重要事項説明書 A 不動産の表示|16-1

規約敷地と登記|マンション売買で土地持分の名義変更は必要か

規約敷地があるマンションは、土地の名義変更も必要ですか?

分譲マンションの管理規約に、別筆の駐車場用地が規約敷地として載っています。住戸を売却するときは、専有部分とは別に、その土地についても買主への名義変更が必要でしょうか。土地の登記に買主の氏名が載らないのも心配です。

権利は承継させますが、土地を別に移転登記するとは限りません

売主が持つ規約敷地に関する権利は、専有部分と整合する形で買主へ承継させます。ただし、対象土地が敷地権として登記されているかで、登記の進め方が変わります。

規約敷地が対象住戸の敷地権に含まれるかと土地登記に売主持分があるかで移転登記の方法を分ける図
まず規約敷地の地番を確定し、対象住戸の敷地権表示と各土地の登記を照合します。敷地権化済みなら区分建物と一体、非敷地権の売主持分なら土地を別途移転、売主持分がなければ所有主体と使用権の承継を個別確認します。

規約敷地は、規約によって建物の敷地とした土地を指します。一方、敷地権は、登記された敷地利用権のうち専有部分と分離して処分できないものです。『規約敷地である』という土地の性質と、『敷地権として登記されている』という登記状態は、同じ質問ではありません。

対象住戸の表題部に該当土地の敷地権の種類・割合が記録され、土地側にも『敷地権である旨』がある通常のケースでは、区分建物についてする所有権移転登記が敷地権にも効力を及ぼします。この場合、土地共有持分の移転登記を別件で申請し、土地の甲区へ買主名を一人ずつ加える仕組みではありません。

反対に、該当土地が対象住戸の敷地権表示に含まれず、土地登記に売主の共有持分が直接記録されている場合は、その持分を売買対象へ入れ、土地についても所有権移転登記を申請するのが基本です。単に『マンションの敷地だから建物と一緒に移る』と処理すると、土地持分だけ売主名義のまま残るおそれがあります。

規約敷地の土地も移転登記するかの診断フローチャート

当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。

規約敷地があるマンションを売買する
確認1規約敷地の土地は、対象住戸の「敷地権の表示」にありますか?
  • 確認2その敷地権の種類は、何と表示されていますか?
    • 結論区分建物の移転登記と一体
    • 結論一体の登記と借地条件を確認
  • 確認3その土地の甲区に、売主の持分は登記されていますか?
    • 結論土地持分を別に移転登記
    • 結論使用権と地位の承継を確認
  • 結論司法書士と管理会社へ照会
  1. 確認1規約敷地の土地は、対象住戸の「敷地権の表示」にありますか?
    結論司法書士と管理会社へ照会
  2. 確認2その敷地権の種類は、何と表示されていますか?
    結論区分建物の移転登記と一体
    結論一体の登記と借地条件を確認
  3. 確認3その土地の甲区に、売主の持分は登記されていますか?
    結論土地持分を別に移転登記
    結論使用権と地位の承継を確認
  • 区分建物の移転登記と一体

    区分建物の所有権移転登記の効力が、敷地権にも及びます。土地について別に移転登記を申請することは、通常ありません。

  • 一体の登記と借地条件を確認

    区分建物の移転登記だけでよいかを、司法書士に確認します。借地契約で、期間、地代、譲渡に承諾が要るかも確認します。

  • 土地持分を別に移転登記

    土地の持分を売買対象に入れ、土地についても持分の移転登記を申請するのが基本です。重説には、売主の持分と、敷地権の登記がないことを書きます。

  • 使用権と地位の承継を確認

    売主に土地の持分がなければ、土地の移転登記は通常しません。重説には土地の所有者と、使用の根拠になる管理規約の条項を書き、買主が引き続き使えることを管理規約や契約で確認します。

