を撮影します。 |
| 21 法人名義の電話番号を確認できる書類 | 契約書、請求書、契約画面等の写しを用意します。法人活動だけに使う旨の誓約書による方法も案内されています。 |
個人申請者の住民票(No.8)と、資産の状況を示す調書(No.10)は、法人申請では不要です。代表者個人の住民票や個人資産の調書を法人書類へ混ぜないようにします。
新設法人と既存法人で変わる財務書類
| 最初の法人税申告期限前 | 申告期限が到来した法人 | |
|---|---|---|
| 法人税の納税証明書 | 不要 | 申請直前1年分の納税証明書(その1・納税額等証明用) |
| 財務書類 | 法人設立時の開始貸借対照表 | 同じ決算期の貸借対照表・損益計算書・販売費及び一般管理費内訳 |
| 確認する日付 | 設立日、資本金、最初の決算日、申告期限 | 申請日、直近の決算期、申告日 |
| 注意点 | 設立1年未満というだけでなく、最初の申告期限が来ていないことを確認 | 決算期変更で直近年度が1年未満なら、前事業年度分の提出も確認 |
事業年度終了後で申告期限の到来前に申請する場合など、申請日と決算・申告の位置関係で扱いが変わります。会社の設立年月だけで決めず、定款・登記・申告状況を一緒に確認します。
必要書類は、人・会社・事務所の順に集めます
- 対象者一覧を確定する
役員、政令使用人、相談役・顧問、5%以上株主・出資者、専任宅建士を一枚の一覧にし、誰にどの書類が必要かを分けます。
- 新設法人・既存法人の財務分岐を決める
最初の事業年度と法人税申告期限を確認し、納税証明書・通常の決算書類か、開始貸借対照表かを確定します。
- 申請書と法人関係資料の原稿を作る
履歴事項全部証明書、定款、株主名簿等をもとに、商号、本店、目的、役員、株主等を申請書へ反映します。
- 有効期間のある証明書を取得する
身分証明書、登記されていないことの証明書等は、申請日から逆算して取得します。対象者の漏れと期限切れを防ぎます。
- 事務所を完成させて図面・写真・電話資料をそろえる
使用権原、区画、動線、商号表示、執務・応接場所、電話名義を整えた後に、平面図と写真を確定します。
- 全書類を横断して照合する
氏名、住所、商号、所在地、役職、就任日、決算期、従事者数、写真撮影方向を、登記・申請書・添付資料の間で一致させます。
埼玉県申請で見落としやすい照合ポイント
人物の対象範囲
役員一覧、略歴書、身分証明書等、相談役・顧問、株主・出資者は対象範囲が同じではありません。一つの名簿を全書類へそのまま流用しません。
専任宅建士の兼務
役員または政令使用人を兼ねる専任宅建士は、通常の役員等の略歴書と専任宅建士設置証明書で扱い、専任宅建士等の略歴書が不要となる場合があります。
決算期の一致
法人税の納税証明書、貸借対照表、損益計算書、販売費及び一般管理費内訳は、同じ決算期の資料をそろえます。
法人名義と所在地
事務所契約、電話契約、商号表示、申請書、登記の法人名・所在地を照合します。代表者個人名義の場合は、その理由と使用関係を別途確認します。
この記事で確認した公式情報:宅地建物取引業者免許申請(新規・免許換え・更新)について(埼玉県)宅地建物取引業者免許申請の手引き(埼玉県知事免許)
「設立1年未満」だけで財務書類を決めません

小野田 敦士
- 司法書士
- 行政書士
- 宅地建物取引士
設立したばかりか、以前からある会社かという呼び方だけでは判断できません。最初の事業年度、決算日、法人税の申告期限、実際の申告状況まで確認して、必要な財務書類を決めます。
既存法人が新しく宅建業へ参入する場合でも、一度も宅建業免許を取得していなければ、免許申請の区分は新規です。一方で、会社として決算・申告をしているため、財務書類は設立直後の法人と同じにはなりません。「免許の新規」と「会社の新設」を分けることが、書類選定の出発点です。
法人の状況を確認し、必要書類を一つずつ確定します
- 役員・相談役顧問・株主・専任宅建士ごとに必要書類を整理します
- 新設法人か既存法人かを、決算日と法人税申告期限から判定します
- 代理取得できる証明書、申請書、事務所資料を同じ工程表で管理します
標準的な法人新規・埼玉県知事免許・1事務所は、会社設立から選択した保証協会1団体の入会手続まで事務所報酬99,000円(税込)です。登録免許税、定款認証費用、免許申請手数料、証明書・郵送等の実費、保証協会費用等は別途です。既存法人からの申請も、会社と事務所の状況を確認して個別にご案内します。
どの書類が必要か、会社の状況から整理しませんか。
宅建業免許申請代行の内容を見る設立前でも、既存法人からの参入でもご相談いただけます。法人の必要書類についてよくある質問
設立1年未満なら、必ず納税証明書は不要ですか?
設立からの月数だけで決めない方が安全です。埼玉県の手引きは、申請時点で最初の事業年度の申告期限が到来していない法人を不要としています。短い事業年度を設定した場合などもあるため、決算日と申告期限を確認します。
既存法人ですが、宅建業の実績はありません。経歴書に0件と書きますか?
一度も宅建業免許を取得したことがない法人の新規申請では、最初の免許欄に「新規」と記載し、事業実績は記入しません。過去に免許を取得し、廃業・失効している場合は別の扱いです。
決算書は貸借対照表と損益計算書だけでよいですか?
販売費及び一般管理費の内訳も確認します。損益計算書に減価償却費や租税公課などの販管費内訳が表示されていない場合は、別紙の販売費及び一般管理費内訳も添付します。
納税証明書は県税事務所で取得する法人県民税の証明ですか?
違います。法人は法人税の納税証明書(その1・納税額等証明用)を、本店所在地を所管する税務署で取得します。法人県民税の納税証明書ではありません。
履歴事項全部証明書は必ず原本を添付しますか?
埼玉県は、免許申請書の所定箇所へ会社法人等番号を記載することによる添付省略を案内しています。提出方法によって入力箇所の案内が異なるため、申請時点の公式ページと申請画面で確認します。
役員が専任宅建士を兼ねる場合、略歴書は2種類必要ですか?
埼玉県の手引きでは、役員または政令使用人を兼務する専任宅建士は、役員等の略歴書と代表者等の連絡先に関する調書へ記載し、専任宅建士等の略歴書は不要とされています。兼務状況を各様式で一致させます。