敷地権登記と土地登記の調査|区分建物で見落としやすい点
マンションは、専有部分の登記だけ見れば土地の権利も分かりますか?
区分建物の表題部に『敷地権の目的である土地の表示』『敷地権の表示』があります。土地の符号、所有権、10000分の125と書かれていれば、土地登記は取らなくてもよいのでしょうか。
敷地権付きでも、区分建物と対象土地の登記を往復して確認します
区分建物の表題部では、敷地権の目的である土地、敷地権の種類・割合を土地の符号で確認します。さらに各対象土地の登記記録を取り、敷地権である旨の登記、対象となる所有権・地上権・賃借権、敷地権化前から残る権利等を照合します。
不動産登記法46条は、区分建物の表題部に敷地権を最初に登記するとき、対象土地の登記記録について、その所有権・地上権その他の権利が敷地権である旨を職権で登記すると定めています。不動産登記規則119条は、土地側の権利部の相当区に記録する事項を定めています。
敷地権が所有権なら土地の甲区、地上権・賃借権なら土地の乙区が中心になります。一方、区分建物の取得後の所有権・抵当権等は、原則として専有部分の甲区・乙区を通じて敷地権にも及ぶ形で公示されます。土地だけ、建物だけのどちらか一方で終わらせません。
マンションの土地登記で何を調べるかの診断フローチャート
当てはまる答えを押すと、あなたの場合の結論に色が付きます。
- 確認2敷地権の種類の欄には、何と書いてありますか?
- 結論土地の甲区で敷地権である旨を確認
- 結論土地の乙区と設定契約を確認
- 結論各土地の登記と持分・借地契約を確認
- 確認1専有部分の表題部に、敷地権の表示はありますか?結論各土地の登記と持分・借地契約を確認
- 確認2敷地権の種類の欄には、何と書いてありますか?結論土地の甲区で敷地権である旨を確認結論土地の乙区と設定契約を確認
- 土地の甲区で敷地権である旨を確認
敷地権の目的である土地の登記を全筆取り、土地の甲区に敷地権である旨の登記があるかを確認します。敷地権になる前の担保権等が土地に抹消されずにあれば、受付の時期と効力を司法書士等に確認します。
- 土地の乙区と設定契約を確認
敷地権の目的である土地の登記を全筆取り、土地の乙区に敷地権である旨の登記があるかを確認します。地上権・賃借権の設定契約で、期間、地代、譲渡・転貸の承諾、更新を確認します。
- 各土地の登記と持分・借地契約を確認
専有部分の登記とは別に、敷地の各土地の登記を取り、売主の土地持分または借地契約を確認します。重説の書き方は、敷地権でない区分建物の土地欄で説明しています。
規約で敷地にしている土地が、すべて敷地権として登記されているとは限りません。管理規約と土地登記で、別に移転する土地持分がないかを確認します。
敷地権登記で確認する10項目
- 一棟の建物の所在・名称対象住戸が属する一棟を特定し、棟違い・号棟違いを防ぎます。
- 専有部分の家屋番号部屋番号と家屋番号は同じとは限りません。不動産番号とともに対象住戸を確認します。
- 敷地権の目的である土地土地の符号ごとに所在及び地番、地目、地積、登記日を確認します。複数筆を一筆にまとめません。
- 敷地権の種類所有権、地上権、賃借権の別を確認します。マンションだから必ず土地所有権とは限りません。
- 敷地権の割合符号ごとの分数を分子・分母まで登記どおり転記します。小数や百分率へ丸めません。
- 土地の符号の対応目的土地の符号と敷地権表示の符号を一対一で照合し、符号抜け・重複を確認します。
- 土地側の敷地権である旨各土地の相当区で、どの権利が、どの一棟の建物について敷地権とされたかを確認します。
- 区分建物の甲区・乙区現在の区分所有者、共有持分、抵当権等を読みます。敷地権付きなら敷地権にも関わる権利関係として扱います。
- 敷地権化前・例外の登記敷地権となる前からある土地の担保権等、土地側で確認すべき権利が残る場合があります。受付時期と効力を専門家に確認します。
- 規約敷地・敷地権なしの土地規約上の敷地すべてが必ず対象住戸の敷地権として登記されているとは限りません。別土地持分の移転要否を確認します。
区分建物と土地登記を照合する順番
- 専有部分の登記を取得する
不動産番号、家屋番号、一棟の表示、専有部分、敷地権の目的土地・表示、甲区・乙区を取得します。
- 土地の符号ごとに地番一覧を作る
符号1、2、3…ごとに所在・地番・地目・地積・敷地権種類・割合を一行にします。
- 対象土地をすべて取得する
一覧の各地番について土地登記を取り、主たる宅地だけで終わらせません。
- 土地の相当区で敷地権である旨を確認する
所有権敷地権なら甲区、地上権・賃借権敷地権なら乙区を中心に、対象権利と一棟の所在を照合します。
- 区分建物の甲区・乙区へ戻る
所有者・持分、仮登記・差押え、抵当権等を読み、敷地権との一体処分・負担の範囲を確認します。
- 規約・公図・管理資料を照合する
法定敷地、規約敷地、駐車場・通路等の別土地、敷地の範囲を管理規約、規約原本、図面等で確認します。
- 重説・契約・登記対象を一致させる
敷地権の目的土地、種類、割合、別途移転する土地持分、担保権等を同じ物件一覧にします。