  • 司法書士と管理会社へ照会

    売主が取得したときに土地の持分の登記が漏れていないか、分筆・合筆や規約の変更がないかを調べます。調べた結果をもとに、司法書士と管理組合・管理会社へ照会します。

規約が分離処分を認めている場合や、借地権の譲渡に承諾が要る場合は、契約前に司法書士に確認します。

規約敷地があるマンションを売買するときの登記の判断です。区分所有法22条、不動産登記法46条・73条に基づき当事務所作成。

別途の土地登記が必要か決める前に確認する8項目

  • 現行管理規約が示す規約敷地の地番規約本文、対象物件の別表、敷地関係図から、対象土地を所在・地番で確定します。『駐車場用地』という用途名だけでは登記へ接続できません。
  • 一棟の建物の目的土地一覧対象住戸の登記にある『敷地権の目的である土地の表示』から、土地の符号、所在・地番、地目、地積を一覧にします。
  • 対象住戸の敷地権の種類・割合規約敷地の符号が、対象住戸の『敷地権の表示』に含まれるかを確認します。一棟全体の目的土地に載るだけでは、その住戸の権利内容は確定しません。
  • 土地側の『敷地権である旨』規約敷地各筆の権利部で、敷地権である旨、対象となる一棟の建物、登記日を確認します。所有権なら甲区、地上権・賃借権なら乙区を含めて読みます。
  • 区分建物の現在の所有者対象住戸の甲区で現在の登記名義人と売主を照合します。敷地権化済みでは、土地登記へ現在の区分所有者名が個別に並ばないことがあります。
  • 敷地権でない土地の売主持分敷地権表示にない土地は、土地甲区の共有者・持分を確認します。売主取得時の契約書、登記識別情報、固定資産関係資料とも照合します。
  • 売買契約書の目的物表示区分建物だけでなく、規約敷地の敷地権または非敷地権の土地共有持分が、実際の権利関係どおり売買対象へ入っているか確認します。
  • 司法書士へ渡す登記対象一覧契約前、遅くとも決済準備前に、対象住戸と規約敷地全筆の登記、規約、契約書案を渡し、一体移転か別途の土地移転かを確認します。

規約敷地の地番から登記申請までつなぐ8段階

  • 規約敷地の地番表を作る

    現行管理規約・別表から、土地の符号、所在・地番、地目、地積、規約の根拠条項を一筆ずつ抜き出します。

  • 対象住戸の最新登記を取得する

    部屋番号ではなく家屋番号で取得し、一棟の表示、目的土地、専有部分、敷地権表示、甲区を確認します。

  • 土地符号を地番へ戻す

    対象住戸の敷地権表示にある土地符号を、一棟の目的土地一覧へ戻します。規約敷地の地番が、対象住戸のどの種類・割合と対応するかを記録します。

  • 規約敷地各筆の最新登記を取得する

    土地側に敷地権である旨があるか、誰が所有権・地上権・賃借権を持つかを確認します。分筆・合筆や敷地権設定前の履歴が疑われる場合は追加資料を取得します。

  • 三つの登記ルートへ分ける

    ①敷地権として区分建物と一体、②非敷地権の売主持分を土地で別途移転、③売主に直接の土地持分がなく権利承継を個別確認、のいずれかに地番ごとに分けます。

  • 売主取得時の資料と照合する

    以前の売買契約書、登記識別情報、権利証、固定資産関係資料を確認し、取得時から規約敷地の土地持分が登記対象から落ちていないかを調べます。

  • 重説・契約書・登記依頼を一致させる

    同じ地番表を使い、重説の規約敷地・敷地権・登記された権利、契約書の目的物、司法書士への登記依頼の三つを照合します。

  • 契約前と決済前に再確認する

    資料不一致や借地の承諾条件は契約前に解消します。決済前には最新登記を再取得し、差押え、所有者変更、敷地権変更等がないか確認します。

敷地権化済み・非敷地権・第三者所有を分ける

規約敷地

建物が所在しない庭・通路等の土地を、建物と一体として管理・使用するため規約で建物の敷地としたものです。土地の分類を示します。

敷地利用権

区分所有者が専有部分を所有するために持つ、建物の敷地に関する権利です。所有権、地上権、賃借権等があります。

敷地権

登記された敷地利用権のうち、専有部分と分離して処分できないものです。対象住戸の表題部に種類・割合が記録されます。

非敷地権の土地持分

専有部分に付随する土地共有持分であっても、敷地権として登記されていないものです。売主名義の持分があれば、土地の登記を別に申請することがあります。

登記・権利の状態売買時の基本ルート注意点
所有権敷地権として登記済み区分建物の所有権移転登記が敷地権にも効力を及ぼす土地甲区へ買主名を個別に加える別件申請は通常しない
地上権・賃借権の敷地権として登記済み区分建物と一体の登記関係を確認する設定契約、期間、地代、譲渡承諾・承継条項は別途確認する
敷地権でなく土地甲区に売主持分あり土地共有持分を売買対象に含め、別途の所有権移転登記を確認する建物だけを移転して土地持分を取り残さない
管理組合法人・第三者が土地所有者売主から買主への土地所有権移転登記は当然には行わない使用権、組合員の地位、契約上の承継根拠を確認する
規約・登記・旧契約書が一致しない登記ルートを確定せず、司法書士・管理主体へ追加照会する取得時からの土地持分登記漏れ、分筆・合筆、規約変更を調べる
土地の登記に買主名が出ない=登記漏れ、ではありません

敷地権化済みの土地では、区分建物の所有権に関する登記が敷地権にも効力を及ぼします。土地の権利部だけを見て現在の住戸所有者名を探すのではなく、対象住戸の甲区と敷地権表示、土地側の敷地権である旨を一組で読みます。

次の文例は法定の固定文言ではなく、調査結果を重説・契約書へ揃える考え方を示す架空例です。使用する書式と実際の契約条件に合わせ、登記担当司法書士の確認結果と食い違わないようにします。

確認結果重要事項説明書の記載例契約・登記との整合
規約敷地が所有権敷地権規約敷地 有(符号2・例示区南町一丁目20番5)。敷地権の種類 所有権、割合 100000分の6847契約書でも区分建物と敷地権を一体の売買対象として表示する
非敷地権の売主持分規約敷地 有。対象土地:例示区南町一丁目20番5、宅地、150.00㎡、売主持分1000分の27(敷地権の登記なし)土地持分を契約目的物と司法書士への別途移転登記一覧へ入れる
第三者所有で売主持分なし規約敷地 有。土地所有者:○○管理組合法人。対象住戸の使用関係は管理規約第○条・別表○による存在しない売主持分を書かず、使用権・地位の承継条件を契約で確認する
借地・承諾条件を確認中規約敷地 有。敷地利用権:賃借権。譲渡承諾の要否・条件は確認中未確認のまま完成扱いにせず、承諾取得を契約条件へ反映する

まず規約敷地の定義・有無を規約敷地の記事で確定し、敷地権化済みなら敷地権の目的である土地の記事と敷地権の種類・割合の記事で土地符号から対象住戸の権利までつなげます。

東京23区・埼玉県でも、登記の仕組みは同じです

規約敷地と敷地権の登記制度は全国共通です。東京都や埼玉県の条例で別途登記の要否が変わるのではなく、対象住戸・各土地の登記と、そのマンションの規約・契約関係によって決まります。

通常の調査は登記情報から

登記情報提供サービスで対象住戸と規約敷地各筆の全部事項を取得し、地番ごとの分岐表を作ります。登記情報は登記事項証明書そのものではないため、提出用途では使い分けます。

オンライン証明書請求は無理に使わない

登記事項証明書のオンライン請求は、操作に不慣れな方へ積極的にはおすすめしていません。証明書が必要なら、管轄にかかわらず交付請求できる法務局窓口等も含め、確実に取得できる方法を選びます。

東京都23区の物件

物件所在地を担当する東京法務局本局・出張所は管轄一覧で確認します。住居表示から地番・家屋番号を確定してから取得し、規約敷地が別の管轄にないかも確認します。

埼玉県の物件

所在市町村を担当するさいたま地方法務局本局・支局・出張所を管轄一覧で確認します。複数筆や市町村境の物件は、各土地の所在で分けます。

土地と建物の管轄が異なる場合

登記官間の通知制度があっても、宅建業者の物件調査では対象住戸と各土地をそれぞれ取得して照合します。『登記所が連絡するから土地は見ない』とはしません。

実務では、同じ『規約敷地』を一括処理しません

よくある誤り生じる問題防ぎ方
規約敷地なら土地も必ず別登記敷地権化済みの一体登記を理解せず、不要な別件申請を前提にする対象住戸の敷地権表示と土地側の敷地権である旨を確認する
マンションなら土地は全部一緒に移る非敷地権の土地共有持分を契約・登記から落とす敷地権表示にない全地番について土地甲区の売主持分を確認する
土地に買主名がないので登記漏れ敷地権付き区分建物の登記構造を読み違える区分建物甲区、敷地権表示、土地側の記録を一組で読む
規約の地番を契約書へそのまま貼る分筆・合筆や規約未改定により現行登記とずれる最新登記と変更履歴を確認し、不一致を解消してから記載する
借地も所有権持分と同じ処理譲渡承諾や契約上の承継条件を見落とす借地契約、管理規約、地主回答を確認し司法書士等へ照会する