区分建物側と土地側を、同じ符号で読み比べます
符号1・2の二筆を敷地とする区分建物の簡略例です。
表題部(敷地権の目的である土地の表示)
| 土地の符号 | 所在及び地番 | 地目 | 地積 | 登記の日付 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | さいたま市浦和区高砂一丁目101番1 | 宅地 | 1,250.36㎡ | 令和2年3月10日 |
| 2 | さいたま市浦和区高砂一丁目101番2 | 宅地 | 328.40㎡ | 令和2年3月10日 |
表題部(専有部分の建物の表示)
| 家屋番号 | 建物の名称 | 種類 | 構造 | 床面積 |
|---|---|---|---|---|
| 高砂一丁目101番1の301 | 301号 | 居宅 | 鉄筋コンクリート造1階建 | 3階部分 62.18㎡ |
表題部(敷地権の表示)
| 土地の符号 | 敷地権の種類 | 敷地権の割合 | 原因及びその日付[登記の日付] |
|---|---|---|---|
| 1 | 所有権 | 10000分の125 | 令和2年3月1日敷地権[令和2年3月10日] |
| 2 | 所有権 | 10000分の125 | 令和2年3月1日敷地権[令和2年3月10日] |
権利部(甲区)
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付 | 権利者その他の事項 |
|---|---|---|---|
| 1 | 所有権保存 | 令和2年3月10日 第3001号 | 原因 令和2年3月10日売買/所有者 B |
権利部(乙区)
| 順位番号 | 登記の目的 | 受付 | 権利者その他の事項 |
|---|---|---|---|
| 1 | 抵当権設定 | 令和2年3月10日 第3002号 | 債権額4,000万円/債務者B/抵当権者C銀行 |
土地の権利部で確認する『敷地権である旨』を、読み取り項目として簡略化しています。
土地101番1・権利部(甲区)の確認
| 対象権利 | 敷地権である旨 | 一棟の建物の所在 | 区分建物側の符号 |
|---|---|---|---|
| 所有権 | 記録あり | さいたま市浦和区高砂一丁目101番1 | 符号1 |
土地101番2・権利部(甲区)の確認
| 対象権利 | 敷地権である旨 | 一棟の建物の所在 | 区分建物側の符号 |
|---|---|---|---|
| 所有権 | 記録あり | さいたま市浦和区高砂一丁目101番1 | 符号2 |
| 状態 | 調査の中心 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|
| 所有権の敷地権 | 区分建物表題部+土地甲区+区分建物甲乙区 | 複数筆、細かな割合、敷地権化前の土地登記 |
| 地上権・賃借権の敷地権 | 区分建物表題部+土地乙区+設定契約 | 期間、地代、譲渡・転貸承諾、更新 |
| 敷地権でない区分建物 | 専有部分登記+各土地登記+持分・借地契約 | 古い団地の多数筆、別登記の土地持分 |
| 規約敷地 | 規約・議事録・土地登記・対象住戸の権利 | 規約敷地であることと敷地権登記の有無を混同 |
東京23区・埼玉県でも、マンションごとの敷地構成を確認します
敷地権登記の制度は全国共通です。地域差より、マンションが建つまでの分筆・合筆、団地構成、規約敷地、借地か所有地かという物件差が大きくなります。東京23区・埼玉県でも、主たる一筆だけでなく土地の符号に挙がる全筆を同じ基準日で取得します。
主な公式資料:不動産登記法不動産登記規則法務省の敷地権付き区分建物例
土地の符号を、単なる通し番号にしません
toukiプロジェクトでも、『敷地権の目的である土地』と『敷地権の表示』を土地の符号で突き合わせます。記事のHTML例も同じ構造にし、将来の重説作成機能へそのままつなげられる形にしています。
物件調査から重要事項説明書の作成まで対応します
- 埼玉県全域・東京都23区の売買物件に対応
- 区分建物と全対象土地の登記、管理規約・図面を照合して重説ドラフトを作成
標準的な1物件88,000円(税込)。公的資料取得実費は別途です。
土地の符号・種類・割合、土地側の登記、別途移転する土地持分まで一覧化します。
物件調査・重要事項説明書の作成を依頼するサービス内容とご依頼の流れをご確認いただけます。敷地権登記でよくある質問
敷地権付きなら土地の登記事項証明書は不要ですか?
不要とは考えません。対象土地の敷地権である旨の登記、敷地権化前から残る権利、区分建物側との地番・権利種類の一致を確認します。
マンションの所有権移転登記では、土地持分を別申請しますか?
敷地権付き区分建物では通常、専有部分と敷地権を一体として扱います。ただし敷地権でない土地持分や別個の規約敷地等は別途移転が必要な場合があるため、登記ごとに確認します。
敷地権の割合は持分と同じですか?
敷地権が所有権なら土地共有持分として機能しますが、重説では登記上の敷地権の種類・割合をそのまま示します。管理規約上の議決権割合等とは別です。