調査ファイルには、①現行管理規約・別表、②対象住戸の最新登記、③規約敷地各筆の最新登記、④売主取得時の契約・権利資料、⑤地番別の登記ルート表、⑥売買契約書案、⑦司法書士への照会・回答を保存します。重説だけ合っていても、契約目的物や登記依頼から土地持分が落ちれば事故を防げません。

自動判定せず、個別確認へ送るケース

規約が専有部分と敷地利用権の分離処分を許している、敷地権設定前の登記原因がある、規約と登記の地番が違う、借地権譲渡の承諾が必要、売主取得時から持分欠落が疑われる場合は、通常ルートへ当てはめず司法書士・管理主体等へ確認します。

主な公式資料:建物の区分所有等に関する法律不動産登記法不動産登記規則民法借地借家法宅地建物取引業法登記事項証明書の見本登記情報提供サービス東京法務局の管轄一覧さいたま地方法務局の管轄一覧

規約・登記・契約書の地番照合が難しいときは

物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します

  • 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
  • 取引資料の確認、現地・役所・法務局等の調査、重要事項説明書ドラフト作成

標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。

規約敷地を地番ごとに敷地権化済み・非敷地権・第三者所有等へ分け、重説、売買契約書の目的物、登記対象が食い違わない重要事項説明書ドラフトを作成します。

物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。

規約敷地と登記でよくある質問

敷地権化済みなら、土地登記に買主の名前は載らないのですか?

通常は、区分建物の甲区に買主への所有権移転登記をし、その登記が敷地権にも効力を及ぼします。土地側へ区分所有者の氏名を一人ずつ追加する方式ではないため、対象住戸の登記と土地側の『敷地権である旨』を一組で確認します。

規約敷地なら、必ず敷地権になっていますか?

いいえ。規約敷地は規約による土地の位置付け、敷地権は登記された分離処分できない敷地利用権です。対象住戸の敷地権表示に該当地番の符号・種類・割合があるか、土地側にも敷地権である旨があるかを確認します。

登記に『敷地権である旨』があれば、どこまで確認すればよいですか?

その土地がどの一棟の建物に対応するか、対象住戸の敷地権表示に同じ土地符号があるか、種類・割合が何かまで確認します。土地側の一文だけで対象住戸の権利を確定しません。

規約敷地が敷地権になっていない場合はどうしますか?

土地甲区に売主の共有持分があれば、売買対象へ含め、土地について別途の所有権移転登記を確認します。売主に持分がなければ、所有者と使用権・契約上の地位の承継根拠を個別に調べます。

管理組合法人が土地を所有している場合も、買主へ名義変更しますか?

土地所有者が管理組合法人で、売主が土地持分を直接持たないなら、売主から買主への土地所有権移転登記は当然には行いません。管理規約等に基づく使用関係や組合員の地位の承継を確認します。

規約敷地の権利が賃借権なら、建物売買だけで移りますか?

登記上の一体性だけで決めません。賃貸人の承諾を要するのが原則であり、借地契約、敷地権登記、規約、譲渡承諾・承継条項を確認します。必要に応じて借地借家法19条の手続も専門家へ相談します。

司法書士への確認は決済前でよいですか?

非敷地権の土地持分、借地、規約と登記の不一致がある場合は、契約目的物や特約へ影響するため契約前の確認が安全です。遅くとも決済準備前には、対象住戸と全土地の登記・契約書案を渡します。

重要事項説明書のどこに書きますか?

規約敷地の有無、敷地権の目的土地、敷地権の種類・割合、登記された権利の各欄を整合させます。非敷地権の土地持分や第三者所有など欄内で説明しきれない内容は、備考・別紙へ記載し、売買契約書の目的物表示とも揃えます。

この記事は2026年9月6日時点の宅地建物取引業法、建物の区分所有等に関する法律、不動産登記法・同規則、民法、借地借家法および法務省・法務局の公開資料を確認して作成しています。図と記載例の所在地・地番・持分は当サイト独自の架空例です。登記申請の要否・申請方法は、規約による分離処分、登記原因の時期、借地契約等によって例外があるため、対象住戸・各土地の最新登記と契約書案を登記担当司法書士へ提示して確認してください。